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本編 学園中等部編
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しおりを挟む結界がなくなり4人が現れると、審判員が凄く不安そうな表情で待っていた。
「待たせて、悪い。先程私は、風の魔法と結界の、魔法を使った。そのため、今大会の優勝者は、ルカ兄上だ」
その言葉に審判員とエドワードが目を見開いて驚いた。
「待てルーカス。私は君に規定以上の怪我を負わせた。私は反則だ」
「私が、先に魔法を、使いました。先に、反則をしたのは、私、です」
「しかし……」
「このような、決着の、仕方になり、申し訳、ございません」
ルーカスがそう言って謝ると、エドワードは仕方ないと言うように溜め息を吐き出した。それを見てルーカスが審判員の方を見ると、審判員は慌てて声を上げた。
「け、決勝戦は、テオ殿下の魔法使用による反則で、ルカ殿下の勝利です。
優勝、ルカ殿下!!」
審判員の声に、観客達は2人に拍手を送った。
「ルカ殿下! おめでとうございます!!」
「とても良い試合でした!!」
観客達が投げ掛けてくれる優しい歓声に、エドワードは手を振った。
「ルークも手を振ってみないかい?」
ウィリアムがそう言うと、ルーカスはゆっくりと手を挙げて観客達に手を振った。すると観客席からまた歓声が上がる。
「……少し、気恥しい、ですね」
ルーカスがそう言うと、ウィリアムが少し嬉しそうに笑ったのだった。
その後ルーカス、エドワード、ウィリアムの3人は、控え室に行った。控え室に着くと、ソフィア達とリリアン達が居て、2人がルーカスの元へ駆けつけてくる。
「ルー!! 怪我は大丈夫なの!? 痛いところはない?」
「ルーお兄様!! 首から、血が、沢山出て……!」
真っ青な表情のソフィアとリリアンが泣きそうな表情でルーカスに言う。ルーカスは、2人の頭を撫でて宥める。
「姉さん、リリー、落ち着いて。ウィル兄さんが治してくれたから、大丈夫だよ。心配をかけて、ごめんね」
「本当に心配したのよ! あんなに……」
「うん、ごめんね」
観客席で見ていた時、ソフィア達とリリアン達はウィリアム達と一緒にいた。ルーカスの喉に剣が刺さった瞬間、ウィリアムが慌てて2人の元へ向かった。ソフィアとリリアンも自分達も行くと言ったが、それぞれがティファニーとシエンナに止められ、もどかしそうにしながら控え室へ来たのだ。
「……エドお兄様は剣を持っていたのよ。次からは気を付けてちょうだいね」
「次からは絶対に怪我をしないでください……!」
「うん。気を付けるよ」
「ルー、準優勝おめでとう」
「エドお兄様は優勝おめでとうございます!」
「「ありがとう」」
落ち着いてきたようで、2人はルーカスとエドワードにお祝いの言葉を伝えた。
「エドワード、ウィリアム、ルーカス、刺客の死体ははジル殿が回収した。今は他に刺客がいないか調査をしに行っている」
「リヴとエイルも、かい?」
「ノーマンもいないね」
控え室には、皇族とその側近達が集まっているが、リヴァイ、アレイル、ノーマンの3人は控え室にいない。
「ああ。アレイルとノーマンは転移の魔法でジル殿達の補助をしている。リヴァイは……顔色が悪すぎてルーカスに合わせたら気を遣わせるからジル殿と共に調査をしている」
「凄く不安そうだったから、ルーが休んだ後、リヴが戻ったらお願いしてもいいかしら?」
「構わないよ。凄く心配を掛けさせて、しまったようだね」
「一先ず、ルークはここで休んでろ。観客達もあれは刺客だって分かってるから」
「うん」
最近ルーカスの元へ刺客が送られるようになったことは、帝都の者なら殆どが知っていた。その為観客達はルーカスが今回殺した者も、刺客の1人だろうと予想しているはずだ。
ルーカスが観客席に剣を投げた事には驚いたが、周りの人の為に結界を張っていたのを見ている。あの場にいた者達のルーカスに対する感情に、悪いものは少ないだろう。
「表彰式はアレクサンダー達の調査が終わった後に準備をするみたいだから時間は沢山あるわ。だからゆっくり休んで」
「うん。ありがとう、姉さん」
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