転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

19 side友人 前半のみ

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「そなたらは、キャシーの友人か?」


 ルーカスとリヴァイが4人の元に来て、話しかけた。


「キャサリン・メイ・スージンの友人の、アリッサ・エリン・アンダーソンです」


「同じく、カメリア・ニーナ・ラッセルでございます」


 2人は先程の慌てた様子とは打って変わって、貴族令嬢らしい落ち着いた様子で美しいカーテシーをした。その様子にクロエは感嘆した。


「キャシー、そなたの班にクロエを入れたい。良いか?」


「勿論です」


「アンダーソン、ラッセル、そなたらはどうだ」


 そう言うと、ルーカスは2人に鋭い視線を向けた。2人には緊張の糸が走る。


(これって問いかけじゃなくて、クロエに嫌がらせをするなと言う忠告よね……)


(クロエはルナ皇女だけでなく、テオ殿下の庇護下にもあるということかしら……)


「「テオ殿下の御心のままに」」


「そうか。ステラ、この班に入ってくれ」


「はい」


 その後班割りのことをキャサリンに説明してから向こうに戻っていくルーカス達に、アリッサとカメリアは緊張がとけた。


「はぁ~、緊張した。でも、テオ殿下って優しい方なのね」


「クロエのこと、すごく心配していらしたし。世間のイメージと違ったわね」


 アリッサとカメリアは意外だと言うような表情で言った。そして、聞こえていたのかは分からないが、先程の話に一切触れられなくて良かったと思ったのだった。







◇ ◇ ◇


 少し時間を戻りアンジェリーナの友人の男子生徒の言葉を聞いた後、ルーカスはリヴァイと班割りのことを相談していた。


「やはり友人同士で組みますか?」


「そうだな。彼らには4人ずつで別れてもらう」


「分かりました」


 話終えると、ルーカスとリヴァイはそれぞれアンジェリーナの所に集まっている生徒達に4人1組で班を作ってもらう様に指示をしに行った。
 だが、殆どの生徒がアンジェリーナと組みたいと言い出し、中々決まらない。


「私がアンジェリーナ様と組むんだ!」


「いいや、俺だ!!」


 ……なにこれ。めんどくさいなぁ。


「……リヴ、頑張って止めてこい」


「分かりま……」


「待ってください! ルーカス殿下、そんな投げやりにならずに! リヴ、お前もすぐに行こうとするなよ」


「そうですよ。ノア様でも流石におひとりでは……」


 ルーカスがリヴァイに丸投げする様に言うと、アレイルとヨハンが慌てて止める。すると、アレイルが呼んだ友人達が可笑しそうに笑いながら言う。


「あはは、リヴァイお前従順すぎだろ!」


「はは、テオ殿下も丸投げですし!!」


「何が悪い」


「……リヴなら出来るだろ」


 だってあれだよ? 本当にめんどくさいよ。


 リヴァイとルーカスの言葉に、友人達は一層大笑いをする。


「仕方がない。学年とクラスに分けて班を作らせるぞ」


「はい」


 ルーカスが言うと、リヴァイとアレイルは彼らを分けさせに行く。巻き込まれてはいけない為、ルーカスはヨハン達の所でお留守番だ。


「何なんだあれは。まるで狂信者だな」


「そうですね。容姿は良い方だが、群がる程でも無いよな」


「テオ殿下の方が余程綺麗で美しいのに」


「茶化すな」


 アレイル達の友人が言った褒め言葉をルーカスが否定する。


「事実ですよ。コールマン嬢に群がるのがハエならば、テオ殿下に群がるのは美しい蝶ですよ」


「美しい花には美しい蝶しか釣り合いませんよ」


「確かに、私の所に来るのは美しい蝶ばかりだな」


 ルーカスがそう言いながら、ヨハンや側近達を見渡した。するとヨハンや友人達が驚いた表情をした。


「だが、美しい蝶が止まる場所が美しい花とは限らない。逆も然りだ。花や蝶にとって大切なのは釣り合う釣り合わないよりも、必要かどうかだろう」


「っ! テオ殿下のおっしゃる通りだ。先程の発言はどうかお忘れ頂けますか?」


 ルーカスの言葉を聞き、アレイル達の友人の1人が恥ずかしそうにそう言った。


「必要ない。醜いよりも美しい物が良いというのは、当たり前の事だろう。私もそう思う」


 ルーカスが一切感情の見えない表情で言った。その発言と同時に、リヴァイとアレイルが戻ってきた。


「1つお聞きしても宜しいですか?」


 アレイル達の友人が尋ねると、ルーカスは頷いた。


「テオ殿下にとって1番美しい蝶はどなたでしょうか?」


 っ、僕にとって、1番美しい蝶……。それは、あの人意外有り得ないな。


「シャーロット・ルーシー・オスカー、私の母だ。逆を言えば、私は彼女に群がる、愛らしい天使だろうな」


 その言葉に、友人達4人やヨハン、リヴァイ、アレイルの全員が目を見開いて驚いた。ルーカスの言葉に対してもそうだが、何よりも、悲しいそうな嬉しそうな、そんな表情で微笑んだルーカスに、皆は胸が締め付けられる思いがした。


 ああ、表情のコントロール、出来なかったな。


「リヴ、エイル、収拾してくれて助かった。リヴ、キャシーの元へ向かうぞ」


「っ、はい」


 ルーカスとリヴァイがキャサリン達の元へ向かって歩いて行く。そして班分けが終わると、皆は設営を始めたのだった。





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