転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 幼少期

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「という事は、このお茶会は1種の試験のようなものだったのですね」


「ああ、雰囲気が悪かっただろう。だが、国の最高位の権力を持った者達から邪険にされているルーカスに対し、本人自身を見てやれる。そんな君達なら、リリーの側近としての役割も誠実に取り組んでくれると思っている」


「誠心誠意努めさせて頂きます」


「はい!」


「が、頑張ります!」


 その後は、ルーカスは素のままで皆との会話を再開した。


「あ、因みにだけど、メーリンがちゃん付けで呼んでいるのは、僕だけじゃなく、リヴのこともだから安心してね」


 ルーカスがそう言うと、シエンナ達は逆に表情が固まった。他の皆も一瞬手が止まる。


「ノア様を、ですか……?」


「ん? どうしたの?」


「あのね、ルー。リヴは皆から怖がられているのよ」


「え、そうなの? どうして?」


 ティファニーの言葉に、ルーカスは心底不思議そうな顔をして問い返す。するとエドワード達は、ルーカスに対するリヴァイの表情を思いだし、ルーカスの反応に、納得する。


「……顔だ」


「…顔よ」


「顔ですね」


「……え? 顔?」


 皆の言葉に、ルーカスは疑う様にリヴァイの顔をじっと見つめる。先程まで平然としていたリヴァイだが、ルーカスに見られ、少し目線を下にずらした。


「凄くかっこいいよ?」


「いや、まあかっこいいはかっこいいんだが……」


「表情や眼差しにこの体格が相まって少し怖く感じる子も多いんだよ。勿論、ルーの様にリヴの魅力を理解している子も大勢いるよ」


「そうだったんだ。それは、シエンナ達もこの反応になるね。メーリンがリヴの事を呼ぶ時、周りの人は驚いていないのかな」


「すげ~驚かれるぞ。もう私は変人扱いだな~」


「お前の変人扱いは元からだろ」


「ひで~」


 メーリンとラルフのやり取りに場が和み、皆はそれぞれ色々な話題を話していく。


「それにしても、リヴの魅力に気付いていないなんて、すごくもったいないよね」


「はい。リヴはかっこいいだけでなく、礼儀を尽くし、真面目で誠実な人間ですから」


「ふふ、エイルはリヴの事が大好きなんだね。良かったねリヴ」


 ルーカスがそう言うと、2人は気恥しそうにする。


「ふふふ、2人とも照れておりますね」


「うん、そうだね。僕達は仲間外れの様だね、キャシー」


「そうみたいです。私達も仲間に入れて欲しいです」


 ルーカスが悪戯っぽく言うと、キャサリンも悪戯っぽく返してきた。


 こうして楽しく会話をしていき、今日のお茶会はお開きとなった。






 それから2週間後、リリアンが仮名を貰いに神殿に行った日の夕食の時間。


「リリアン・ラ・エラ・カーソン・ナサニエルです」


「美しい妖精の女性。素敵な名前だわ!」


「リリーにぴったりだ」


「ありがとうございます」


 仮名を貰いに行ったため、自己紹介で名前を教える事にした。ルーカス達がベタ褒めをしてリリアンは照れながらお礼を言う。




◇ ◇ ◇


 次の日、アーサーはリリアンにルーカスの前世のことを話した。初めは、成長していて違和感などを覚える事も無いはずだから、話さなくても良いのでは無いかと言っていた。だが、リリアンは家族だからと、ルーカスと話し合い、伝える事にした。


「っ! そんな事が……」


「ルーカスは前世のことがあり、痛みに鈍感だ。そして、男性を怖がっている。何かあった時は、ルーカスを助けてやってくれ」


「1つ、お聞きしてもよろしいでしょうか……」


「どうした」


 リリアンは暗い顔をしてアーサーに尋ねた。


「ルーお兄様が、レア様に暴力を振るわれていたのは、私を守る、ためですか?」


「っ! ……そうだ。君がまだ赤子で、レアが君の所に行かないように標的を自分にさせていた様だ。だが、リリー、落ち込むな。悪いのは君では無い。もし、君が落ち込めばルーカスは自分を責めるだろう。
 あの子は人を頼る事を知らなかったんだ。自分1人で生きていかなければならなかった。だから今世でも、そんな風に振舞ってしまう。だが今は違う。あの子は私達を頼ろうとしている。だから、リリーにも、ルーカスが頼れる様に助けてやって欲しいんだ」


「勿論です! 私は、ルーお兄様に助けて頂きました。もうルーお兄様が苦しむところを見たくありません」


「ああ。私達もだ。ルーカスを、家族を共に守っていこう。そしてリリー、君も何かあった時は家族に相談しなさい」


「はい!」


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