転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 あれからひと月ほど経って6の月後半に入り、もうすぐ夏の長期休暇が終了する。
 ルーカス達は、アレクサンダーとパーシヴァルの授業を受けて、実力をめきめきと伸ばしている。今日も皆で授業を受けている様だ。


「あと10回です。頑張ってください」


 皆は今、剣の素振りをしている。日が経つにつれ、素振りする回数がどんどん増えていった。ルーカスや、エドワード、リヴァイあたりは、涼しい顔ででやって退けるが、グレースやエルヴィス、ヨハンあたりは、本当に辛そうだ。
 リリアンは鍛え過ぎるといけないため、いつもの授業時と同じ量で止めている。


「はい、終了です。よく頑張りましたね。この後は少し休憩をはさんでから対人戦闘を行います。水分をしっかり取っておいてください」


 アレクサンダーの言葉に、ルーカス達は日陰へと移動し休憩する。


「長期休暇ももう少しで終わってしまうね。と言っても、学園でも毎日顔を合わせるけどね」


「そうですね。この長期休暇は、とても充実しておりました」


「そうだね。あ、ネックレス。今日も付けてくれているんだ。ふふ、うれしいな」


 ルーカスが嬉しそうに弾んだ声で言うと、リヴァイも少し嬉しそうだ。


「殿下が下さったものですので、肌身離さず持っております」


「ふふふ、ありがとう」


「おい、そこ~。いちゃつくなよ~」


 メーリンが冗談めかして言うと、ルーカスは楽しそうに笑った。




 そして休憩が終わると、剣術の対人戦闘が始まる。ルーカスはリヴァイと組み、全力で切りかかる。


 リヴァイも初めこそ防戦一方だったが、最近はルーカスに反撃できるようになってきた。
 リヴァイの一撃は、ルーカスが剣で受け止めたとしても、軽く後ろに吹き飛んでしまう程重い。


 力の強さは、恐らくアドルフの方が強いと思う。けれど、リヴは全身を使って、攻撃を送るから、その分しっかりと体重がかかって重い一撃になるんだろうね。
 体重をかけても、崩れないバランスと、一撃を入れるタイミング。本当にセンスが良いよ。


 リヴァイの一撃に吹き飛ばされて、ルーカスの手が痺れるが、ルーカスはしっかりと剣を握ってリヴァイの急所に向かって切りかかる。
 そして、ルーカスの剣がリヴァイの首横を掠めた。


「そこまで!!」


 アレクサンダーの掛け声で、ルーカスとリヴァイは動きをとめた。


「ルーカス殿下、保てておりますか?」


「うん。へいき」


「ノア様、大丈夫ですか?」


 アレクサンダーがリヴァイに問い掛けると、ルーカスがリヴァイの方に視線をやった。


「……ああ、大丈夫だ」


(この、お前なら大丈夫だろうと言われているような視線。私はこの信頼に、答えなくてはならない)


 それから何度か対人戦闘を行い、休息する。
 すると、ルーカスがパーシヴァルのもとへ行き言う。


「ユン、久しぶりに手合わせして欲しい。良いかい?」


「剣術ですか?」


「いや、体術の方」


「分かりました」


 ルーカスが体術の手合わせを願い、2人は広い所へ移動する。


「手加減しなくて良いから、全力で来てね。骨が粉々になっても怒らないから」


「……その話はあまり掘り返さないでください」


 ルーカスが楽しそうに揶揄うと、パーシヴァルは罰が悪そうに言った。
 審判はアレクサンダーがしてくれる。


「よーい、初め!」


 その合図と共に2人は互いに距離を詰めて、攻撃を入れ合う。

 そしてルーカスの拳が、パーシヴァルの腹に思い切り入った。パーシヴァルは苦しそうな声を上げ、ルーカスから1度距離をとる。


 初めて手合わせした時よりかは、通用しているみたいだけど、これではまだ勝てないな。……手加減しているみたいだし!


 ルーカスは手加減しているパーシヴァルに少しむっとする。
 そして、ルーカスはパーシヴァルとの距離を詰め彼の顔に蹴りを入れる。


「ぐっ、、」


「手加減なしって言ったよね?」


 そう言ってルーカスも全力で、今度はパーシヴァルの首を目掛けて蹴りを入れる。

 するとパーシヴァルは慌てて、ルーカスの足を掴んで攻撃を止める。


(今のが入っていたら、確実に終わっていたな……)


 ルーカスはパーシヴァルに足を掴まれ、彼にぶら下がっている状態だ。しかしそんな事は気にせず、もう片方の足を彼の首にひっかけて、上体を起こす。
 そしてパーシヴァルの頭に思い切り肘打ちする。


 パーシヴァルは危機を感じ、ルーカスの首根っこを掴んで自分から引き剥がし、ルーカスの首を押さえつける。


「うぐっ……」


 ルーカスはパーシヴァルをどかそうと足で押すがビクともしない。
 するとアレクサンダーが試合を止めた。


「両者そこまで!」


 その声を聞き、パーシヴァルがルーカスから手を離す。


「コホッ、あ~、また負けたよ。悔しいね」


「大丈夫ですか? すみません……」


「平気だよ。またお願いね」


 ルーカスの言葉に、パーシヴァルは返事をしかねた。ルーカスはそれを気にせずエドワード達の元へ行く。


「殿下、大丈夫ですか?」


「大丈夫だよ」


 ルーカスはそう答えだが、リヴァイはルーカスの首にパーシヴァルの手形がついていることに気付く。


「ソフィア様、殿下の首元に光の魔法をかけて頂けませんか?」


「本当に大丈夫だよ?」


 リヴァイの言葉にルーカスは大丈夫だと言うが、リヴァイは譲らない。するとソフィアもルーカスの首についた手形を見つける。


(ふふ、そう言うことね)


「ルー、念の為かけておくわ」


「分かったよ。ありがとう」





◇ ◇ ◇


「ふぅ、本気で殺されるかと思ったぜ」


「だからと言って、お前は手加減を覚えろ。殿下の首が折れるところだったぞ」


「……悪い。テオ殿下の体が出来上がる頃には、俺は簡単に負けるだろうな」


「そんなにか」





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