転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 幼少期

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 ルーカスは川をあがると、そのままジュードの方へ向かった。


「クリード」


「テオ様、上がったの、か……? ってびしょ濡れじゃねえか。それに肌着のままだし」


「ああ、タオルを忘れた。服は風の魔法で乾かしているんだが、中々乾かなくてな」


「そのままじゃ風邪ひく。馬車まで急ぐぞ」


 ルーカスは、肌着を風の魔法で乾かしながら、馬車の方まで急いだ。


「殿下、水浴びしてこられたのですか?」


「ああ。タオルを…」


「忘れたんだとよ」


「直ぐにお持ち致します」


 モニカがタオルを取りに馬車に戻って、ジュードは馬を繋ぎに行った。


「お待たせ致しました。どうぞ」


「ああ。モニカ、リンダ、先に水浴びしてこい。交代で見張りを行え」


「ありがとうございます」


 モニカとミシェルは用意をして、水浴びをしに行った。
 ルーカスはジュード達に言う。


「そなたらに来月から10の月までほぼ毎月、数日間護衛を頼みたい。報酬は今回と同じで食費も宿代も出す。だが行き帰りは野営となる。それから2名程お茶会にも着いてきてもらうことになる」


「……考えても良いか? 有難い話ではあるが、7ヶ月間ともなると、活動領域が狭まる」


「ああ。4人で話し合ってくれ。だが、こちらにも事情がある。返事は25の日までにしてくれるとありがたい」


「分かった」


 話を終えると、ルーカスは馬車に戻った。服を着替えて髪を手入れし、風の魔法で乾かした。


「殿下、クリード達が水浴びをしにいきました」


「ああ」


「やはり夏前とはいえ、川はまだ冷たいですね」


「2人共馬車の中に入っておけ。火は私が見ておく」


「大丈夫よ。私が見ておくわ」


「今日は風が強い。馬車で先に温まってから来い」


「ありがとうございます、殿下」


「ありがとう、テオ様」


 2人は馬車に入り暖を取りに行き、ルーカスは火の見張りをしながら持ってきた本を読む。


「うおー、さみぃな」


「ああ。まだ3の月だからな」


 ジュード達が腕をさすりながら戻って来た。


「テオ様。ミシェル達は?」


「早いな。2人は馬車で温まっている」


「凄く寒くて」


「テオ様よくあんなに長く水浴び出来たな」


 ルーカスは氷の魔法使いの為、気温や温度の変化に疎い。その為長く川に入っていられたのだろう。


「そなたらも馬車で温まってこい」


「そうさせて頂きます」


 3人は馬車に入って暖を取りに行く。


 そんなに寒かったんだ。紅茶を入れて持っていこうかな。


 そう思い、ルーカスはお湯を沸かして紅茶を入れた。


 ガチャ

「大丈夫か? 紅茶を入れたから飲め」


「申し訳ございません。ありがとうございます」


 5人に紅茶を渡すと、紅茶を飲んだ。


「っ、凄く体が温まるね」


「紅茶ってこんな味なのね。少し辛いのね」


「殿下、生姜をお入れ致しましたか? 茶葉もアッサムではないような気がします」


「ああ。茶葉はセイロンを使った。辛いと感じた物が生姜だ」


 ルーカスはまだ春で夜は寒くなる可能性を考えて、買い物の時に生姜を買っていた。元々スープに入れようと思っていたが、涼しいくらいの気温だった為入れずに取っておいたのだ。


「飲み終えたら就寝の準備をする」


「畏まりました」


 皆が紅茶を飲み終えると、就寝の準備をする。


「テオ様とレノ様は馬車の中で寝るか? 俺達は交代で見張りをする」


「いや、馬車にはモニカだけで寝ると良い」


「ああ、体裁ってやつか?」


「まだ6歳なのに大変だね」


「いけません殿下。主を差し置いて侍女が馬車で寝るなど」


「今そなたは、侍女ではない。私に貴族の女性を平気で地べたで寝かせる人間になれと?」


 ルーカスがそう言うと、モニカは少し黙った後妥協した。


「……分かりました。ありがとうございます」


 それから皆は寝床を整える。見張りはジュード達が1人ずつ交代で行う事になった。


「ありがとうございます。おやすみなさいませ、殿下」


「ああ、おやすみ」


 ルーカスは彼等と少し離れた所で、すぐに眠りについた。





◇ ◇ ◇


 ルーカスが眠りについた後、ジュード達4人はルーカスからの依頼について話し合った。


「ミシェル、テオ様から10の月までほぼ毎月数日間の護衛を頼みたいと言われた。お前らはどう思う?」


「そう。私は正直、受けていいと思ってるわ。テオ様は今まで会った貴族とは明らかに違った」


「そうだね。まだ一日だけど、一緒に過ごしていてもストレスが溜まるどころか、快適過ぎるくらいだったよ。報酬も良いし」


「陛下から直々に頼まれるくらいだ。殿下との仲は良好なんじゃないか?」


「だが、長旅に側近は着いてこないし、平民のとこまで届く噂も、気がかりじゃないか?」


 3人はジュードの言葉にも納得した。


「着いてこないんじゃなくて、テオ様が着いてこさせてないんじゃないか? まぁそこはよく分からないがそこまで俺達に不利益は無さそうだ、俺も依頼には賛成だ」


「そうだな。何かあればその時に考えればいいか。貴族の考えることなんて俺らが想像出来るわけねぇしな」


「そうよね」


「ならお前らは7ヶ月間活動領域が狭まることに異論はねぇんだな?」


「うん」


 こうして白虎は依頼を受ける事を決定した。





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