転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 ルーカス達は出店の所へ行き、食事をとる。


「テオ、もう良いのか? 全然食べてないだろ?」


「いつもよりは食べている方だ」


「そうですね。最近背も伸びられましたし少しずつですが、食べられるようになってきましたね」


「その量でか?」


「この量でだ」


 ルーカスとキャサリンの返事にマルセルは疑う様にそう言ったのだった。

 そしてその後皆が食事を終えると、劇を見る為に講堂へと移動した。


 講堂に着くと、丁度先程公演していた劇が終わった様で、先に見に来ていた生徒達が大勢外に出てきた。
 劇を優先させた為、今から朝食を取りに行くようだ。


「ルーカス殿下、前の席が空いておりますが、どうされますか?」


「どうせならば、近くで見るか」


 ルーカス達は、空いていた前側の真ん中付近の席に座った。ルーカスの隣にはキャサリンとフランクが座る。


「舞台も見やすい良い席だな。そういや、ノア様達の劇は何時からなんだ?」


「午の刻だ」


「へぇ、もう準備してんだろ? 劇って大変なんだな」


 フランクが不思議そうにそう言った。


 アール達も劇はしたことがないのかな?


「劇が大変というのもあるけど、リヴとエイルが準備を優先させているのは、ルーカス殿下が仰ったからよ。そうじゃないとあの2人はルーカス殿下のお側を離れようとしないもの」


「キャシーもね」


 キャサリンがフランクに説明すると、カメリアがキャサリンもそうだと付け足した。
 するとキャサリンは少し呆れたように2人ほどでは無いと言った。


「そなたらは心配性なんだ。人がいる所で、私にちょっかいをかける馬鹿などいな……」


 そういえば昨日居たね……。


 ルーカスは昨日の男子生徒2人を思い出し、言いかけた言葉をやめた。そこにキャサリンが少し不機嫌に言う。


「私達の心配は妥当なものだと思います。現に今もその馬鹿な者達が謹慎をしているのですから」


 それを聞き、ルーカスは押し黙り、フランク達やアリッサ達は妥当だなと思ったのだった。




「あ、そろそろ劇が始まるみたいですよ」


 ギャレットが言うと、皆も舞台の方に目を向ける。舞台では準備が整ったようで司会者であるアシェルが舞台の脇に立っている。

 そしてアシェルが劇のあらすじを簡単に説明し、劇が開始した。







 それからルーカス達は2公演観賞し、間の休憩時間に入った。休憩時間の後は、いよいよリヴァイ達のクラスの出番だ。


「やっぱり凄いですね。生徒の演劇とはいえ、構成も精密で迫力もありました」


「そうだよな。まぁ、マルセルはずっと寝てたけど……」


「ん……? 終わったのか?」


 フランクの声にマルセルが目を覚ました。そして寝ぼけた様子で尋ねてくる。


「ロニーとだけは、演劇観賞のデートはしたくないだろうな」


「間違いないな。じゃあルーカスは私と演劇観賞のデートに行くか?」


 フランクがにやりと笑ってそう言うと、ルーカスもにやりと笑って返した。


「それは楽しそうだな」


「……俺だってデートの時くらいはちゃんと起きる」


「ふふ、どうだろうな?」


 そしてマルセルがバツが悪そうに言うと、ルーカスは今度は声に出して笑って聞き返した。
 それに皆は凄く驚いた表情をする。すると、ルーカス達の席に、リヴァイとアレイルがやって来た。


「どうした。今は準備の時間のはずだが、何かあったのか?」


 リヴァイはフランクとマルセルを少しだけ睨み付ける。
 そしてルーカスはリヴァイの視線の方に目を向けた。すると、マルセルとギャレットが少し顔を強ばらせている。フランクは何ともないようだ。


(怖っ……)


「……先程、イライアスから伝言を頼まれました。本日のオリエンテーション終了後に報告会を開くので、生徒会室に来てほしいそうです」


「……それだけか?」


「はい」


 ルーカスが訝しげに尋ねると、アレイルが返事をした。


「……了承した。だが、わざわざ出番の前に伝えに来なくとも、終わってから会うのだからその時で良いだろ。皆も待っているはずだ。早く戻れ」


「……我々は、何よりも殿下の事を最優先しなければいけないのです。では、失礼致します」


 っ、それはそうだよね。リヴは仕事だから僕を優先してくれる……。


((リヴ、何も今そんな言い方をしなくても……))


 リヴァイの一言で場の空気が一気に冷えきった。

 アレイルとキャサリンには、ルーカスとリヴァイが互いを思って発言した事を分かっている。そして今の状況では、リヴァイの言葉をルーカスがどのように受け取るのかも。

 しかし、フランク達やアリッサ達には2人の言葉はこう聞こえていたはずだ。
 わざわざ出番の前に抜け出して、自分の役割を放棄するなと。そしてリヴァイの言葉は、自分は側近としての役割を優先したまでだと。


 そして、リヴァイとアレイルは、舞台裏へと帰って行った。





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