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本編 学園中等部編
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しおりを挟む劇の公演も終盤にさしかかろうとする時に、もう一度入れ替わりが起きた為、ルーカス達は前の方の席へと移動した。
そして最後のクラスの劇が始まる前の準備時間。
「私はそろそろコンテストの準備に行ってくる」
「お供致します」
ルーカスがそう言って立ち上がると、リヴァイもすぐに立ち上がった。
「……そうだな。舞台裏まで送ってくれ」
「終わるまで舞台袖でお待ち致します」
「暇になるぞ?」
「「でしたら、私も一緒に待っておきますよ」」
そう言って、アレイルとキャサリンが同時に立ち上がった。2人はぱちくりと目を見合わせた。
すると、少しだけルーカスの表情が柔らかくなる。
「ふっ、エイル、着いてこい。キャシー、アンダーソンとラッセルと共にいてやれ。私の晴れ舞台だ。この良い席で、見てくれるな?」
護衛が欲しかったけれど、観覧の邪魔をしてしまうと思っていたのに、3人ともすぐに着いてきてくれるからなあ。仕事だからだろうが、何だろうが、やはり嬉しいものだね。
「「仰せのままに」」
((良かった。久方ぶりにルーカス殿下が上機嫌になられた))
ここ最近は、オリエンテーションの準備等で忙しかったり、ルーカスの成長痛での寝不足などで顔色が悪かったりした。そのため、ゆっくり話す時間もなければ、ルーカスの数少ない笑顔を見る機会もあまり無かった。
そして昨日今日は少し暗い表情だった気がした為、2人はルーカスの少しの微笑みに物凄く嬉しく思い、安堵したのだった。
「では行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」
ルーカスとリヴァイ、アレイルは舞台裏へと向かって行った。
「私の晴れ舞台をこの良い席で見てくれだなんて、本当にテオ殿下って人たらしよね~」
「ふふふ、そうね」
「ふふ、キャシーすっごく嬉しそうね」
3人が舞台裏に行くと、ソフィア、ティファニー、グレース、ナタリーがいた。
「ルー、向こうに着替えスペースがあるから着替えてきてちょうだい」
「分かりました」
ルーカス達は男子生徒用の着替えスペースの方へ向かう。
「カーテンの前で待つか?」
「人がいるようですので中でお待ち致します」
「分かった」
3人はカーテンを開けて着替えスペースに入った。そしてルーカスは衣装を亜空間から出して着替えていく。
着替えスペースには何人かいたが、ルーカスが着替えている間に全員着替え終えて外に出ていった。
「……リヴ、報告会が終わったら少し話があるから、部屋に帰るのはその後にして欲しい」
「っ……分かりました」
(何を言われるのだろうか……)
ルーカスの言葉に、リヴァイに不安が募る。
「ルーカス殿下、そのお話の事をキャシーに伺いました。本日は私も報告会が終わるまで、隣室の方で待機させていただいてもよろしいでしょうか?」
「それは、話し合いの立会人をしてくれるということかな?」
「そういう事です」
「分かった。終わったら呼びに行くね」
「承知致しました」
どうやらキャサリンがアレイルにも見守って欲しいと伝えていた様だ。
「では、着替えられたから出ようか」
「ルーカス殿下、髪型はそのままで行くのですか?」
「どうしようかな。三つ編みにしてもいいんだけど」
「でしたら、リヴに結って貰ってはどうでしょうか?」
リヴに頼みづらい事を分かって、気を遣ってくれたんだね。
「リヴ、お願いしてもいいかい?」
「勿論です」
ルーカスは髪につけているリボンを外してリヴァイに背を向けた。リヴァイはいつもの様に手際よく、髪を三つ編みにしていく。
「……出来ました」
「ありがとう。では今度こそ行こうか」
ルーカスがリヴァイ達の方を振り返って言う。
するとリヴァイとアレイルは少し目を見開いた。
「衣装が黒だからでしょうか? いつもと雰囲気が違いますね」
「とても格好良いです……」
「ふふ、それは良かった」
ルーカスはにやりと凄く嬉しそうに笑った。そしてカーテンを開けて着替えスペースを出ていった。
「はぁ……」
「完全にやられたな、リヴ」
リヴァイは口を抑え顔を赤くしてため息を吐いた。
「あまり舞い上がらせないでくれ……」
3人がソフィア達の元へ戻ると、皆も衣装に着替え終えていた。
「あらルー、すっごく格好良いわね。その衣装も良いわね。クラスの子達が作ったの?」
「そうだ。ティファニー達もよく似合っている。とても綺麗だ」
「……天然人タラシ」
ルーカスの褒め言葉に、ティファニー達は不覚にもドキッとしてしまった。リヴァイの表情が物凄く怖い。
「ルー、私達の出番は1番最後になったみたいなの」
「そうですか。分かりました」
どうしてだろう……?
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