転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 マカイラに来てから2日目の朝の辰の刻。ルーカスはキャサリンの部屋で、キャサリンに髪を結って貰っていた。




 昨夜の夕食後に、ルーカスはキャサリンの部屋へ向かった。


 コンコンコン


「キャシー、少し良いか?」


 キャサリンは扉を開けてルーカスを中に入れる。


「キャシーは髪の毛を結えるかな? 明日の朝、僕の髪を結って欲しいのだけど……」


「一応、編み込む程度なら可能ですが。いつもの様にリヴに頼まれなくてよろしいのですか?」


「せっかくのお出かけだから、リヴを驚かせたくて……。だから、可愛く、して欲しいな」


 ルーカスが少し恥ずかしそうに目を逸らしてそう言うと、キャサリンは微笑ましそうに笑う。


「ふふふ、畏まりました。明日はリヴとのデートですからね。頑張ってルーカス殿下をもっと可愛くさせて頂きます!」


「うん、ありがと……」




 そして次の日の朝、ルーカスは目を覚ますと顔を洗い、外出用の服に着替える。そして朝食を食べ終えると少し休憩してからキャサリンの部屋へと向かった。


「朝からありがとう、キャシー。よろしくね」


「はい。頑張らせて頂きますね!」


 キャサリンは楽しそうに笑ってそう言い、ルーカスの髪を優しくくしで梳いていく。


「とても綺麗な御髪ですね。ルーカス殿下がご自身でお手入れなさっているのですか?」


「そうだよ。そう言えば、一昨日僕が大浴場で眠ってしまった時に、リヴがわざわざヘヤオイルを塗ってから乾かしてくれていたよ。髪を結うのもそうだけど、リヴは凄く器用だよね」


「ええ。リヴは手先も器用ですし大抵の事は何でも出来てしまいますね。恐らく、対人関係もしようと思えば器用にこなせるはずです。皇族の方やご家族には普通に接しておりますし」


(恋愛以外は……)


 キャサリンは笑顔でそう答えたが、心の中では、恋愛関係の事は全然器用では無いと断言した。そしてそれだけ自分の理性が試されている状況でも、ルーカスの事を最優先させるのは、本当に流石だと思ったのだった。


「では、結っていきますね。前髪も後ろ髪と一緒に編み込んで、おでこを全て出してしまってもよろしいですか? 後ろ髪は少し低い位置でまとめる予定です」


(上で纏めるとリヴが大変だものね)


「うん、大丈夫だよ。お願い」


 キャサリンは櫛を使いながら手際よくルーカスの髪を編み込んでいく。


「キャシーも器用だね。凄く早い」


「ありがとうございます。従姉とよく結い合って遊んでいたのです。彼女はもう結婚して娘の髪を結っているそうです」


 キャサリンが思い耽るようにそう言うと、ルーカスも微笑ましそうに笑った。


「自分でするとぐちゃぐちゃになりそうでいつも通りで行こうかと思っていたのだけど、キャシーにお願いして良かったよ」


「恐縮です。絶対にリヴを驚かせましょうね!」


「ふふ、一目惚れしてもらえるくらい可愛くしてね」


「はい。頑張ります」


 キャサリンはそう意気込んだ。そして心の中で既に一目惚れされているけれど……と思ったのだった。


 それからほんの少しの時間ですぐに完成した。


「出来ましたよ」


 ルーカスは自分の姿を鏡で確認する。


 わあ、凄い! この短時間でこんなに綺麗に結えるなんて……。


「ふふふ、可愛くなったでしょう?」


 ルーカスは嬉しそうな笑みでキャサリンの方へ振り返り、悪戯に尋ねた。


「はい。食べてしまいたい程にとても愛らしいです」


 キャサリンも悪戯な笑顔で楽しそうに返す。


「ふふ、今の母上みたいだね」


「そうですか? ふふふ」


 ルーカスの髪型は、鎖骨までの長い前髪を後ろ髪と纏めて1つに編み込まれている。そして首から毛先までの、半分辺りまで三つ編みされ、そこからシャーロットの色のリボンを何度か巻き付け結ってリボンを垂らす。
 そして毛先を少しだけカールさせ、編み込みも少し解されている。


「本当にありがとう、キャシー。これでお出かけ……デートもばっちりだね!」


「はい! を楽しんできてくださいね」


 そう言って、ルーカスはキャサリンに送り出されたのだった。





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