転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

文字の大きさ
上 下
172 / 410
本編 学園中等部編

25

しおりを挟む


 確か、姉さんはお茶会を開くと言っていたよね。どうして僕の部屋に来たんだろう?


 先触れもなく、突然やってきたソフィアにルーカスはそう思った。


「あのね、ルー。今、お茶会を開いているのだけど、そこにリヴァイも来ているの。リヴァイが貴方とお話したいと言っているから貴方も来ない?」


 ……リヴが言うかな?


「僕も行っていいのかい? 友人を呼ぶと言っていたけれど」


「勿論よ! ルーの素を知っている人達しかいないから安心して。ほら行きましょう!」


 そう言うと、ソフィアはルーカスの手を掴んでお茶会をしている庭園に行こうとする。


「え、待って、姉さん! 僕、部屋着だから着替えないと。ローブも着ていないし」


 ルーカスがそう言ってソフィアを引き止めると、ソフィアは腕を掴みながら、振り返り、ルーカスの姿をじっと見つめる。ルーカスは首を傾げ不思議そうな顔をする。


 何をしているんだろう?


「大丈夫よ、ルー。今日の貴方も可愛いわ!」


 ソフィアは笑顔でそう言うと、そのまま歩き出してしまった。


「えっ、だめだよ。怒られない?」


「貴方は外出用の服だと、神々しくなってしまうもの。それくらい質素の物でも天使に見えるのよ? 部屋着の方が近付きやすいわ」


「ふふふ、何それ」


 ルーカスはソフィアの言葉に可笑しくなって笑ってしまった。


 まあ、良いか。後で怒られよう。


「本当よ? 貴方、外で見ると神々しくて恐れ多いもの。ふふ」


「それは姉さんも同じだよ。今日もとても綺麗だ」


「まぁ! 貴方は可愛いも綺麗もかっこいいも持っているのね。私の弟は今日も完璧だわ!」


 そんな風に話しながら歩いていると、前からセバスが歩いてくる。


「ソフィア様、お茶会の途中では? どちらに行かれるのですか? っ!? ルーカス殿下、それは部屋着では……?」


「後で父様に怒られに行くから、今は見逃して欲しいな。だめ?」


 ルーカスの言葉に、セバスは凄く考え込み、セバスも庭園まで付き添うことで、しぶしぶ了承してくれた。


「じゃあ行きましょう!」


 ソフィアは楽しそうにそう言って庭園まで3人で向かった。


 庭園に着くと、ナタリー達が楽しそうに会話をしていた。


「あっ! こんにちは、ルー様」


「こんにちは、僕もお邪魔しても良いかな?」


「はい、もちろんです!」


「ノア様のお隣が空いておりますよ」


「うん、ありがとう」


 ルーカスがリヴァイとヨハンの間に座る。するとリヴァイは、驚いた表情をしている。


「どうしたの?」


「殿下、そちらの服は、部屋着では……?」


 その言葉に、皆が凄く驚いた表情をしている。


「うん。そのまま来てしまった。後で父様には怒られに行くから、内緒にしていてくれないかな? お願い」


 リヴァイは、セバスの方へ目を向けた。


「ノア様は、断れますか?」


「……無理だ」


「私も無理でした」


「お祖父様でもテオ殿下には敵わないのですね」


 皆のやり取りに、ルーカスは首を傾げた。


「リヴァイ、ルーが来たのですよ。話をしてください」


「姉さん、その事なのだけど。本当にリヴが僕と話したいって言ったのかな?」


「あら、やっぱり気付いていたの?」


「うん。けれど、僕はリヴと話をしたいから、来てしまった」


 それを聞き、ソフィア達はリヴァイに温かい視線を送る。


「けれど、ルーカス殿下は、寮でも読書をしておられると。ノア様に話しかけないのですか?」


「リヴはずっと僕と共にいるからね。自室くらいは、1人の時間がないとつかれてしまう。ただでさえ昼間は僕の事で気を使っているんだから」


 互いに気を使って話しかけなかった為、会話か出来なかったことを知り、皆は、付き合いたての恋人か! と突っ込みたくなった。


「皆で楽しく話していたのに、邪魔をしてごめんね、リヴ」


「いいえ。邪魔などではございません。私が殿下とお話したいと思っていたのは、事実、ですので……」


 リヴァイは少し照れたように言う。


「そう、良かった。ふふ、リヴ、耳が赤いよ? 照れているのかい?」


 ルーカスがリヴァイを揶揄うように言った。


((獲物を狙う鷹の目をしてる!?))


 本当にリヴは、可愛いなぁ。


「では、寮に戻っても、沢山話しをしようね」


「……はい」


 その後、皆で会話をしながらお茶会を過し、お茶会が終わった。そして、ルーカスはアーサーの元へ行き、軽い注意を受けて自室に戻って行ったのだった。





しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...