転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

138 sideリヴァイ 後半から

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 翌日の朝、いつもの様に支度をして、ルーカス達4人は教室へと向かった。すると途中でソフィア達4人に出会い、どうせなので一緒に向かう。
 ルーカスの教室には、まだ人が集まっておらず、いつも朝の早いヨハンとシエンナ、クロエがしかいない。


「おはようございます、ルーカス様。……ノア様と仲直りされましたか?」


「ああ、なぜ分かったんだ?」


「あっ、えっと、雰囲気が柔らかくなられましたので!」


 ルーカスが感心した様に尋ねると、ヨハンは慌ててそう答えた。するとソフィアが楽しそうに言う。


「リヴァイに睨まれなくなったからよね」


 その言葉にヨハンとナタリー、シエンナの3人は、ソフィアに視線をやり目を見開いている。
 ルーカスがリヴァイの方を見ると、リヴァイは視線を逸らして、いたたまれなさそうに謝罪の言葉を口に出した。


 ヨハンにも嫉妬するんだね……。


 その事にルーカスの内心は、意外そうに驚きながらも少し嬉しくなった。するとアレイルが注意するように言う。


「ルーカス殿下、口角が……」


 ルーカスは慌てて手で口元を抑える。するとアレイルはにっこり笑って口を開いた。


「嘘です。流石はルーカス殿下、ポーカーフェイスがお上手で。では、我々はそろそろ教室へ向かいますね」


「はあ、心臓に悪いな。エイル、助かる」


「いいえ、では、失礼致します」


 そう言ってアレイルはリヴァイを連れて、キャサリンと教室へ行ってしまった。
 そして、ヨハンとナタリー、シエンナの3人は、未だにぽかんとしている。


「じゃあソフィ、私とグレースも戻るわね」


「はい。また正午に来て下さい」


 そうして残された1年生組の、いつも通りのルーカスとソフィア、苦笑するクロエ、そして呆気に取られたままのヨハンとナタリー、シエンナで、ルーカス達の席に集まる。


「ルーカス様……! まさか……」


 先程のアレイルの冗談により、察した3人は、ルーカスに一気に迫った。すかさずソフィアが内側の音が漏れないように結界を張った。


「ありがとう、姉さん。えっと、昨日の放課後に、リヴに告白された」


「「「やはり!!」」」


 3人は、ルーカスの言葉に、すごく嬉しそうにする。すると、そこにソフィアが爆弾を落とした。


「プロポーズもされたのよね」


「「「……えぇっ!?」」」


「プ、プロポーズですか……!?」


「ナタリー、お着きなさい……」


「すみません、ルー様。つい……」


 一際驚いて、大きい声で尋ねたナタリーをルーカスが窘める。


「では、お2人は恋人になられたということですね」


「いや、それはまだ。リヴに返事を待ってもらっているんだ」


「そう、なのですか……」


 シエンナ達は不思議そうに首を傾げた。それはそうだろう。2人が両思いだということは、前から知っているのだから。


「ヨハン、ステラ、昨日の会話や、いつもの様子で、気付いてはいたと思うけれど、僕は不当な反対派に潜入して父様達に報告しているんだ」


 ヨハンもクロエも、薄々気付いていたため、驚く様子はなく、やはりといった感じだ。


「だから、それが片付くまで待って欲しいとお願いしている。と言っても、リヴも僕の気持ちを知っているし、返事を伝えた様なものなんだけどね」


「リヴァイに、ルーが学園を卒業したら、結婚しようって言っていたものね」


「うん。絶対にするよ。それまでに取り消されないように頑張らないとだね」


「ノア様ならば、絶対に取り消されないと思いますよ。ルーカス様、おめでとうございます」


「うん。ありがとう、ヨハン」


 ヨハン達がルーカスに祝福の言葉を投げ掛けると、そろそろ生徒が集まってくる為、ソフィアが結界を壊して各々席に座ったのだった。






◇ ◇ ◇


 高等部2年Sクラス。リヴァイの教室では、リヴァイがラルフ、メーリン、クライド、フレーゲル達に、質問責めにされていた。


 ルーカスの送迎を終え、リヴァイとアレイルが自身の教室へ登校した。高等部と中等部は建物が違う為、2人が登校する頃には、教室には生徒が集まっていた。
 そして2人は、先に教室に来ていたメーリンに手招きをされてそちらに向かう。


「なんだ」


「ノアちゃん、ついにやったんだって~?」


 ニヤニヤとしながら楽しそうに尋ねるメーリンにリヴァイは冷たい視線を送る。すると近くを通ったクライドとフレーゲルが慌ててリヴァイに問うた。


「リヴァイ、お前、殺ったって……。相手はこの国のやつだよな!?」


「他国の王族だったら、流石のムハンマド家でもやばいぞ!! 大丈夫なんだろうな!?」


「あははは!!! いてっ、」


 2人の反応に大笑いするメーリンに、ラルフが1発拳を入れた。


「あ~おもしれぇ。やったってのは告白のことだよ。告白~」


「告白……?」


「リヴァイがついに痺れを切らして人を襲ったのかと思った……」


 メーリンの説明に2人は心の底から安堵した。


「で、なんで急に伝えようと思ったんだ? お前伝える気はないって言ってただろ」


「勢いで言ってしまったんだと思うぞ。リヴは最近不安定だっただろ?」


「ルーカスにも勢いで言ったところはあると言っていたからな」


「ふ~ん。ルーちゃん生きてる?」


「当たり前だろ。ルーク死んだらノアも生きてねぇよ。エドとウィルに速攻殺されてるわ」


「嬉死とか~?」


「そんな死ねぇよ」


 と、当たり前の様に相手の名前を出した皆に、リヴァイは呆れる。そしてクライドとフレーゲルはこれでもかと言う程目と口を開いている。


「悪い。名前出しちまったな」


「あれ、しらなかったのか~?」


「知らねぇよ! てか好きな人がいることすら初めて知ったわ!」


「確かに態度に違和感あったけど! 固執し過ぎだろと思ったけど!」


「ノアがそんな話するわけねぇだろ」


 3人がわざとらしく言うメーリンにテンポよつっこんだ。


「てか、こんな堂々と話してて大丈夫かよ?」


「大丈夫だと思うぞ。回り誰もいないし」


「なんでこんな遠巻きにされてんだろうな~」


「半分お前のせいだよ!」


 そう言うとラルフはもう一度メーリンの頭に拳を入れた。

 クラスメイトは、基本彼ら側近組には近付いてくることがない。理由は簡単。メーリンの変人さと、リヴァイの怖さだ。そんな2人と一緒にいる為、他の3人にも人が寄ってこない。

 その為、ルーカスとの仲良し話を堂々としていても、聞き耳を立てることすらしてこないクラスメイト達のおかげで、特に問題はなかったのだった。


 以前にも今回のようにリヴァイの恋路についてやルーカスの事について普通に話していたが、クライドとフレーゲルは全くその事を知らなかった。


「ま、楽でいいじゃん~? そんで話戻るけどさ~」


 その後昨日の事を根掘り葉掘り聞かれるリヴァイは渋々答えていき、先生がやってくることで漸く開放されたのだった。





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