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本編 学園中等部編
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しおりを挟むルーカスとエドワードが招集場所へ移動すると、丁度オーランドとエルヴィスの試合が終了した。
「エルヴィスが勝ったようだな」
「そうですね」
2人が話していると、案内役のノエルとマーティンがやって来て言う。
「あと少し経ちましたら試合場所へとご移動してください」
「分かった」
「お二人の試合をこんなに近くで見れるなんて、俺、生徒会入って良かったです!」
マーティンがそう言うと、ノエルとエドワードは可笑しそうに笑った。
「そうですね。お二方とノア様、アレン様の剣術大会の試合は、我々の間では憧れですからね」
「そうなのか?」
「ええ。皆様の剣技はそれぞれ我々の目指すものそのものですから」
ルーカス、エドワード、リヴァイ、アドルフの剣技はそれぞれに違った特徴があり、学園の生徒達はこの4人の誰かの剣術を目指しているものが多いらしい。
「それは、下手な試合は見せられないな」
「そうですね」
「そろそろ試合を始める様です。御二方とも頑張ってください!」
「行ってらっしゃいませ」
ルーカスとエドワードはマーティンとノエルに送り出され、試合場所へと移動した。
そして2人の準備が整うと、審判員の合図で試合が始まった。
合図と同時にルーカスがエドワードに攻撃を仕掛けた。真正面からの攻撃に、エドワードはしっかり反応し完璧に捌いた。そして今度はエドワードがルーカスに攻撃を仕掛ける。
エドワードの身長は191cmまで伸びた。比べてルーカスも身長は伸びたとはいえ163cmで、2人の体格も全然違う。
そしてその体格差から与えられる力強さは以前とは比べ物にならない程だ。最近エドワードと手合わせをしていなかった為、その予想以上に成長した力と剣術に、ルーカスの腕はびりびりと痺れ剣を離しそうになってしまう。
昨年のリヴとの試合でも思ったけれど、やはり本来の戦い方が使えないと、彼らの実力と筋力量や力の差が合わさって圧されてしまうね。
ルーカスはエドワードから一瞬距離を取ると、先程の感覚を頭に焼き付けまたエドワードに攻撃を仕掛けに行った。
「エディとルーちゃん、どっちが勝つと思う~?」
側近達とアレクサンダー、パーシヴァル、イライジャだけの控え室で、メーリンが皆に尋ねた。
「去年の結果だけを考えればルークだな」
「だが、去年のリヴァイとの試合でも思ったが。今年の2人の剣術は更に磨きがかかっているが、エドワードは全力を出せるのに対し、ルーカスは戦い方が制限されて全力の7割程度だろう。今年のエドワードの剣術は、ルーカスの制限された剣術を上回っている可能性もある」
「アレン様のおっしゃる通り、ルーカス殿下は力の弱さを補う為の剣術と戦闘法がございます。しかし言うなれば、剣術が通用しない、戦闘法が使えない。そんな場合には、ルーカス殿下は途端に無力になってしまわれるでしょう。体が完全に出来上がっておられるアレン様やノア様がこの大会のルールでルーカス殿下と戦われた場合、簡単に勝ててしまうと思います」
アドルフの言葉に、アレクサンダーがそう付け足した。それには皆も納得の思いだろう。体が出来上がっていて、力も剣術も身につけた彼らとでは、制限されたルーカスには相性が悪いのだ。
「ルーカス殿下は急所を狙い確実に仕留めるか、手足を切り落として動きを封じられます。しかし綺麗に剣が入らなければ相手の動きを封じる程の痛手を負わせられないと、殿下ご本人も仰っておられました」
「テオ殿下も、筋力や力も少しずつ着いてきてはおられるみたいだけど、まだまだ成長期で不安定な時期ですから体が安定し始めたルカ殿下の方が分配は上だろうね」
イライジャがそう言うと、皆が共感する。
「まぁどちらにせよ、俺達はエドの応援ですね」
「そうだな~。ノアちゃん達はやっぱルーちゃんか~?」
「私とキャシーは、だな。リヴは何とも言えないな」
アレイルがそう言うとみんなは疑問に思いながら、ずっと無言のリヴァイの方へと視線をやった。
するとリヴァイは視線を少しだけ逸らした。
「……なんだ?」
「リヴは多分、去年優勝を奪って貰えなかったから、それならばエドワード殿下からも取らないでいて欲しいんだろ。自分からは取ってくれないのに……って。けど優勝して欲しいという気持ちがあるからどっちとも言えない」
そのアレイルの言葉はリヴァイの図星だ。皆はリヴァイを見て、難儀だなという顔をしたのだった。
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昨日は投稿出来ずすみません( ߹ㅁ߹)
1週間程投稿数が不定期になるかもです。1話も投稿出来ない日が何度かあるかもしれません。すみません(*_ _)
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