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本編 学園中等部編
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しおりを挟むリヴァイの言葉に、皆が驚いた。
っ、凄く怒っている事が伝わってくる……。
「おい、リヴ! 言い過ぎだぞ!」
「だが事実だ。殿下、先程貴方を手篭めにしたいと言っている者がおりました」
リヴァイは心の底から湧き上がる憎悪を隠そうとせずルーカスに言うと、ルーカスの背筋が凍った。
アレイルやグレース達は、何を言い出すのかと驚いた。
「その格好では襲ってくれと言っている様なものだと、そう言う者もおりました。口に出さないだけで、心の中ではそんな事を思っている者達が大勢おります」
ルーカスは恐怖で顔を顰めて拳を握った。
「それでもなお、私達がお側を離れても構わないと仰いますか?」
リヴァイは憎悪を剥き出しにして、淡々とルーカスに尋ねる。
もし、リヴ達が離れて、またあんな事になったら……?
ルーカスの瞳には強い恐怖が浮かぶ。そしてルーカスはリヴァイ達から目を背けて言う。
「悪い。ここにいてくれ……」
そう言ってルーカスは仕事に戻って行った。
「リヴ、お前今日は少しらしくないぞ」
「……分かっている」
リヴ、凄く怒っていた……。僕を心配して言ってくれた事は分かっている。けれど、いつものリヴなら、あんな風には絶対に言わない。……何か、怒らせるようなことをしてしまったのかな。
ルーカスはリヴァイの態度と言葉に、不安が拭えない。
「テオ殿下、注文いいですか?」
「ああ」
ルーカスは不安や恐怖を頭の隅にやり、仕事をこなす。
そして午の刻正刻。ルーカス達は昼食を取るために、交代で休憩を取る。そしてそれが終わると、また仕事に戻った。
この頃にはキャサリンがクラスの仕事を終えて、リヴァイ達と一緒に席に座っている。キャサリンの友人のアリッサとカメリアも一緒に来ている。
「ルーカス様、これを運んで頂けますか?」
「分かった」
ルーカスは、紅茶とケーキを持って2人組の男子生徒の席に運ぶ。
「アッサムとチョコレートケーキだ」
「ありがとうございまーす」
この人達、先程からずっと居るよね。
「食器を下げるぞ」
そう言ってルーカスはティーカップを持つ。そして奥にあるお皿を取ろうと手を伸ばすと、急に男子生徒に腕を掴まれ引き寄せられる。
「((ボソッ…殿下、その格好凄く可愛いですね。誘ってるんですか?」
その言葉と掴まれた腕に、嫌悪感を抱き、ルーカスは力が抜ける。そして持っていたティーカップを落としてしまい大きな音が鳴った。
周りの生徒達は何事かと目を向ける。
やだ……気持ち悪い。離して……!
すると、突然ルーカスの視界が揺れた後真っ暗になった。
「貴様達何をしている」
そしてルーカスの頭上から、悪寒がする程の冷え切ったリヴァイの声がする。
どうやら、リヴァイがルーカスを自分の体に引き寄せて、庇うように抱き締めているようだ。
「殿下に対してふざけた事を企んでいる者が多い様だな。殺されたいのか?」
リヴァイがこれ以上ない程のどす黒い声でそう言うと、濃厚な殺気と魔力も共に出てくる。ルーカスの腕を掴んだ男子生徒は恐怖の余り腰を抜かして動けない様だ。
「落ち着け、ノア。テオ、何があった?」
イライアス先生がリヴァイを宥めて、ルーカスに状況を尋ねた。その頃には、ルーカスの嫌悪感も引いていた。
「腕を引かれて、この格好は誘っているのかと問われた」
「……はぁ、分かった。俺はこいつら学園長室に連れていくから、お前らは続けておいてくれ。テオはスカートは脱いで制服のズボンに履き替えておけ」
「ああ」
そう言うとイライアス先生は男子生徒2人を連れて教室を出て行った。
「殿下、足から血が出ております。割れた破片で切られたのでしょう」
本当だ。
ルーカスの足には、切り傷が出来ており血が流れている。
「リヴ、私達でここは片付けておく。ルーカス殿下を医務室まで連れて行ってこい」
「分かった。抱えてもよろしいですか?」
「……頼む」
リヴァイはルーカスの返答を聞くと、ルーカスを軽々と横抱きに抱えて医務室へ向かった。
「今、さらっと横抱きで連れて行ったわよね?」
「ええ、横抱きだったわ……」
アリッサとカメリアは、当たり前のように横抱きに抱えたリヴァイに驚く。そして良いものを見たなと思った。それに気付いたキャサリンは、少し呆れた表情になったのだった。
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