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本編 学園中等部編
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しおりを挟むルーカスが寮に入ってから1週間後の1の月10の日、今日は入学式の為、ルーカスは自分の教室の席に座って本を読んでいた。
クラスは成績と魔力量によって決まる。ルーカスのクラスはSクラスと言って学年で1番上のクラスだ。そしてEクラスまでの6クラスがあり、1クラス20人程度だ。
Sクラスにはソフィアとナタリー、そしてシエンナもいる。座席は名前の順の為、ソフィアはルーカスの隣の席でナタリー達と話をしている。
少しすると、背の高い少し細身の男が教室に入ってきた。
「ほらー、早く席着けー」
立っていた生徒達はその男の覇気のない声を聞きながら、すぐに席に着いた。
「俺はお前らの担任になった、カルロス・ベニー・イライアスだ。
分かってると思うがこの学園では家柄による差別を禁止している。俺はお前らを仮名で呼び捨てる。お前らは俺をイライアス先生と呼び敬語を使え。分かったな」
生徒達はイライアス先生の言葉に返事をする。
「だが1つ例外がある。そこの皇族2人。お前らは俺の事をベニーと呼び捨てで呼べ。ルナはまあ良いがテオ、お前に関しては敬語も使うなー」
「分かりました」
「分かった」
皇族の女性は身分が下の者に敬語を使う事は許されるが、名に敬称を付けることは出来ない。そして皇族の男性はそのどちらも出来ない。それは爵位の差別が禁じられている学園でも例外ではなかった。
「それじゃあこの後は入学式だ。講堂に移動するぞー」
イライアス先生に続き、Sクラスの生徒達は移動していく。
講堂には高等部の1年生、中等部の1年生、初等部の新入生達と生徒会役員の人達が集まってくる。
ルーカスは、代表挨拶をするため、生徒会役員のいる壁際の席に向かった。そこにはエドワードやウィリアム、セドリック達がいた。ルーカスはエドワードとウィリアムにお辞儀をして、席に座った。
全員が集まり終えると、司会を担当しているノーマンが入学式の開会の言葉を言った。ノーマンも生徒会の1人だ。
「続いて学園長より挨拶です」
ノーマンがそう言うと、壇上に年配の女性が上り、音を増幅させる魔道具に向かって話し出した。
「皆さんご入学おめでとうございます。我が校はナサニエル帝国で由緒正しい学園です。この学園にふさわしい生徒に──……」
学園長の話が終わると次は生徒会長であるセドリックからの挨拶だ。セドリックが壇上に上がると女生徒から黄色い歓声が上がった。それをノーマンが注意をし、生徒達が静まってからセドリックが話し出す。
「入学おめでとうございます。皆さんも知っている通りこの学園では、家柄による差別が禁じられています。家柄ではなく、個人を見て交流を──……」
「続いて高等部、エドワード・ラ・ルカ・アイザック・ナサニエル、並びに中等部、ルーカス・アルシアン・ラ・テオ・オスカー・ナサニエルより新入生代表挨拶です」
エドワードとルーカスが壇上に上がり、先にエドワードが挨拶を始める。
「暖かな春の訪れと共に──……」
凛とした姿で話す姿は祭事でのアーサーの姿を写したようにそっくりだ。エドワードの挨拶に生徒達だけでなく、教員達も聞き入っていた。
ザザッ、ザッ──
しかし、エドワードの挨拶の途中、魔道具の調子が悪く、ノイズが入り、音がどんどんと小さくなっていってしまい挨拶が止まってしまった。
教員達が慌てて代わりの音を増幅する魔道具を探しに行くが、中々見つからない。生徒達も少しザワザワとしだしてきてしまった。
「え、どうしたの?」
「魔道具が不調みたい」
「代わりのはないのかしら」
ザワザワ
折角のエド兄さんの挨拶なのに。
「エド兄さん、そのまま続けて」
同じ壇上にいるルーカスがエドワードにだけ聞こえるように結界を張り言った。
これを聞いてエドワードは挨拶を再開した。ルーカスはエドワードの声を増幅するように音の魔法を使う。
エドワードの声が聞こえてくると、生徒達や教員達は少し困惑したが、すぐに静まってエドワードの挨拶を聞く。
その後ルーカスが代表挨拶をし終え、2人が壇上から降りると、すぐに新しい魔道具に変えられ、入学式は無事に終わった。
入学式の後、エドワードがルーカス達の部屋へやって来た。
「今日は助かった、ルーカス」
「せっかくの兄さんの挨拶だから魔道具ももう少し頑張ってくれれば良かったのにね」
「ふっ、そうだな。長居すると怪しまれる」
「うん、そうだね。またね」
そう言うとエドワードは自分の部屋に帰って行った。
「お疲れ様です、殿下」
「ありがとう」
リヴァイが紅茶を入れてくれた。
「挨拶、とても素晴らしかったです」
「ふふふ、ありがとう。僕も君達の制服姿を見れた。凄くかっこよかったよ」
「恐縮です」
「もう少ししてから食堂に行こうか」
こうしてルーカスの入学式の1日は終了した。
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