転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 ルーカス達3人が控え室に戻ると、ヨハンとリヴァイ、アレイルがやってくる。


「テオ殿下、お疲れ様です!」


「ああ」


 ルーカスはヨハンに返事をしてからエドワードに話しかけに行く。


「ルカ兄上、長期休暇でのアレクサンダーの授業の件ですが、グレンも参加する事になりました」


「ああ、分かった。日程は長期休暇前にウィリアムに伝える」


「ありがとうございます、ルカ殿下」


 エドワードはエルヴィスのお礼に頷いた。


 そうだ。グレンに聞きたいことがあったんだ。


「グレン、少しいいか?」


「なんでしょうか?」


 ルーカスはエルヴィスを連れて皆から少し離れる。特にメーリンから。


「((コソッ…そなたに聞きたいことがあったのだ」


「((コソッ…何でもお聞きください」


 こっそりと皆に聞こえない小声で話すルーカスに、エルヴィスは少し緊張した面持ちで聞き返す。


「((コソッ…そなたは、どのように筋肉をつけたんだ?」


「……え?」


 予想外の質問にエルヴィスは素っ頓狂な声を出す。そしてルーカスをじっくり見て調子を取り戻す。


「((コソッ…えっと、テオ殿下は筋肉を付けられたいのですか?」


「((コソッ…そうだ。私の体は骨だ。触れてみろ」


 そう言ってルーカスは袖を捲り、エルヴィスの前に出した。それをエルヴィスが掴んでみる。


「!?」


 エルヴィスがルーカスの腕を掴むと、エルヴィスの指同士が簡単にくっ付いてしまう。それも掴んだ所は手首ではなく、前腕部分だった。


「これは……」


 エルヴィスはルーカスの余りの細さに驚愕する。


「((コソッ…分かっただろ? グレンは細身だがしっかりとした筋肉が付いている。だからどの様に付けたのかを教えて欲しいのだ」


「((コソッ…でしたら、ジル様の授業を受ける際に、一緒に鍛えてみますか? 私も元々筋肉が付きづらかったので、もしかすればテオ殿下のお役に立てるかもしれません」


「((コソッ…それは助かる。頼めるか?」


「((コソッ…勿論です」


 エルヴィスは微笑んでそう言うと、2人は皆の元へ戻った。
 エルヴィスはオーランドの元へ戻ると、声を潜めて尋ねる。


「((コソッ…私はノア様に何か無礼をしてしまったのでしょうか?」


「どうしてだ?」


 エルヴィスの問いにオーランドは不思議そうに聞き返す。


「いえ、気のせいかもしれませんが、先程、何だかとても怖い表情で睨まれているような気がしたので」


「あ~、それはノアちゃんが嫉妬してるだけだから気にしなくていいぞ」


「嫉妬……ですか?」


 エルヴィス達の会話が聞こえていたらしいメーリンが答えた。メーリンの嫉妬という言葉にエルヴィスは、ルーカスが側近であるリヴァイではなく、自分に対して相談をした事に、不快な気持ちになったのだろうと考えた。


「そうそう、ノアちゃんはルーちゃんの事大好きだらからな~。君がルーちゃんと内緒話して、腕に触れた君に勝手に怒ってるだけだから、気にしなくていいぞ~」


「……え?」


 メーリンが可笑しそうに言うと、エルヴィスはまたもや素っ頓狂な声が出る。


「それは、ノア様が恋愛的な意味でテオ殿下の事を好いておられる、ということでしょうか……?」


「そうだ。今もルーカスと話して凄く嬉しそうにしている」


「……そう、なのですか?」


 エドワードがそう言うと、エルヴィスは向こうで話をしているリヴァイとルーカス達の方を見た。しかし、リヴァイはいつも通りの表情でメーリンに尋ねた。


「いや~、それは私達も分かんね~。ノアちゃんは無表情だからな~」


 メーリンの言葉にエドワード以外の全員が頷いた。


「まあ、リヴァイが勝手に嫉妬しただけだから別にお前は気にしなくていいぞ」


「……分かりました」


 エルヴィスの頭は驚きの事実でいっぱいで、パンクしそうになったのだった。






 その後、他の生徒達の試合を鑑賞し、予選が終了し、ルーカス達は寮へと戻った。


「お疲れ様です、殿下」


「うん。リヴもお疲れ。何だか濃い一日だったね」


「……そうですね」


 ……何だかリヴ、元気がないね。


「ねえ、リヴ。何か気になる事でもあったかい?」


「……どうしてでしょうか?」


「君の元気がないから、どうかしたのかなと思って。何かあったのなら、僕で良ければ話してね?」


 ルーカスは心配そうな表情でそう言った。


(殿下には何でも見透かされているな。こんな幼稚な理由で殿下に心配をかけるとは)


「いえ、何でもありま……」

「何でもなくないよ。僕が気になるから話して?」


「っ、いえ、本当に幼稚な事なのです。殿下とハーヴィーが、何を話されていたのか気になってしまって」


 リヴァイは申し訳なさそうに、恥ずかしそうな表情をしてそう言った。


「そうだよね。視界に入る所でコソコソされれば気になってしまうのも当然だね」


 ルーカスは安堵しながらそう言う。そして話の内容を話した。


「そうだったのですね」


「気になってしまったよね。ごめんね」


「いえ、私が勝手に気にしただけですので」


「ふふ、ありがとう。明日もお互い頑張ろうね」


「はい」


 そう言って2人は就寝した。





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