転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 ルーカスとプレストン伯爵がお茶会の会場に着くと、キャンベルがルーカス達の元へやってきた。


「お久しぶりです、テオ殿下! いや~、学園でのご活躍は我々にも届いておりますよ」


 キャンベル男爵が声高らかに、ルーカスを褒めるが、表情からはルーカスを馬鹿にしている事が手を取るようにわかる。
 ルーカスはキャンベル男爵にジェームズ子爵夫妻達のいる机へ案内される。その間、他の者達がルーカスを罵倒する声がヒソヒソと聞こえる。


「((ヒソッ…なんであれが幹部達と一緒の机なんだよ」

「((ヒソッ…ほんとだよな。学園でのあいつの噂聞いたか?」

「((ヒソッ…聞いた聞いた。実は優しくて、皇帝達との関係も良好だってやつだろ?」

「((ヒソッ…ああ。なんでそんなやつが……ひっ!!」


 ルーカスがそちらの方を見やると、そんな話をしていた者達と目が合った。彼らはルーカスと目が合ったことに気付き一目散にその場から逃げ出した。


 ルーカスは机に案内されると、馬鹿馬鹿しいと言わんばかりの態度で椅子に座る。


「キャンベル、あの者達の会話が聞こえていたな? まさかとは思うが、そなたらも私を疑っている訳では無いな?」


「いえいえ、そのような事は決して」


 キャンベル男爵は涼しい顔でそう答える。しかし、ルーカスにはキャンベル男爵達が疑っている事が分かっている。するとジェームズ子爵が口を開く。


「我々も疑っている訳ではございません。しかし、殿下の行動は我々の意に反する事です。いじめや熱中症など、放っておけば良いでしょう」


「はあ、頭を使え。父上はルカ兄上を皇太子にする気が満々だった。だが、高等部に入った今もその気が無い。秘密裏に進めているのならばとっくに立太子しているはずだ」


 ルーカスは呆れた様な声色で言う。


「だが、今は民がそなたらの流した根拠の無い噂を信じきっている」


「噂と言うと、神が皇帝にお怒りだというものですか?」


「ああ。だから安易に立太子出来ないのだろうな。その隙に私は民からの支持を得ることにした。わざわざ、あんな者達に優しくしてやるのは面倒だが、案外妙案だとは思わんか?」


「……それは確かに、民の支持率は殿下に集まっておりますが」


 キャンベル男爵は少し面白くなさそうな表情でそう言った。


「それでは皇帝との関係が良好というのは?」


「さあな、民が勝手に言っているだけか、もしくは父上らがそんな噂を流したか」


「心当たりはないと?」


「ああ、全くないな。まあ、その噂のおかげで民は私を余り疑わなくなったが」


 ルーカスの言葉に、ジェームズ子爵夫妻達は納得は出来ないが、興味が薄れたようで、それ以上言及してこなかった。


「そんなことよりも、いつになったら頭領と合わせるんだ? お茶会に参加してから6年になるぞ」


 問い掛けを聞いて、皆が口を噤んだ。それに対しルーカスが空気を冷たくする。


「なんだ、合わせる気がないのか? それならば私がそなたらに協力する必要も無くなるな」


 ルーカスが凄んで言うと皆の背筋が伸びる。


「……あの方は、用心深いのです。殿下が本当にあの方にとって、信頼出来うるのかを慎重に判断しています」


「今はそういうことにしておいてやる。だが、私はあまり気が長くない。それだけは覚えておけ」


 パターソン伯爵が後ろめたそうにそう答えると、ルーカスは彼らを睨み付けてから言い、席を立った。


 はあ、本当に合わせる気がないのなら、時間が無駄だよ。ただでさえ、学園に入ってからお茶会に来れる回数が減ったんだから。次回も会えないのならば、後ろを付けてみるのもありだね。


 ルーカスはそう思いながら、会場を散歩して、結局今回も有益な情報を得られずお茶会が終了し、皇城まで帰って行った。




◇ ◇ ◇


 お茶会後、パターソン伯爵からに手紙が送られてきた。


 内容は、ルーカスが会わせろと催促していた事だ。
 そろそろ会わなければ、本当にルーカスが離れて言ってしまうかもしれないと書かれている。


 そんな事は分かっている! だが、どうしようもないだろう!! それに私は絶対にあの化け物に一泡吹かせてやりたいのだ。簡単に会ってたまるか。


 は何とかしてルーカスのことを引き止めろと記し、パターソン伯爵に手紙を送り返した。





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