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本編 幼少期
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しおりを挟むルーカス達がそんな話をしていると、お店に着いた。
「エドワード様、何をお買いになられるのですか?」
「そうだな。リリーはまだ2歳だからな。何か良い案はあるか?」
「私は少し字の多い絵本が良いと思います」
「成程。来年から授業が始まるからな。探してみる」
エドワード達は字が多めの絵本を探し始める。
すると、アドルフとセドリックがルーカスの方へやってくる。
「お前は一緒に探さなくていいのか?」
「私が探すのは変でしょう?」
「では、姉を取られて一人でいる彼のところに行ってあげたらどうだい?」
セドリックはリヴァイの方を指して言う。
「本当だ。貴方達もしかして仲悪いの?」
「むしろ良い方だ。あいつは真面目だから、お前の邪魔をしたくねえとでも思ってんだろ」
「側近の自分が近くにいると、迷惑だと思っていると思う」
「それは良い情報を手に入れたよ」
そう言うとルーカスは皆と離れた位置にいるリヴァイの方へと行く。
「リヴ、何か欲しいものはあった?」
「で……いえ、特にはございません」
「ふふ、ルーって呼んでよ」
「それは……」
リヴァイは困った顔をする。
「((コソッ…君が側にいても迷惑になんてならない。愛称で呼んでも失礼にはならない。むしろ、僕は君達が側にいて、名前を呼んでくれることが凄く嬉しいんだよ。だから、ね? お願い」
「承知、致しました。ルー、様。しかし、((コソッ…お忍びで無い時は殿下とお呼びしても宜しいですか?」
「((コソッ…なら、お忍びの時は僕が言った名前で呼んでね? 絶対だよ?」
「善処します」
「約束してよ」
「((コソッ…あの2人もいい感じ、に入るのか?」
「((コソッ…どうなんだろうね」
ルーカス達が話していると、リリアンへのお土産を買い終えたエドワード達が戻ってきた。
「良い物は見つかりましたか?」
「ああ。5冊買った」
「お気に召して頂けると良いですね」
「そうだね。じゃあ昼食を食べに行こうか。少し歩くけど構わないかい?」
「はい」
皆は店を出て、レストランに向かって歩き出す。エドワードはティファニーをエスコートして歩いている為、ルーカスはリヴァイの隣で歩いている。
「ねえ、リヴ」
「どうされましたか?」
「リヴはティファニーとエドワード様をどう思う?」
「姉上は聡明なお方なので、皇后様の座に付かれても、器用にこなせると思います。私は、御二方がお決めになられる事に、従います。私には恋愛というものが分かりませんので」
「そっか。確かにティファニーは素敵な方だものね。恋愛に興味はないの?」
「分かりません。ルー様はありますか?」
「どうだろう。私は好き嫌いも分からなかったからね。でも今は分かるよ。リヴ達は好き。だから、今世では分からなくてもいいんじゃない? もしかしたら来世で好きな人が出来るかもしれない。
((コソッ…まぁ僕は、今世で恋愛も経験してみたいかな。だから興味はあるんだろうね」
「そう、ですか」
リヴァイは驚いた顔をして後ろを歩いている皆の方を振り向く。
皆は途中からだが、会話が聞こえていた。
「やっぱりルーはリヴの事を落とそうとしてるわよね?」
「無自覚だ」
「その気が無いのかそれとも、その気持ちに無自覚なのかどっちだろうね」
「それは分からないね」
皆がリヴァイに少しの哀れみを向けた。
ルーカス達が歩いていると、前から2人組の男達が、ニヤニヤしながら歩いて来ている。
皆はその2人組を避けようと少しズレたが、男達はズレた方に向かって歩いてくると、ルーカス達の前で止まった。
「ねえ、そこの金髪の子。ルカ殿下に振られちゃったのか? 俺達が慰めてやるから一緒に来いよ」
「どうせ公爵家とはいえ分家だろ? 俺達は伯爵家の直系だ。それに顔だってそこの方達に負けてないだろ?」
この男達は、エドワードがルーカスをエスコートしていたが、今はエスコートされていない事を知り、ルーカスを口説こうとしている。
彼らは伯爵家の直系と言うが、ルーカスには見覚えが無かった。お披露目会に来ていなかったとなれば、遠方の家の者か分家の者達だ。
(面倒くさいな。兄さん達はお腹がすいているだろうから、早くレストランに着きたいんだよね)
「ごめんね、お兄さん達。今、彼を口説いている最中だから、お兄さん達のところには行けないわ」
ルーカスがリヴァイの方を見て言う。
「彼って、ムハンマドの嫡男のノア様か? その方はあの化け物の側近だろ? 辞めておいた方がいい食われちまうぞ」
男がそう言うと、エドワード達はほんの少しの怒りを表情に出した。
だが、男達はそれに気付かない。
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