転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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「ルーカス殿下、よろしいのですか、彼らをおいてきて。リヴ達が叱責を入れるとは思いますが」


「新人の時に公爵家の子息に叱られるとは、可哀想だね」


「……そういう事ですか。若い方々だとは思いましたが新人の方だったのですね」


「今年から入ってきた子達だよ」


「ところで、今はどちらに向かっておられるのでしょうか?」


 ルーカス達は森の中にある、本部テントとは反対の方角に走っていた。


「彼らの馬の所だよ。ほら、いた」


 ルーカス達が森を少し抜け、村の方角へ走ると、馬が10頭固まっていた。


「よくお分かりになりましたね。オズワルド様がお教えして下さったのですか?」


「そうだよ。オズ、ありがとう」


〘これくらい朝飯前だ〙


 ガサガサ

 ルーカス達が話をしていると、草むらの当たりから物音がし、複数人の気配を感じた。
 ルーカスはすぐに剣を握り、臨戦態勢を取る。キャサリンも同様に手に魔力を込める。
 草むらから出てきたのは、痩せ気味の男達と初老の男達の6人程だった。どうやら近くの村に住んでいる村人達のようだ。


「お、お嬢さん達は騎士団の人か?」


「た、頼む!! 水を、水を分けてくれ!」


「っ、下がりなさい!」


 村人達がルーカス達に詰め寄って来る。それをキャサリンが注意した。しかし、村人達は注意を聞かずルーカス達に近付いてくる。


「お下がりください」


「なあ、頼む! 村の皆が死にそうなんだ!」


「水を分けてくれ!」


 キャサリンがルーカスに少し下がるように言い、2人が後ずさるが、尚も村人達はルーカス達に詰め寄る。


「下がれと言っているのだ。そなたらに耳は無いのか?」


「……男?」


 むっ、男だもん。


 村人達が止まった。しかし、反応したのはルーカスの言葉ではなく、声の方だった。ルーカスは動き回る時は長い髪を高く1つで結っている。今も1つで結っている為、村人達には女の子に見えたのだろう。ルーカスは心の中で少しムッとした。


「話を聞く。だが1度下がれ」


「お、おう……」


 ルーカスが冷たい表情で村人達に言うと、彼らは後ろへ後ずさった。


「私が彼らと話します」


「ああ」


「まず、何故森の方へ行っていたのか説明をしてくれるかしら」


 キャサリンが質問をすると、村人達が答えていく。

 村では、ここ数年間の干ばつで井戸や田んぼの水が干上がってしまったらしい。
 その為彼らは、森の中に入り川から水を汲みに行っていたようだ。

 しかし、昨今は魔物が凶暴化し、森に入れなくなった。干ばつがましになってきていた為、最初は村の水で生活していた。だが、呪素が溢れかえるように増加し、村にも呪素が溜まり、大地が荒れ水も村で取れる作物も人々が生活できる程の量を取れなくなったらしい。

 魔物が多いと分かっていても、一か八か森に入り川の水を汲みに行こうとしたようだ。

 平民は魔力量が少ない。その為、水の魔法で水を出しても、喉は潤うが魔力が無くなりより危険な状態になる。生活するには魔力石を使用する。しかし魔力石も高価で1つの村に公共用で1、2個ある程度だ。生活するには井戸や川が必須となる。


「森に入ろうとしたが、呪素がきつく息苦しくて入口にすら近付けなかった」


「入らなくて正解だ。先程も騎士が何人も死にかけた」


「貴方達が入っていたら、一瞬で殺されていたと思うわ」


 ルーカスとキャサリンの言葉を聞き、村人達は青ざめた。
 ルーカス達が村人達と話していると、リヴァイ達が馬に乗り、先程の騎士達とやって来た。


「テオ殿下……?」


「何故、ここに?」


 ルーカス達の姿を見て、騎士達は不思議そうに言った。すると、魔物達の事を聞いて青ざめていた村人達の顔がより真っ青になった。


「テ、テオ殿下ってあの……?」


「第3皇子のテオ殿、下……??」


「す、すまねぇ! 俺達、皇族とは知らなくて……。声、かけちまった」


「構わん。そんな事よりも、そなたら、余程疲れているようだな」


 ルーカスは慌てて謝る村人達を気にせず、騎士達に向かってそう言った。騎士達はここまで歩いてきた為、凄く疲弊している。


「申し訳ございませんでした。私達の無謀な行いで、仲間に迷惑をかけるところでした」


「「申し訳ございません!!」」


 騎士や魔法士達は頭を下げて謝った。


「直接関わっていなくとも、アレクサンダーには最高責任者として、責任をとる義務がある。頭に入れておけ」


「「はい!」」


「そなた達に罰を与える。今から各自馬に乗り森周辺の村へ向かえ。そして村人達にめいっぱいの水を与えてこい」


「返事をしろ」


「「りょ、了解!」」


 リヴァイが返事を促すと騎士達は急いで返事をしてから馬に跨り、それぞれ村に向かって駆けて行った。


「そなたらも自分の村へ帰れ。明日魔法士をそちらに送ってやる」


「た、助かる! ありがとう!!」


 村人達も自身の村へと戻っていく。


「キャシー、アレクサンダーの位置を教えるから彼らの事を報告しくれるかな」


 キャサリンはルーカスと共鳴した。そしてルーカスが意識を集中させアレクサンダーの気配を捉え、キャサリンが報告した。その後、ルーカス達は森へ戻り魔物の退治を続行したのだった。






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