転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 ルーカスが席に着くと、隣に座っているソフィアが少し不憫そうな表情でルーカスを見た。ルーカスはそれに答えるように目を閉じアイコンタクトを送った。

 その後歴史の授業が始まった。


 半刻後、休憩の時間にルーカスの所にヨハンがやって来た。


「テオ殿下、実技の件、私で宜しければ、是非ご一緒させて下さい」


「そうか、助かる。ありがとう」


「私の方こそ、組んで下さりありがとうございます」


 ヨハンは少しだけ微笑んでルーカスにお礼を言った。


 笑うと少し幼く見えるね。


「ネオ、昼食を共に取らないか?」


「あら、ルー。貴方はノア達と食べなければいけないわよ」


 ルーカスがヨハンを昼食に誘うと、隣でナタリー達と話していたソフィアがルーカスに言った。ルーカス達は授業以外は側近達と共に過ごさなければならない。その為食事も寮への登下校も側近達と一緒だ。


「承知しております。しかし、姉上もシエンナやステラと食事を共にしていると聞き及んでおりますが」


「それはシエンナもクロエも私の友人だもの。それにティファ達とも一緒に食べているわよ」


 クロエは平民だが、頭が良く初等部の頃からソフィアと首席を競っていた。その為、授業で分からなかった事をソフィアが尋ねたのをきっかけに、互いに質問し合い高め合う仲になったらしい。


「それでは私の方も問題ございません。リヴ達と共に食事を取りますので。それにネオは私の友人ですので」


「えっ、あ、あのテオ殿下!?」


 ルーカスがヨハンを友人だと言うと、ヨハンは凄く驚いている。


 ……その反応は少し傷付くよ。


「ネオは私と友人になるのは嫌か?」


 ルーカスは無表情のままではあるが、ソフィアや何度もお茶会を共にした、ナタリーとシエンナにはルーカスが落ち込んでいる様に見えているだろう。


「とても、嬉しいです」


 ヨハンは凄く嬉しそうにそう言った。


 ふふふ、すごく可愛いな。


「ならば、共に食べてくれるか?」


「勿論です」


「ルー、ティファがキャシーと一緒に食事をしたいと言っていたの。私達もご一緒していいかしら」


 ソフィアの言葉に、ヨハンとクロエが心底驚いた表情をした。


「……構いませんが」


「おらー、席つけー」


「では、約束よ」


 休憩時間が終わりイライアス先生が席に着くように促す。それから授業を受けて昼休み、ルーカス達は側近達が教室に来るのを待ってから食堂へ向かう。


 ルーカス達が食堂へ着くと食事を取り奥の方のテーブルに座った。するとソフィアが視界と音を完全に遮断し、外からの侵入を阻止する結界を張った。


 ……これって良いの?


「ルー、外とは完全に遮ったわ。どうするの?」


「……よく分かったね。僕がネオに素で接しようとしていることに」


 ルーカスが素で話し出すとヨハンとクロエが固まった。


「だって、ルーが友人に演技し続けるとは思わないもの。それに、私は貴方の姉さんなんだから」


「ふふふ、姉さんには敵わないね」


 ルーカスとソフィアが2人で会話している間も、ヨハンとクロエは放心状態だった。


「ルーカス殿下、どこまでお話されるかは分かりませんが、先に2人に説明してあげて下さい」


「ああ、そうだね。ごめんね2人とも」


「い、いえ……」


「けれど、先に昼食を取ってからにしようか」


 皆が食事を済ませるとルーカスは2人に説明していく。流石に理由を正直に話すことは出来ない為、事情があって演技をしていると伝えた。そして演技をしている事は誰にも言わないで欲しいとも伝えた。


「ごめんね、まだ理由は話せないんだ。その時が来れば話しをするから待っていてくれるかな?」


「はい、勿論です。テオ殿下がお話する事が出来る時をお待ち致します」


「私もです。ですが、私の様な者にお話されても良かったのですか? その、私は平民ですので、皆様とはお話出来るような立場ではないので……」


「身分なんて関係ないよ。ステラは姉さんが信用している子で、ネオは僕が信用出来ると判断した子だ。 僕達は君達の人柄を見たいと思っている。だから、身分なんて言う運次第のもので、自分を卑下する必要なんて一切ない」


 ルーカスの言葉に、クロエだけでなく、皆が驚いた表情をした。


「身分は運次第……。確かにルーの言う通りね。私はただ公爵家に生まれただけで、まだ何も成し遂げていないのに敬われるのだもの。運が良いとしか言えないわ」


「そうね、ティファ。私達貴族は何の苦労もせず、両親のおかげで質の良い家庭教師を付けてもらって勉強しているわ。それでも、1から学園で平等に学んで、ステラ嬢はSクラスに入り、3位の成績を取っている。それってとても凄いことよね」


「そ、そんな事は……」


「いいえ、クロエ。貴方は今まで沢山努力をしてきているわ。努力を褒めるのは当たり前の事でしょう?」


 ソフィアがそう言うと、クロエは少し照れたようにお礼を言った。


「まあ、君達には面倒な事を打ち明けてしまったとは思っているよ。だから、早く解決出来るように頑張るね」


「殿下、余り無理はなさらないでください」


「リヴの言う通りです。私達のことを頼ってくださいね」


「私達はルーカス殿下の側近ですので。お願いしますね」


「うん。ありがとう、リヴ、エイル、キャシー」






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