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本編 学園中等部編
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しおりを挟むあれからルーカスとリヴァイはデザイナー達と話し合って細部までデザインを決めた。
「色は靴、裏地、襟、あとは袖にも入れましょうか。肩章やボタン、刺繍は御二方とも金糸で入れるのが良いかと」
「ボタンと刺繍のデザインは──……」
そして漸く衣装のデザインが決まった。エドワード達やジェシカ達の分も決まったようだ。
「じゃあこれでお願いね」
「はい。我が店のデザイナーの腕を全身全霊で振るわせて頂きます。それから、今日の出来事は一切他言致しません」
「ええ」
「では、完成品は後日皇城へと送らせて頂きたいと思います。失礼致します」
デザイナー達はジェシカの部屋を出て皇城を後にしたのだった。
「じゃあ皆も解散しましょうか。ミアちゃんも部屋を用意してるから今日はそこで過ごしてちょうだい。エド、案内してあげて」
「はい。ティファ、行こう」
「ええ」
エドワードとティファニーはそのままジェシカの部屋を出た。そしてルーカスとリヴァイもレイアを連れてルーカスの部屋に行ったのだった。
ルーカスの部屋に着くと、レイアをベビーベットに寝かせモニカはお茶を入れに部屋を出た。
「疲れたね」
「はい。長期休暇もあと数日しかございませんが、お祖父様への挨拶はいつ行きましょうか?」
「最終日の28の日でいいんじゃないかな? エイル達もエスポワに来ているだろうから」
「そうですね。では我が家に泊まって1の日に学園へそのまま向かいますか?」
「それがいいね。書簡を書いてオズに届けて貰おう。エイルとキャシーの元にも出そうか」
「承知しました。お祖父様への書簡は私が書きます」
「うん。お願い」
ルーカスとリヴァイはそれぞれ書簡を書いてオズワルドに持たし届けてもらった。
「そういえば、採寸をした時、背を測り終わると少し嬉しそうだったけれど、伸びていたのかい?」
ルーカスが思い出したように言う。
「いえ、半年前に測った197cmから動いておりませんでした。おそらく止まったのかと」
「そうなんだ。なのにどうして嬉しそうだったんだい?」
「それは……殿下はこれから背が伸びるので、どんどん貴方と目線が近くなるのだと思い、、嬉しく、なりました……」
リヴァイが耳を赤くしながら恥ずかしそうにそう言うと、ルーカスは予想外の返答に呆気に取られた。そしてすぐに嬉しそうな悪戯な笑顔で言う。
「……僕と目線が近くなるのがそんなに嬉しいんだ。本当に、リヴは可愛いなあ」
その甘くとびきり優しい声色のルーカスに、リヴァイは頬を赤く染めて先ほど以上に恥ずかしそうにしたのだった。
それから数日後、皆から書簡の返事が届き、28の日にムハンマドの別邸に行くことが決定した。夕食時にアーサー達に伝え、28の日当日。ルーカスとリヴァイは準備万端でレイアとモニカを連れてムハンマドの別邸へと向かった。
「ふふ、リヴは緊張しているのかい? 父様達の時は緊張していなかったのにね」
「少しですが緊張します。不敬と思われるかもしれませんが、陛下や父上への報告よりも、お祖父様への報告が最も気を張ってしまいます」
「まあそうだよね。父様は皇帝で威厳があると言っても他人だし、フレデリックは父親だから近しい。その中でアルフィーは家族で、最近は余り会えていなかったんでしょう?」
アルフィーはムハンマドの領地にいるか、地方へ出かけていることが多い。学園やら護衛やら勉強やらで、ずっと帝都にいるリヴァイは手紙のやりとり(近況報告のようなもの)はあったが、アルフィーとちゃんと会うのは約1年ぶりくらいだ。
「はい。卒業式の時も顔は合わせましたがお祖父様に急用ができ会話は出来ませんでしたので」
「ふふふ、緊張しているリヴは新鮮だね。大丈夫だよ。僕が側にいるでしょう?」
「そうですね。1人だと今より緊張していたのかもしれません。殿下がお側にいてくださって良かったです」
リヴァイのその素直な言葉に、ルーカスは本当に緊張しているんだなと思ったのだった。
少しすると、1度馬車が止まり、御者をしているカミイルがアレイル達の乗った馬車と落ち合ったと言う。そして後ろにアレイル達の乗る馬車がついて、再びムハンマドの別邸へと向かって走り出した。
「今年の休暇は殆ど城にいたからエイル達と会うのは久しぶりだね」
「そうですね」
「まあ、明日からはまたずっと一緒にいるんだけどね」
「エイルもキャシーも殿下のお側に仕えられることを嬉しく思っているはずです」
「ふふ、そうだと嬉しいなあ」
ルーカスとリヴァイがそんな風に話していると、馬車がムハンマドの別邸に到着した。
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