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本編 幼少期
101 sideルーカス兼リヴァイ
しおりを挟む食事を終えるとルーカスは部屋に戻り、モニカに湯浴みの用意をしてもらう。少しするとリヴァイが着替えを持ってルーカスの部屋に来た。
「エド兄さんから傷の具合を見てきて欲しいって頼まれたんでしょ」
「……はい」
(殿下は怒っておられるだろうか)
リヴァイが申し訳なさそうな顔をして返事をする。
「そんな顔しないでよ。怒っていないから」
「しかし、私は主である貴方に黙ってリオ殿下の指示に従いました」
「でもそれは僕の事を思ってでしょう? 主を思って行動するのは側近としてするべき事じゃないかな? だから君は何も悪い事をしていないよ」
「しかし……」
リヴァイは納得できない様で、まだ落ち込んでいる。
ふふ、なんだか、落ち込んでいるワンちゃんみたいに見えてきたな。そうだ!
「なら、1つ命令を聞いてくれるかい?」
「勿論です。貴方の命令を聞くのも側近としての役目ですので」
「そう? ならば今から眠るまでの間、僕の事をルークと呼んで敬語を外しなさい」
これを聞くと、リヴァイはたいそう驚いた顔をする。
「それは出来ません!」
「僕の命令を聞くのも君の役割なんだよね?」
「それはそうですが……」
(私が殿下に対し砕けた口調等到底出来ないだろう)
「ならば聞きなさい」
「……分かりました」
「なに?」
「っ。分かっ、た」
「よく出来ました。では、湯浴みしに行こうか。モニカ、準備は出来たかな?」
いつの間に戻っていたのか、モニカはルーカス達が話している所から離れた位置で待機していた。
「用意が出来ました。殿下、余りノア様をからかわないでくださいね」
「ふふ、リヴをからかうのは、エイルをからかうのよりも楽しいよ」
「それはノア様がお気の毒で御座いますね。では、私は失礼します。おやすみなさいませ」
「おやすみ、モニカ」
モニカはお辞儀をして部屋を出た。ルーカスとリヴァイは浴室前の脱衣所へ行った。
「リヴ、先に言っておくけど、痛くないからね?」
そう言うと、ルーカスは服を脱いでいく。ルーカスの体には、治りかけの痣や切り傷、薄くはなってきているが無数の傷跡がついている。
「っ!!」
(これは本当にレア様がひとりでしたのか? それにしても、ここまでの傷跡、光の魔法を使わなければ間違いなく死ぬはずだ。だが殿下は何も無いように生きておられる)
リヴァイは驚き、そして、痛そうな表情を浮かべた。
「言ったでしょ、痛くないから」
「それは、痛みになれておられるからでは……?」
「刺された時は少しは痛かったから、治ってきた証拠だよ。ほら、服脱いで早く入ろ?」
ルーカスが下の服も脱ぎ始め、リヴァイも服を脱いでいく。先に服を脱ぎ終わるとルーカスは浴室に入って、頭を洗い始める。少しすると、リヴァイも浴室に入ってきた。
「わぁ、リヴの筋肉凄いね。どうしたらそんなに付くの?」
「毎日、鍛錬をしていたら自然と」
「へぇ、僕も毎日鍛錬しているのにな」
リヴァイは髪を洗い初め、ルーカスは髪を洗い終えて体を洗っていく。
「殿下は体質的な問題かと。食事量は増えてきておりましたので」
「だよね。それとね、リヴ、話し方。僕の命令は聞くんでしょ? ほら言い直して?」
(っ、殿下はずるいお方だな。そんなふうに言われては……)
「……ルークは、体質的な問題だと思う。食事量は以前よりも、増えているから」
ルーカスは満足そうな笑顔を向けた。
リヴァイは髪を洗い終えて体を洗い始めようとしたが、その前にルーカスに言われる。
「ねぇ、背中洗ってくれないかな?」
(っ!?)
「何故、だ?」
「洗いづらいからだけど、だめかな?」
ふふふ、凄い動揺している。本当にかわいいなぁ。
(確実にからかわれているな)
「分かった」
そう言うと、リヴァイはルーカスの背中側に回り、背中を洗っていく。
(こちらは、傷が殆ど無いな。白くて綺麗な肌だ。それにしても、いささか細過ぎないか?)
リヴァイはそんな事を思いながら洗っていると、ルーカスの体が少し震え出した。
「ルーク、震えているがどうかしたか?」
「いや、何でもないよ」
どうしよう、凄くくすぐったい……! 痛くないように優しく洗ってくれているんだろうけど…… 。やはり、言ってしまおうかな。
「ねぇ、リヴ。力を強めてくれないかな? くすぐったくて」
(ああ、それで震えておられたのか。……あれだけからかわれたんだ、敬語に戻したいし少し仕返ししようか)
リヴァイが少しの間黙っていた為、ルーカスが振り向いた。
「リヴ?」
リヴァイは、少し悪戯な表情を浮かべていた。
わぁ、リヴってそんな顔もするんだ。
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