転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 2の月の16の日、ルーカスとエドワード達は馬車で学園に向かっていた。


「生徒会の方はどうだ? この一週間で問題はなかったか?」


「そうですね。書類仕事は皆で手分けして終わらせましたし、見回りの際も、特に問題はございませんでした」


「弓術大会の前日の設営も、概ね順調だったよ。前回オリエンテーションの設営で来てくれた人達が、沢山手伝いに来てくれていたからね」


 馬車の中で、生徒会での事を話していた。


「やはり問題と言うと、コールマンですね……」


「またか?」


 ウィリアムの言葉にエドワードは不快そうな顔をした。すると、ソフィアがエドワードに告げる。


「書類仕事の際は、先日も聞いた質問を何度も繰り返しリヴァイの元へ尋ねに行き、周りの方が注意すると泣き出します。加えて、先日の設営の時には手伝いに来た男子生徒が数名、彼女を巡って争っておりました」


「そうか、ルーカス。見回りの時はどうだ?」


「書類仕事の時に怒られた事を理由に、リヴに謝罪を装って話しかけているよ。実際は、ただ同情をしてもらおうと自分を卑下するか、注意してきた相手に対する不満だね」


「兄様、コールマンは生徒会に必要ですか?」

 ウィリアムは不満そうにそう言った。エドワードは少し困った表情する。


「だが表向きとはいえ、ベニーの命令で入った手前、追い出すにもそれなりの理由が必要だからな」


「ほんと、ベニーは要らないことをしてくれたね」


 ウィリアムが笑顔でそう言うと、学園にいるイライアス先生は原因不明の悪寒を感じるのだった。


「取り敢えずは我慢だな」


「そうですね」


 そんな話をしていると、馬車が学園につき、ルーカス達はそれぞれ教室へと向かって行った。


 なんだか、ザワザワしているね。何かあったのかな?


 学園のあちこちで生徒達がヒソヒソと何かを話している。ルーカスとソフィアは不思議そうに顔を見合わせて、教室に入っていく。
 2人が教室に入ると、数名の男子生徒がルーカスの所にやって来て詰め寄る。


 なに……?


「テオ殿下、見損ないました! まさかテオ殿下が虐めを為さるなんて!!」


「それに、側近だからってノア様の恋路の邪魔をするなんて信じられません!」


 虐め? リヴの恋路の邪魔? ……何の話かな?


「なんの事だ」


 勢い良く詰め寄ってくる彼らに、ルーカスはいつも通りの態度で問いかける。


「しらを切るつもりですか?」


「((ヒソッ…仲が悪いからって側近の恋路を邪魔するなんてね……」

「((ヒソッ…そうよね……。でも、ノア様がお慕いしているのって、コールマン嬢だって言うじゃない?」

「((ヒソッ…えっ、そうなの? それは無いでしょ! だってあの子、凄く性格悪いじゃない」

「((ヒソッ…テオ殿下が恋路の邪魔をしたって言うのも信用出来ないわね」

「((ヒソッ…そうよね。虐めだって、オリエンテーションで虐められていた生徒を助けられたんでしょう? するわけないと思うわ」


 女子生徒の中でのアンジェリーナの評価は低い。彼女の名前が出ただけで、ルーカスに対する発言が正反対のものになる。


 リヴがコールマンを。……ないね、絶対に有り得ない。


「いつまでしらを切るつもりですか!」


「私にはなんの事だかさっぱり分からん。説明してくれ」


「なっ!? 良いだろう! ここでお前の罪を全部話してやる!!」


 僕の罪、ね。……姉さん、怖いよ? まあ、ここが学園で無ければ、その発言だけで不敬罪だからね。


 興奮して口調が悪くなった彼らに、ソフィアの表情は冷たくなった。


「お前は生徒会で仕事をしている時に、アンジェリーナ様が質問している最中に横槍を入れて、アンジェリーナ様の仕事を遅らせているんだってな!」


「しかもノア様がアンジェリーナ様のことを慕っているのを知って、2人が近付けないように邪魔をしたんだろ!」


 はあ、アンジェリーナ様、アンジェリーナ様って、この子達、コールマン信者の子達か。ではこの噂は、十中八九コールマンの自作自演なのだろうね。


「おい! 聞いているのか?」


「私がリヴの慕っている者を知っているわけが無いだろ。私と彼がそんな会話をする仲に見えるか?」


((み、見えない!!))


 生徒達は、全員がそう思った。


「姉上は知っておられたのですか?」


 どう見てもリヴがコールマンを迷惑がっていたのは事実。


「ええ、知っていたわ。彼の口から直接聞いたもの。でも、私が彼の口から聞いた名はコールマンのものではなかったのですが」


 嘘…では無さそうだけど。え、リヴは好きな人がいたの!? どうして僕に教えてくれなかったんだろう。僕だってリヴの恋路を応援したかったのに。まあ、僕が出来ることは無さそうだけど。









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