転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 ルーカスとウィリアムが話していると丁度リヴァイとアレイルが生徒会室に来た。先に隣室の鍵を返しに行っていたため、少し遅かったようだ。


「おかえり、リヴ、エイル。皆残るみたい」


「……イライアス先生もおりますが、その、よろしいのですか?」


 2人はルーカスが素で話している事に凄く驚いている。


「まあ、ベニーだし」


「あーくそ、めんどーなこと明かしやがって」


 イライアス先生は悪態を着くと、すぐさまルーカスに向かって跪いた。


「私カルロス・ベニー・イライアスは、皇帝陛下並びに皇族の方々、そして国神ルミナス様に誓い他言しない事を約束致します」


「うん。お願いね」


 ルーカスがそう言うと、イライアス先生は彼の口調に対して微妙な表情をする。


「ルーカス、直ぐに始めるか?」


「……うん。リヴ、何から話そうかな。ごめんね、僕から話があると言ったけれど、まだ考えが纏まっていなくて……」


 ルーカスは憂いを帯びた儚げな表情でリヴァイに言った。リヴァイはルーカスの言葉を緊張した不安そうな面持ちで静かに待った。


「そうだね……リヴはオリエンテーションは楽しかったかい? 昨日今日だけでなくて、準備期間も含めて」


「……はい。楽しかったです」


 リヴァイや立会人をしているエドワード達は、ルーカスの質問の意図が分からなかった。


「けれど、本当は側近の仕事をしながら回るのではなく、友人達と回りたかったのではないのかい? 僕と回りたくなかった?」


「っ、いいえ、そんなことはございません……!」


 ルーカスの質問に、リヴァイは慌てて否定する。しかし、ルーカスの表情はより一層悲しそうになった。


「それならどうして、僕といる時に、不機嫌になるの……?」


「っ!」


 ルーカスの言葉にリヴァイは心底驚いた。


(私が嫉妬をしていた事に、気付いていた……?)


「以前から、君が僕と居る時に何かに怒っていることは気付いていたよ。けど、直ぐに怒りを抑え込むから、考えない様にしていた」


(怒りのみに気付いておられたのか……。それも毎度の……)


「申し訳ございません……」


 リヴァイは謝るだけで理由を伝える気は無い様子だ。


「ねえ、僕は君に何かしてしまったかい? 髪を結わせたから? いつも君の手を煩わせて、迷惑をかけるから? それとも、翼と角を、出しているから……?」


「殿下……!」


 ルーカスの言葉にリヴァイ達は心底驚いた。そしてリヴァイが窘めるように少し怒ってルーカスを呼んだが、ルーカスはそのまま言葉を続ける。


「君が我慢している事も知らずに、君の言葉に甘えていた。嫌なら辞めるから。迷惑も掛けないし、翼と角も出さないから……!」


「殿下っ! 私が、そんな事で怒るわけがないでしょう」


(何故伝わらない!)


 ルーカスの苦しそうな言葉を、リヴァイは遮るように言葉を紡いだ。リヴァイは、恋情ではなく、自分のルーカスを大事に思っている気持ちすらも全く伝わっていないことに、腹が立ってしまう。


 そしてエドワード達は、ルーカスが自分の事を攻める姿に、これだけ思い悩んでいた事に、苦しそうな表情になる。


「だったら、君がいったい何に怒っているのか教えてよ……。君は優しいから、僕に愛想を尽かしても一緒にいてくれる。けれど、嫌な事は言葉にしてくれないと分かんないよ……!」


 ルーカスの言葉を聞き、リヴァイの表情には見る見るうちに怒りが浮き上がってくる。


(今、この方はなんと言った……)


「……私が愛想をつかしただと?」


「おい、リヴ……!」


 リヴァイはルーカスに近付き、ルーカスを壁に押し付けた。そして怒りのままに言葉を紡ぐ。


「ふざけるな! 私を避けているのも、命令しなくなったのも全て貴方だ。愛想を尽かしたのは、私ではなく貴方の方だ!」


「少し落ち着け、リヴァイ」


「おいルーカス、大丈夫か?」


 分からない……。今リヴは、何に怒っているの……? 僕はまた、リヴを怒らせた?


 エドワードとアドルフが2人に近付きそう言った。しかし2人とも黙ったまま動かない。
 すると、リヴァイが拳を握り腕を上げた。


 これ、殴られる。


 ルーカスは咄嗟に目を瞑り歯を食いしばった。そしてドンッと大きな音が部屋に鳴り響いた。しかしルーカスには殴られた衝撃など一切来ない。

 ルーカスが目を開けると、どうやらリヴァイは壁を殴った様だ。


「何故貴方は、私を信用してくれない……。私が貴方に、暴力を振るえるわけがないだろ」


 今のリヴァイの動作で、ルーカスを殴ると思った者は、誰もいなかった。ルーカスを除いて。

 ルーカスは、リヴァイが自分を殴ることを、全くもって疑わなかった。ルーカスはそれを申し訳なく思い、視線を逸らした。
 しかしリヴァイはルーカスのことをしっかりと見据えて言う。


「殿下、私は、貴方が好きなんです」


「え……?」




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