転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 幼少期

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 今から行くのはフロースの部屋ではなく数ある広場のうちの1つだ。
 フロースが広場の扉を開く。すると広場には何百本もの花々が咲き乱れていた。


「お花畑みたいだね。すごく綺麗」


〈植物や生命の神もよくここに来るのよ。訓練中に会えるかもね〉


「楽しみにしておくよ」


 少し広場を見渡したあと、ルーカスは空を飛ぶ練習に入った。


〈翼を動かせるかしら? 意識を翼の方に持っていくのよ〉


 意識を翼に……。


 ピクピク

〈上手よ! 貴方の見込みが早いわね。じゃあ大きく動かせるように練習しましょうか〉


「うん、頑張る」


 ルーカスは真剣な表情で頷いた。


〈きゃー! 可愛いー!!〉


「わあ!」


 そう言いながらフロースがルーカスに抱きついた。


〈あら、ごめんなさい。それにしても、本当に私達だと近付いても何ともないのね〉


 そう、ルーカスはルミナス達が近付いても、体が震えたり、強ばったりすることは無かった。


 確かにそうだね。何かが違うんだろう。神界に来たから?


「……ああそうか、体温」


〈体温?〉


「そう。フロース達は体温がすごく低いんだよね。僕は多分、触れられた時の相手の体温が気持ち悪かったんだと思うよ」


〈なら、他の神達と会っても問題無いわね〉


「うん。……ねえ、フロース。どうして君は僕に触れる事が平気なんだい?」


 ルーカスは暗い顔をして尋ねた。だが、フロースは質問の意味がわからなかった。


〈……どうしてそんな質問をするの?〉


「だって、僕は知らない人達に体を触らせたんだよ。穢らわしいって思わない? 穢らわしいものに触れれば君も穢れてしまうかもしれない。僕は、綺麗な君達に僕を触れさせたくない」


〈テオ、貴方は男達に触れさせたのではなく、触れられたのよ。穢らわしいのは貴方では無く男達。だから私達が触れたくないと思うのは、その男達の方なの。
 貴方だって他の人がそんな目にあって、被害者の方が悪いなんて思わないでしょう?〉


「うん」


〈貴方も一緒よ〉


「……なら、フロース達は僕を避けないでいてくれる?」


〈勿論よ。ルミナス達やレオ達だって同じ考えよ〉


「父様達も……。うん」


 彼女達と触れ合う事で少しずつ慣らせば、知らない人は無理でも、父様達に触れられても体が反応することも無くなるかもしれない。


 ルーカスはその後も練習をして、翼を大きく動かせるようになった。


 ルーカスは練習を終えてルミナスの部屋に戻った。ルミナスは仕事をしていたが手を止めてルーカスの方に目線をやった。


《飛べたか?》


「全然だめ。でも翼を動かせるようにはなったよ」


《早いな》


 ルミナスは飛べたかどうかではなく、どこまで出来たかを聞きたかったのだろう。


 確かに口下手だね。





 次の日、ルーカスはルミナスと共に、グラキエスの所へ来た。


「おはよう、グラキエス。よろしくね」


⟬ああ。まずはその魔力封じを外せ⟭


 それを聞くとルーカスは、【アジャスト】と言う。その瞬間またしてもルーカスの体を氷柱が貫いた。


「ゔっ」


⟬……自分の体に沿うように結界を張れ⟭


 ルーカスは結界を張ろうと魔力を動かしたが、コントロールが上手く出来ず張った結界を直ぐに氷柱が破壊してしまう。


⟬悪いが、少しの間そのままで進める。魔力を押さえ込む訓練だ。体内で膨れ上がった魔力を胸に戻して圧縮しろ⟭


 胸に戻して、抑え込む……。容器に戻す感じかな。


 ルーカスは想像しながら魔力を胸の辺りに集めた。その魔力を容器に仕舞う様に想像した。が、仕舞おうとした魔力が抵抗し、外に解き放たれてしまった。


 パキパキパキパキッ!

 解き放たれた魔力が氷の性質に変化して、辺り一面を凍らせ、氷柱が色々な方向に伸びて行ってしまった。


「ごめんね、大丈夫?」


 氷柱がルミナスとグラキエスの方にも伸びていったが、2人は直ぐに回避した。


《ああ》


⟬想定内だ。しっかり出来ている。すぐに押さえ込めるはずだ⟭


 そうして数回試してみると、ルーカスは魔力を押さえ込めるようになった。
 成功して直ぐに、ルミナスがルーカスの怪我を治してくれた。


 わざわざこの為に来てくれたんだ。


「ありがとう、ルミナス」


《ああ》


⟬今日はそのままルミナスと共に過ごせ。魔力を2日間押さえ込めれば、魔力封じは無くても大丈夫だ⟭


「分かった。グラキエスもありがとう」








 ルーカスはその後2ヶ月間、フロースとグラキエスと一緒に訓練をした。


〈もう翼も自由自在に操れるし、空も綺麗に飛べているわ! これなら大丈夫よ〉


⟬魔力も上手く押さえられるようになっている。コントロールも良い。もう問題無いだろう⟭


《あとは対人だな。我らとは触れ合えるが、人間相手で何処まで耐えられるか》


 ルーカスはこの2ヶ月間で、ルミナス達以外の神とも会う事が増えた。元々神達と触れ合うことは問題無かったが、精神的なリハビリの為に、人間と姿形の似た彼等と触れ合う様にしていた。


「そうだね。でも、父様達と触れ合えるように少しずつ向こうで慣らしていくよ」


〈それがいいわ。無理はしないでね。帰るのは2日後なのよね?〉


「うん。明日は皆に挨拶をしようと思っているよ」


 ルーカスはこの2ヶ月で療養も出来たため、2日後に帰ることにした。


⟬何時でも来い。歓迎する⟭


〈こちらから見守っているわ〉


「ありがとう」


 次の日、ルーカスはお世話になった神達に挨拶をして、翌日に下界に戻って行った。






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