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本編 学園中等部編
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しおりを挟むそしてルーカス達は舞台袖にはけていく。するとアレイルとリヴァイがルーカスの元にやってくる。
リヴ、戻ってきていたんだね。
「おめでとうございます、殿下」
「やはりルーカス殿下とソフィア様がご優勝なさりましたね」
「まぁ、予想は着いていたわよね」
ん? どうしてだろう?
「これをもちまして、オリエンテーションの全項目が終了致しました。生徒の皆様は、速やかに教室へ移動し、担当教員の指示に従ってください」
ルーカス達が話していると、放送が流れてきた。
「ルーカス殿下、キャシーの元へ向かいましょうか」
「そうだな」
ルーカスとリヴァイ、アレイルは、キャサリン達のいる所へと向かっていく。すると、フランク達が凄く嬉しそうに駆け寄ってきた。
「ルーカス! すげーな、本当に優勝しちまった!」
「すっごく格好良かったです!!」
「皆眼福だって拝んでたぞ」
「大袈裟だ。早く教室に戻るぞ」
アリッサとカメリアとはここで別れて、ルーカス達は教室へと向かう。
……まただ。ずっと前から気付いていた。リヴが不機嫌になる時があることに。けれど、心を静めていつも通り話してくれるから、聞かなかったんだ。だけど最近は、不安定なのか、僕といる時はほとんど怒っている……。
その怒りは、僕に対してのものかい? 僕の、何に対して怒っているんだい……?
ルーカス達が教室に着くと、今日は3人で迎えに来ると言って、リヴァイ達は自分達の教室に帰って行った。そしてイライアス先生が話をする。
「あーまずは2日間お疲れさん。そんで準備期間もよく頑張ったな。各々良い思い出になった事だろう。それから、ルナ、テオ、優勝おめでとう」
イライアス先生は、いつもより少し長めの挨拶をする。クラスが一丸となった催しだった為か、はたまた何か思うところがあったのか、いつもの適当さは感じられず、本気で労っている事が伝わってくる。
「んじゃ、挨拶はこのくらいにして、明日は全員で片付けだからなー。はい、解散ー」
しかし、最後はいつもの締まらない挨拶で、皆はこちらの方がしっくりくるなと密かに思っていたのだった。
その後皆が続々と寮へと帰っていく。
「「ルーカス(様)」」
ルーカスの元に、ヨハンとフランク達がやって来た。
「すみません、アール。先にどうぞ」
「あーいや、私達はルーカスがノア様達を待つ間、コンテストの感想をぶつけようと思ってな」
「実は私も同じ事を考えておりました」
ヨハンが少し照れながらそう言うと、ルーカスは少し驚いた。
「ふっ、それは嬉しいな。聞かせてくれるか?」
「……なんか、最近テオ、よく笑うよな」
「……そうか?」
確かに、最近は演技を弛めていたけれど、急だったかな? もう少しゆっくりの方が良かったのかもしれないね。
「テオ殿下の笑顔は珍しいので、見れる事が凄く嬉しいです」
「だよな。良いもの見たなって気分が上がる」
えぇ、良いものって……。
ルーカスは内心で少しだけ困惑する。
そしてリヴァイ達を待つ間に、ヨハン達から、熱烈な賛美を受けたのだった。
その後リヴァイ達が到着すると、4人は生徒会室へ向かった。生徒会室に着くと、アレイルは隣室で待つ。そして生徒会役員が全員集まると、報告会が始まった。
「じゃあ報告会やってくぞー。ノア、テオ、警備中の報告からだ」
「1日目は12名、2日目は4名の生徒が規定を超えた言動を取ったため、直ちに私若しくはリヴで押さえ込み職員室まで連行した」
「騒ぎで被害を受けた生徒はいずれも軽傷。医務室に連れて行き治療済み。教員への報告も終わっている」
ルーカスとリヴァイはイライアス先生に報告を行う。
「他の教員から聞いたのと一緒だな。今年は16人か。例年より少し多いな」
例年では騒ぎを起こす生徒は10人前後だったらしい。
「1日目は学園中を歩き回るから、騒ぎが起きやすいな」
「じゃ、次は対策考えてくぞー」
その後も話し合いが続き、報告会は四半刻程で終了した。
「殿下、エイルを呼んで参ります」
リヴァイは少し強ばった表情でそう言うと、生徒会室を出た。そしてアシェルとアンジェリーナは自分の部屋に戻っていく。
そしてルーカスは、帰ろうとしていたエドワードとアドルフを引き止める。
「ルカ兄上、アドルフ、この後、少しだけお付き合い願えませんか? リヴと話がしたいのです」
「分かった。確と見守ろう」
ルーカスが真剣な表情で言ったため、エドワード達も真剣に返した。
「おいテオ、決闘でもする気か? ここで話すんなら、俺も残るぞ。もしもの時はお前らだけでも抑え込めると思うが、一応生徒会役員の監督者だからな」
一応って……。素で話したかったんだけど、まあベニーならいいかな。
「兄上、ベニーは良いでしょうか?」
ルーカスの問に、エドワードはイライアス先生の顔を見据える。どうやら意味が伝わったようだ。
「良いと思うぞ」
その言葉に、ルーカスは演技をやめてイライアス先生の方を見た。
(雰囲気が……)
「ベニー、居ても良いけど、口外しないでね?」
イライアス先生はルーカスの素に、驚きが隠せない。
「言いましたでしょう、ベニー。皇族には色々と事情があるのです。他言はなさらないですよね。ルー、私達も見守らせてちょうだい」
ソフィアがやって来てイライアス先生にそう言うと、彼は背筋が凍った。
「ルーク、私達も立会人をしても良いかい? もしノアちゃんに酷いことをされそうになったら、私が懲らしめてあげるからね」
笑顔でそう言うウィリアムに、ルーカスは少し困った表情になる。
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