転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 アルフィーは深く頭を下げたまま、微動だにしない。


「……君は先代皇帝の臣下。君が忠誠を誓うべき相手は皇帝である父様か、次期皇帝のエド兄さんだよ」


「陛下からお許しを貰っております。それに、陛下にはフレデリックが、第1皇子殿下には今後リヴが忠誠を誓うでしょう。リヴはルーカス殿下の側近ではございますが、ご結婚なさるのであれば夫という立場になるのです。
 私の様な老いぼれが1人くらい、ルーカス殿下に忠誠を誓おうとも、なんの問題もございますまい」


「君はただの老いぼれと言うには、信頼も人脈も功績も、吐出しすぎてしまっている。何より、君は老いぼれと言うにはまだ若い。
 ……余り目立つ事は任せられないよ? ナサニエルが分裂してしまう」


「勿論です。私への命令は、貴方様の御心のままにお下しくださいませ」


「はあ、分かった。アルフィー、僕に忠誠を誓うことを許可する。今日から君は、僕の臣下だ。裏切る事があれば、容赦なく首を跳ねる。肝に銘じておきなさい」


「承知致しました」


 そうしてアルフィーはもう一度ルーカスに深く頭を下げたのだった。そしてルーカスはアルフィーに手を貸し立ち上がらせた。


「アルフィー、レイアのことをお願いね」


 先程の食後の休憩時間にアルフィーとイグネイシャスをそれぞれレイアと2人きりにしてみた。しかしレイアは泣くこともなく2人と普通に過ごしていた。


「ええ、勿論です。週末はこちらに戻って来られるのですよね?」


「うん。これから世話になるよ」


「よろしくお願い致します」


 そうしてルーカスはアルフィーとの話を終えると、リヴァイの部屋へ行き、レイアと遊んだ後、自室へ戻り就寝したのだった。




 そして翌朝、ルーカス達はレイアをアルフィーに預け馬車に乗り込む。そして5人は学園へと向かった。学園へ到着しルーカス達は教室へと行きティファニーは門でソフィアを待った。ルーカス達が教室に着くとヨハンやフランク、ヘクター達はもう既に登校していたようだ。


「おはようございます、ルーカス様」


「ああ、おはよう。早いな」


「久しぶりの学園だから楽しみで気が急いだ。今日はムハンマド家の馬車で来たんだってな?」


「皆が噂してたぞ」


 フランクの言葉に、周りにいた者達が聞き耳を立てている。教室の中ではあるが他のクラスの者も多くいる。


 もう噂が広がっているんだ。僕がどの馬車に乗るかなんて面白いことないだろうに。


「昨日リヴの別邸に止まったのだ。師に用があってな」


「師と言うと、元宰相のシリル様ですよね? シリル様はとても厳格で聡明なお方だと両親らがよく話しておりました」


「そんなお方に学べるなんてとても羨ましいです」


 ヘクターとアーウィンの言葉に、ヨハン達も頷いた。


「ま、俺達がシリル様に教わったところで、テオの様になれるかと聞かれれば無理だろうがな」


「ははは、それは言わない約束だろ」


 マルセルの言葉にフランクが笑いながらそう言った。するとルーカスはなにか考え事をした後、真剣な表情で言う。


「そなたら、今日の昼食を共に取ってくれぬか?」


「お? 勉強でも教えてくれるのか?」


「いや、そなたらには先に話しておきたいことがある。ヨハンにも聞いて欲しいことがある」


 その真剣な表情のルーカスに、フランク達も茶化さず真剣に答えた。


「分かった。大事な話なんだろ? 食堂でいいのか?」


「ああ。結界を張るから問題は無い」


「分かった」


 そうしてルーカス達は一緒に食事をとる事を決めた。授業の時間になり、イライアス先生が教室へやってくると、皆はそれぞれ自身の席へと戻ろうとする。


「((コソッ…よろしいのですか?」


 リヴァイがこっそりとルーカスに尋ねた。リヴァイはルーカスが彼らに何を伝えようとしているのか気付いているのだろう。ヨハンにも話があると言ったその話の内容も、既に気づいているようだ。


「((ヒソッ…構わないよ。彼らは、の友人だからね。伝えても良いかい?」


「((ヒソッ…貴方様が信用する者達です。私には何の問題もございません」


 そう言うとリヴァイは、教室の後ろへと行き、待機したのだった。





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