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本編 学園中等部編
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しおりを挟むルーカスは試合が終わって、控え室に戻るとアレイルとエドワードが試合の準備を終えて移動しようとしていた。
「お疲れ様です、殿下。お怪我はございませんか?」
「大丈夫だ。次はエイルか。頑張ってこい」
「お疲れ様です。ありがとうございます。先程の試合は正直、凄くスカッとしました。では、行ってきます」
アレイルは少し悪い笑顔で笑うと、エドワードと共に招集場所に向かって行った。
ふふ、エイルは凄く我慢していたからね。
「テオ殿下! 試合、とても凄かったです!」
ヨハンが興奮気味にルーカスにそう言う。
「身のこなしなんて、私とは比べ物にならないくらい凄かったです」
「ネオの剣術も良かったと思うぞ」
「しかし、私はまだまだ経験不足ですので」
ヨハンは自分の剣術が、授業や大会で経験を積んだ高等部の生徒達には、適わない事を理解している。
「ならば、経験を積みに来るか? 夏の長期休暇に、アレクサンダーの授業に共に出ると良い。どうだ?」
「えっ、よろしいのですか……?」
「そなたが来たければだが」
「行きます! 行きたいです!」
ヨハンは嬉しそうに、そして決心したように返答した。その反応に、ルーカスは嬉しく思う。
「分かった。リヴ達も来るか?」
ルーカスがリヴァイやアドルフ達に尋ねる。リヴァイ達は頷いた。
「あの、ルーク様。私も一緒に参加してもよろしいでしょうか?」
グレースが少し不安そうに尋ねる。
騎士団には、女性騎士もいるはいるが、何百人といる騎士の中の10人程度だ。この大会でも、女子生徒が参加しているが、数名程度。それも平民の女子生徒ばかりだ。
貴族社会では、女は剣より魔法。魔法より芸事という風習がある。ナサニエルは他の国よりも女性差別はない方だが、やはり男性よりも非力な事もあり、女性自らでさえそういう風に思ってしまっている。
「勿論構わない。グレースが皇城に来るのならば、姉上やリリーもお喜びになるだろう」
「ありがとうございます」
ルーカスの言葉にグレースは嬉しそうにお礼を言った。
その後エドワードとアレイルの試合が始まり観賞する。2人共すぐに勝利した。そして、皆の試合が次々進んでいき、午前の試合が終了し、お昼休憩を挟む。
今の所、リヴァイは3回戦中3勝。エドワード、アドルフ、ラルフ、メーリン、オーランドは2回戦中2勝。そしてルーカス、ヨハン、グレースは1回戦中1勝している。
皆、順調な駆け出しだ。
ルーカス達とオーランド、グレースは昼食を取りに行く為に、観客席にいるウィリアム、ソフィア、キャサリンの元へ向かった。すると、側近達と生徒会の皆で一緒に観賞していたようだ。
オーランドとグレースはそれぞれウィリアムとソフィアの元へ向かった。そしてルーカス達の元へキャサリンが来た。
「お疲れ様です、ルーカス殿下。流石ですね。リヴとエイル、ネオもお疲れ様」
「ありがとうございます」
「ありがとう」
ヨハンとアレイルが微笑んでお礼を言う。
「昼食を取りに行くぞ」
ルーカスがそう言って5人で観客席を出ようとした時、リヴァイを呼び止める声がした。
「あの、ノア様! 私と一緒に昼食を撮ってくださいませんか?」
リヴァイを呼び止めたのは顔を真っ赤にしたアンジェリーナだった。
「先程も断ったはずだが」
リヴァイは冷たくあしらった。
アンジェリーナは生徒会の仕事で出場者の招集を行っていた。その時に、リヴァイに昼食を一緒に取ろうと誘っていたようだ。だがリヴァイに断られ、まためげずに誘いに来たらしい。
「どうしてですか?」
アンジェリーナは納得出来ないと言うように食い下がった。
「私は殿下と食事を取る」
「テオ殿下の護衛なんて、他の側近の方だっているじゃないですか!」
「私はお前と食事をする気がない。殿下、行きましょう」
リヴァイは、ルーカス達の方を振り返って、そう言った。アレイル達も観客席を出る為に振り返ろうとしたが、ルーカスは動かなかった。
やけにコールマンの顔が赤い。それに日焼け対策のための、風もさほど通さない生地の服を制服の上から羽織っている。もしかして……。
「殿下……?」
アンジェリーナの方を向いて動かないルーカスに不思議に思いリヴァイが問いかけた。するとルーカスは急いでアンジェリーナの方に近付く。
っ、目の焦点があっていない……!
(あれ……、前が見えない……)
アンジェリーナは、焦点の定まらない目をして後ろに倒れそうになった。
ルーカスは急いで近付き、アンジェリーナの体を支える。アンジェリーナはそのまま気を失った様だ。
「っ!?」
皆は急に気を失って倒れかけたアンジェリーナを見て、目を見開いた。
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