転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 幼少期

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 9の月。今日はリリアンのお披露目会の日だ。


「リリー、すごく素敵だよ」


「とても似合っているよ。本当に妖精のよう」


「弟が天使様で妹が妖精なんて私は凄く幸せですね」


「それならソフィは女神様だよ」


「ならば、ウィリアムは精霊か」


「私達にとっては皆可愛い愛し子だ」


「ええ、アース様の言う通りよ」


 リリアンを褒めていると、アーサー達まで親バカ具合を発揮した。


「陛下、そろそろ時間ですので家族愛も程々にして下さい」


 褒め合いが止まらない中、セバスが皆を窘める。


「もうそんな時刻か。リリー、今日の主役は君だ。頑張るんだぞ」


「何かあれば、私たちの所へ来ると良い」


「リリーを虐めた者はこてんぱんにしてあげるからね」


「ふふふ、そう致します」


「ルー、貴方は今日も別行動するのでしょう? 酉の刻には、控え室に来て一緒に食事を取るからね」


「うん、酉の刻に行くよ」


「待っている」


 そう言うと、エドワード達は先に広間へ入っていった。


「では、僕も行ってくるね。リリー頑張って」


「はい!」


 ルーカスもエドワード達の少し後に広間へ入った。
 広間には既に沢山の貴族達が集まっていた。


 沢山いるね。親しい人達へ挨拶回りをしないといけないね。オスカーの人達は来ているみたいだから、先に行こうか。


 ルーカスはオスカー家の人達が着いていることに気づき、彼らの所へ向かうと、彼らもルーカスに気付いた。


「第3皇子殿下にご挨拶申し上げます」


「久しぶりだな、グレ、イ……」


 ルーカスはグレイ達に挨拶をしようとしたが、その隣に立っている初めて見る女性が視界に入り、目を見開いて制止した。
 その女性は初めて会うはずなのに、ルーカスには見覚えがあった。


「お初にお目にかかります。トリルビィ・リタ・オスカーが第3皇子殿下にご挨拶申し上げます」


「テオ殿下、こちらは娘のトリルビィで、シャーロットの姉にございます。シャーロットと似ておりますでしょう。性格は全くの別物ですが」


「姉……。ああ、凄く、似ている……」


 本当に、母様と似ている。


 ルーカスは演技を忘れて、ほんの少し悲しそうな表情になった。

 トリルビィは、顔立ちはシャーロットとそっくりで、髪や瞳はシャーロットのものを暗くした様な色だった。


「初対面が公の場になってしまい申し訳ございません」


「いや、構わない」


 ルーカスは正気を取り戻し、淡々と答えた。


「シャルが亡くなった年は、殿下の心も不安定で、シャルとそっくりなこの子を見て、暴走してしまわれる可能性もあったため、私がトリーには帰省を遅らせていたのです」


「しかし、その後はトリーは色々な領地でカフェを営んでおりまして、ここ数年は録にオスカーに戻って来て居なかったのです」


「そうだったのか。早く会いたかっただろうに済まなかったな」


「いえいえ、私は勝手に墓参りに行っていましたのでお気になさらずに」


「それは良かった。またオスカーに行かせてもらう。その時はゆっくりと話せると良いな」


「楽しみにお待ちしております」


 そう言うとルーカスは、オスカー家の人達から離れて行った。

 会場内には、殆どの貴族達が集まり終えていた。すると、アーサー達が広間に入ってきて、挨拶を述べる。


「今日はよく集まった。リリアンと仲良くしてやってくれ」


 ザワザワ
 アーサーの言葉に会場の皆がざわつき出した。アーサーの言葉を要約すると、リリアンに危害を加えるなと言う警告だ。


「第2皇女殿下のご入場です」


 入場の合図とともに、扉が開かれ、リリアンが広間に入ってくる。
 リリアンは瞳の色と同じ淡い緑の生地に、所々にオレンジみのある朱色の飾りが着いたドレスを纏っている。
 そして腕には、ソフィア達とお揃いのブレスレットが着いている。


 リリアンは玉座の階段下まで来ると、アーサー達に向かい、綺麗な所作でお辞儀をした。


「((ヒソッ…エラ皇女もとても可愛らしいな」

「((ヒソッ…ああ。おい、エラ皇女の腕、あれは陛下達と同じブレスレットじゃないか?」

「((ヒソッ…ははっ本当だ。テオ殿下の足にはアンクレットなんか着いてなかったのにな」

「((ヒソッ…テオ殿下は男に襲われたんだろ? 陛下達が性別を間違えて、ブレスレット送ったんじゃね? はははっ!」


 はあ、人間はどうしてこうも他人を貶める事が好きなんだろうね。まあ、それを利用している僕も僕だけど。


 リリアンの挨拶が終わると、男爵家から順にリリアンへの挨拶が始まった。
 それを見てルーカスは、自分の側近達の親族への挨拶周りに向かっていった。






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