転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 幼少期

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「おい、翠。私のものに早く触れ。わざわざ父親として接して、お前を育ててやっているんだ。これくらいして当たり前だろ──……」




「ハァハァ、君、可愛いね。おじさんと一緒においで…ハァ、ハァ──……」





「おい、お前おっさんとヤッてるんだろ? 恥ずかしがらずに早く脱げよ!」


 びりびり!


「うわ! 痣だらけのきったねえ肌! 誰かも知らねえ奴にベタベタ触らせてるんだろ? 穢れてんじゃねえか? おい、洗ってやろうぜ!」


 バシャッ!


「あはは! びっちゃびちゃだな。これでちょっとは綺麗になっただろ──……」




 やだ、やめて。お願い、触らないで。来ないで、いやっ、や、めて…… 。


 ガバッ!

「はぁ、はぁ、また、この夢…… 。ぐっ!」


 9の月に入ってから、ルーカスは度々前世の夢を見ている。

 実の父親に性処理をさせられた。知らない人に体を触られた。同級生には汚らわしい、近付くなと突き飛ばされたり、服を脱がされて体を触られたりもした。


 どうして急にこんな夢を見るんだろう。ゔぅ、気持ち悪い──……




「殿下、顔色が優れませんよ。やはり少しお休みになられては?」


「よろしければまたクラリネットを吹きましょうか」


「ありがとう、おじいちゃん」


 夢見が悪く、ルーカスは満足に眠れていなかった。その上寝起きの情報の波も加わり、クマが酷く、顔色も真っ青だった。グレイやマイケルに楽器を吹いてもらい、眠れる様にしてもらうことも多かった。




 そんな風に1ヶ月を過ごし、10の月の上旬頃には、前世の夢を見る事も減り、数日に1度見るかどうかの頻度となった。中旬には皇城に帰る予定だった為、ルーカスはその準備をし、オスカー領を出る日となった。


「本当に帰られても大丈夫ですか?」


「まだ顔色も余り宜しいようには見えませんよ」


「大丈夫だよ。元々帰る予定だったし、最近は夢を見る頻度も減って寝付きも随分と良くなったから」


「しかし、もし眠れなくなってしまっても、光の魔法や音の魔法をかけて差し上げれませんわ」


「自分の演奏でもある程度は効果がある。余り心配しないで?」


 グレイ達は、物凄く心配そうな顔をしている。


「ではせめて、最後に魔法をかけさせてくださいますか?」


「うん。ありがとう」


 そう言うと、グレイはクラリネット、マイケルはフルートを吹き、その音色に音の魔法を乗せていく。
 そして演奏が終わると、シエルが光の魔法をルーカスにかけた。
 するとルーカスの顔色は少し血色が戻り、クマも消えた。


 ルーカスとモニカ達は門に向かった。


「ありがとう、皆。長く一緒に過ごせて楽しかったよ。また来るね」


「はい。是非お待ちしております」


 ルーカスとモニカは馬車に乗って皇城を目指して走っていった。





 夕方頃に皇城に到着した。今日は土の曜日だ。土の曜日の学園の授業は午前のみでエドワードとウィリアムも城に帰ってきていたようだ。
 ルーカスは自室に荷物を置き、アーサー達と食事をとる事になった。



「おかえり、ルーカス」


「ただいま。手紙をでやり取りしていたから久しぶりって感じはしないね」


「確かにそうね。楽しかったかしら?」


「うん。孤児院に行ったり、色々な領地を回ったりして楽しかったよ」


「そうか……」


 アーサー達はルーカスに会った時から、表情が暗かった。それはリヴァイからの報告で、ルーカスの体には沢山の痣や傷跡があったと言われたからだった。


「ルーカス。君がレアに暴行されていた事に気づけなくてすまなかった」


「ううん。僕の方こそ、君達が傷付くことを分かっていながら、この方法を使ったのだから。……リリーは大丈夫?」


「ああ。父様がリリーが1人になる頃にレアに執務をやらせている」


「レアが接触しようとしている感じは無いそうだよ」


「けれど、少し苛立っているようなの。だから、ルーも気を付けてね」


「分かった。ありがとう」


 その後はオスカー領であったことを沢山話して楽しく過ごした。




◇ ◇ ◇


 ガシャン!

「もう! どうして私があの女のお下がりの仕事をしなくちゃいけないのよ!」


 エブリンは、最初こそ執務を任せられて嬉しく思っていたが、執務の量と難しさそして何より、シャーロットがこの執務を難なくこなせていた事に苛立っていた。
 そのストレスを解消しようにも、八つ当たりの出来るルーカスはオスカーに行った。もう1つの標的であるリリアンは、1人になる時間が少なく、その時間でさえ執務に取られて会うことすら出来なかった。


(どうして思い通りにいかないのよ! それもこれも全てあの化け物のせいよ。どれだけ蹴ろうが、刃物で刺そうが死なない!)


「レア様、化け物が皇城へ戻ってきたそうです」


「どうしてこんな中途半端な時期に?」


「11の月3の日があれの誕生日だったはずです。祝ってもらえるとでも思って帰ってきたのではないでしょうか」


 エブリンの侍女がルーカスを嘲るように口にした。


「ははは、馬鹿な子ね。誰もお前を祝うわけないのに。良い事を思いついたわ! 今すぐ書簡を出しなさい!」


(ふふふ、何をしても死なないのなら、精神的に痛めつければいいわ。あれは男だけど少しくらいは恐怖を感じるはずよ。澄ました顔を出来るのも今のうちね)







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