転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 翌日の卯の刻。ルーカスは目を覚ますと昨夜の事を思い出す。


 リヴに全てして貰っている……。鍛錬をしに行くのならば、もう起きているはず。謝りに行こう……。


 そう思いルーカスは素早く朝の準備を終わらせると、リヴァイの部屋に向かった。


 リヴァイの部屋の前に着くと扉を叩く。


「リヴ、起きているか?」


 そうするとリヴァイが中から扉を開き、中へはいるよう促される。ルーカスは部屋の中に入って演技を辞める。


「どうなさいましたか?」


「昨日の事を謝りたくて。全て君にさせてしまって、ごめんね。服も着せてもらって部屋まで運んで貰ってしまった」


「いえ、大丈夫ですよ。お気になさらないで下さい」


「ありがとう」


 ルーカスは申し訳なさそうにお礼を言った。
 そしてリヴァイも平然を装い一見普通に見えるが、内心では申し訳なさが募っていた。


「これから鍛錬に行くのかい?」


「はい。庭で剣を振ろうかと」


「毎日偉いね。そうだ、昼食の後に剣と体術の鍛錬に付き合って貰えないかな?」


「構いませんよ」


「ありがとう。では行ってらっしゃい」


 2人は部屋を出てそれぞれ庭と自室に向かった。
 ルーカスは部屋に着くと午前中は読書をして過ごした。

 そして昼食の時間になると、アデルバート達と共に食べるため、食堂で皆で昼食を食べる。


「午後はどのようにお過ごしになられますか?」


 昼食を食べていると、アデルバートがルーカスに尋ねた。


「リヴと剣と体術の鍛錬をする予定だ。エイルも来るか?」


「はい。ご一緒させて頂きます」


「テオ殿下、私もご一緒させて頂いてもよろしいでしょうか?」


「ああ、構わない」


 鍛錬はルーカス、リヴァイ、アレイル、ラドルファスの4人で庭で行う事になった。


「それじゃあ、キャサリンは私と一緒にお茶でもしないかしら」


「楽しそうですね。ぜひ」


 夫人がそう言うと、キャサリンが嬉しそうに答えた。

 その後会話をしながら食事を進めていると、ルーカスの手の進み具合が段々と遅くなってくる。


 うーん、もう少し入りそうではあるけど、朝食はしっかりと食べたし、この後動くからなあ。


 ルーカスはお腹が膨れ始め、この後鍛錬で動く為、もう食事を終わらせようかと迷っている。それにアレイルが気付いたようだ。


「ルーカス殿下、もう少しだけでも食べられませんか? いつもよりも食べる量が少ない気がしまして……」


 アレイルは心配そうにそう言った。すると、夫人が言う。


「エイル、無理に食べさせなくとも……」


 夫人は食べられないのなら良いと言おうとしたが、ルーカスのお皿を見て言葉を飲み込んだ。


「……お腹に余裕があればでよろしいので、1口、2口だけでも食べられませんか……?」


 夫人もルーカスにもう少しだけ食べるように勧めた。
 それもそのはず。ルーカスのお皿にはまだ半分近く食事が残っている。それもルーカス用に皆のものよりも大分少なくして貰った量の半分だ。


「昨夜殿下が下さったスイカを料理長が食後に出そうと切っているのです。そちらを先に持ってこさせましょうか?」


 アデルバートも心配そうにルーカスに尋ねた。


 皆に心配をさせてしまった……。


「いや、こちらを食べる。スイカは皆で食べてくれ」


「畏まりました」


 ルーカスはもう少し食べようと食事に手を伸ばした。


「殿下、食べられそうになければ、私が貰いますので無理はなさらないでください」


「ああ。いつも悪いな」


「いえ、私が自主的にしているだけですので」


 本当にリヴは優しいな。エイル達も食事の事で心配をしてくれる。


 ルーカスはリヴァイの気遣いとアレイル達の優しさに胸が暖かくなった。

 その一方で、侯爵夫妻とラドルファスは心底驚いた表情をしている。リヴァイの余りを貰うという発言にもそうだが、何より、ルーカス達4人が、何事も無かったように平然としていることに物凄く驚いた様子だ。


「マカイラ侯爵、悪いが、次回からの私の食事をもう少しだけ減らして貰うよう料理長に伝えてくれるか? 食事は凄く美味いのだが、量が多くて食べきれないからな」


「は、はい。勿論です。伝えておきますね」


 アデルバートはまだ先程の事に困惑している様で少しだけ言葉を詰まらせたのだった。


 そして食事の後、ルーカス達はそれぞれ鍛錬やお茶をして過ごし、夕食も共に食べた。マカイラにいる間は、夕食を皆で一緒にとることになったのだった。





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