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本編 学園中等部編
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しおりを挟む翌日の午後。ルーカス達のクラスはイライアス先生が教卓に立ち、オリエンテーションについて話す。
オリエンテーションは8の月23の日、24の日の2日間ある。1日目は教室でする模擬店が中心で、2日目は講堂でする演劇やミスコン、ミスターコンなどが中心となる。
「で、場所だが、講堂か教室どっちがいい? 講堂だったら演劇やミュージカルだなー。教室だったら、遊ぶ系か食事系だじゃあ多数決とるぞー」
多数決まで早いね。
イライアス先生が多数決をとると、ルーカス達のクラスは教室でする事に決まった。
「じゃあ教室でやる模擬店の案だしてけー」
その言葉に何人かが案を出していく。
「お化け屋敷~」
「カフェ!」
「迷路ー」
他にも謎解きや焼き菓子の販売などが出てきた。すると、1人の男子生徒が声を上げる。
「はい! 仮装カフェなんてどうだ? 男装したり女装したり、メイドや執事の格好してさ。個人的な願望だが、私はテオ殿下の女装が見たい!」
っ!?
「ちょ、ちょっと、フランク。何言ってるんだよ!?」
フランクの突拍子もない発言に、演技中にも関わらず、ルーカスは目を見開いて驚いた。そしてフランクの発言に友人のギャレットが慌てて叱責を入れる。
「だって絶対綺麗だろ!」
……アールは悪意がなく純粋に思った事を言っているだけだから、断りづらいんだよね。
「そ、それなら! 私、テオ殿下の衣装作りたい!!」
ルーカスがそんな風に思っていると、女子生徒も声を上げる。
「フェイス、本気なの!?」
「ジェイダだってこんな綺麗な人の衣装、作ってみたいでしょ!?」
「確かに興味はあるけど~!」
フェイスとジェイダがワクワクした感じで話している。ルーカスは現状についていけていない状態だ。すると、笑いを堪えていたイライアス先生が大声を上げて笑う。
「あははっ!! いいんじゃねーの? 面白そうだし。他の奴らも乗り気みたいだからな。テオ頑張れよ」
イライアス先生は決定事項のように言った。その事にどう反応すれば良いのか分からず、ルーカスはため息を漏らした。
「はあ、分かった。だが、アール。言い出したのだからそなたも仮装しろ。そうだな犬の耳と尾でもつけたらどうだ」
「えっ!! 私も女装するんですか!?」
「……そうは言っていないだろ。執事や騎士の姿でだ。女装するならヒューの方が似合う。可愛い顔をしているからな」
そう言ってサラッとギャレットを褒めたルーカスにクラス中の皆が、かっこいいと思ってしまった。
「でも確かに、ヒューは女装似合いそうよね」
「目も大きいし、肌も綺麗だし……女より可愛いわよね」
フェイスとジェイダがわくわく顔でそう言うと、ギャレットがあわあわする。
「じゃあ、このクラスの模擬店は仮装カフェでいいかー?」
イライアス先生の問いかけに皆が元気よく賛成した。
「当日の役割は後で決めるとして、先に責任者と副責任者を決めるぞー。立候補でも推薦でも良い」
その言葉にルーカスが手を上げる。
「おっ、テオやるか?」
「いや、責任者はアールがいいのではないか? 人脈もあるし、人柄も良いからな」
「ルーの言う通りね。けれどアールはたまに暴走する事がありますから、制御できるヒューかロニーが副責任者になるのはどうでしょうか?」
ルーカスの推薦の意見に、ソフィアが付け足して言う。
ロニーはフランクとギャレットの友人のマルセルという男子生徒の仮名だ。
「推薦が出てるが、お前らどうする?」
「私はやってもいいですよ。副責任者ならギャレットの方が向いてるよな?」
「そうだな。俺はギャレットほどお前を止められる自身はない」
「ひどいな。そんなに暴走してるか?」
「さっきの発言を聞く限り、お前はいつも暴走している」
マルセルの言葉にクラス中の皆が共感する。
「じゃあギャレットで決まりだな! 良いか?」
「良いけど、止められなくても文句言わないでよ?」
「安心しろ。お前が無理なら誰にも止められねぇから。それか物理的に止めるかだな」
マルセルが冗談に聞こえない声のトーンでそう言うと、フランクの顔色が少しだけ強ばった。
物理的に止められたことがあるのかな?
「よーし、責任者と副責任者が決まったからな。あとは2人で進めてくれー」
イライアス先生がそう言って椅子に座ると、生徒達が少し文句を言った。
その後、フランクとギャレットが進行して役割を決めていく。
当日は接客と調理に別れ、2回の交代を挟んでローテーションしていく。
接客は、男子生徒がルーカス、フランク、ギャレット、マルセルの4人。女子生徒がソフィア、ナタリー、シエンナ、アンジェリーナの計8人となった。
そして調理はヨハン、クロエ、フェイス、ジェイダ達の計11人となる。
当日は1人2回シフトがあり、それぞれ接客は5人、6人、5人。調理は7人、8人、7人で回すことになった。
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