転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

20 sideルーカス兼リヴァイ

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 翌日のオリエンテーションの日の朝。今日は授業は休みで、パーティーはお昼過ぎから始まる為、ルーカスとリヴァイはゆっくり支度をしていた。


「今日は制服ではないんだね」


「学園のオリエンテーションとは言え、殆どが貴族の子息令嬢達ですので。私は制服で良いと思いますが」


「僕も同感だよ」


 2人は雑談をしながらパーティーの準備をしていた。そして服を着替え終えた後、ルーカスがリヴァイに言う。


「ねえ、リヴ。髪の毛を結って欲しいな」


「お披露目会の時の髪型で宜しいですか?」


「覚えていたんだ」


「勿論です。殿下に初めてお会いした日ですので」


 ルーカスの言葉にリヴァイが微笑んで答えた。


 ふふ、何だか最近のリヴは笑顔が増えてほわほわしているね。良い事でもあったのかな? 可愛いな。


 リヴァイは、エドワード達と話をしてから、側近の皆からアドバイスを貰うようになった。微笑みやルーカスを褒めろというものが殆どだったが。エドワードの側近3人とオーランドからは、もう押し倒してしまえと言われたが、皇族3人に、本気で怒られていた。


(微笑みかけろと言われたが、私には効果があるのか分からない。それに、褒めろと言われても、私は口下手の為どうすれば良いのか。押し倒せは論外だ)


「ありがとう、リヴ。綺麗になったかな?」


「最初から、とてもお綺麗です」


「君のおかげで、綺麗になったんだよ」


「恐縮です」


 ルーカス達はいつもこんなやり取りをしている。加えてリヴァイは、褒めているという感覚ではなく、事実を述べているという感覚に近いのだろう。その為、リヴァイは改めて考えると、ルーカスの褒め方が分からないのだった。


「そういえば、いつも思っていたのだけど、リヴってアシェルやコールマンに冷たいよね。コールマンには無視しているし」


 リヴァイは、アシェルやアンジェリーナとは、一切雑談をしていなかった。アシェルに関しては、向こうからも仕事以外で話しかけてくることは無い。そしてアンジェリーナの話に対しては、殆どが無視という対応だった。


「コールマン嬢に話しかけられ、無視をしていた際、空気が重くなっていたのは承知しておりました。申し訳ございません」


「やはり気付いていたんだね。分かっているとは思うけれど、怒っている訳では無いからね。ただ、兄さん達からの目配せが凄くて……」


 アンジェリーナは、生徒会室で皆が仕事をしている際にも、仕事に関係ない話でリヴァイに話しかけていた。そしてリヴァイが無視して空気が重くなると、皆が、ルーカスやティファニーにどうにかしてくれと言うような表情で見てくるのだ。


「コールマン嬢が私に好意を向けているのは気付いております。しかし、私にはそれに答える気がありません。何度も話しかけられる事に正直、迷惑に思っているのですが、告げられた訳でも無いので、どう対処すれば良いのか分からず……」


「確かに、告白されていないのに断るのもね。アシェルに冷たいのはどうして? 良い子だよね」


 アシェルはヘーゼルの王子だが、ナサニエルでの自分の立場を十分に理解し、立ち回る。性格にもこれといった難はない。


「冷たかったでしょうか? 彼とは、生徒会の仕事以外で関わる必要が無いので、互いに話す事もありませんし」


 リヴァイはアシェルやコールマンと、ルーカス達に対する対応に明らかな温度差があった。ルーカスに対しては、言わずもがな丁寧で気配りを感じるような対応だ。エドワード達や側近達に対しても、ルーカス程では無いがそこまで冷たい訳では無い。
 だが、2人に対しては空気が凍りそうな程冷たかった。


 自覚なかったんだ…。必要が無い、か。そう言えば、リリーのお披露目会の時のカーソン家への対応もアシェル達に対する感じだったな。


「元々、関心の無い人には冷たいのかな?」


「エイル達からも、私と話した者は怯えていると言われました……」


「そんなに? まあ、それがリヴの普通ならば、変える必要はないか。アシェルとコールマンが嫌でという事ならば、共に仕事をする以上、少し改善してもらおうかと思っていたんだけれど。そういう訳では無いのだから、特に君が変える必要はないみたいだね」


 ルーカスの言葉にリヴァイが少し驚いた。


「……よろしいのでしょうか」


「良いよ。君が必要無いと判断したのなら、それは間違っていない。君がしたい様にすればいいよ。それに、もう皆、あの空気には慣れた頃だろうし」


(! だから殿下は今のタイミングで話されたのか)


「ありがとうございます」


 リヴァイは、頭を下げてお礼を言った。


「君は僕にだけ凄く丁寧に接するから、大切にして、特別扱いをしてくれている様で僕は嬉しいよ。ふふふ、そろそろ行こうか」


(まったくこの方は。どこまでも人を惹きつけられるお方だな)





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