転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 幼少期

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 ルーカスは空中で一回転して、綺麗に着地した。


(うわぁ、粉々だ)


「テオ殿下! 申し訳ございません、力を込め過ぎてしまいました! 腕は大丈夫ですか?」


「問題ない」


 パーシヴァルは顔を真っ青にして、ルーカスに尋ねるが、彼の顔は何事も無かったかのように無表情だった。
 その為、他の団員達は何があったのかが分からず混乱する。


「((コソッ…どういう事だ? 副団長は何故あんなに焦ってるんだ?」


「((コソッ…さあ。殿下は何ともなさそうだぞ」


 アレクサンダーはパーシヴァルが焦っているのを見て、訓練を締めようとする。


「ルーカス殿下、念の為後で医務室に向かいましょう。殿下の技量を見る事が出来た。
 本日の訓練はここまで! 直ちに執務へ戻れ。解散!」


 アレクサンダーがそう言うと、団員達は即座に騎士棟へ戻って行き、訓練場は皇子達とアレクサンダー、パーシヴァルの6人だけになった。


「ルーカス、腕を見せろ」


 エドワードがそう言うと、ルーカスは腕をそちらへ向けた。


「っ!? 何が問題ないだ。骨が砕けてるじゃないか! ウィリアム、頼む」


「はい、兄様」


 ウィリアムがルーカスの腕に手を向けて、光の魔法を発動する。腕が光り、少し温かくなった。


「これでもう大丈夫だよ」


「ありがとう、兄さん」


 ルーカスが笑顔で言うと、パーシヴァルは驚いた顔をする。そしてアレクサンダーの方を見ると、「察せ」と言われた。


「で、ルークに言うことあるよね?」


「本当に申し訳ないです、殿下」


「本当だよね。普通手加減するよね? ルークはまだ6歳で、君の半分程しか背も無いのに。吹き飛ばすとか有り得ないよね?」


 ウィリアムが笑顔でパーシヴァルを詰める。


「ほんとにすんません」


「ルーカス、君もだ。一瞬気を抜いただろ。何故だ?」


「ユンに攻撃した後、右手首に違和感があって、それに気を取られてしまったんだ」


「ああ、右手首は骨にヒビが入っていた」


 それを聞いた皆はルーカスの体の脆さを心配した。


「そんな顔で見ないでよ。確かに僕の体は脆いけど、ユンの体だっておかしいからね? あの骨の硬さは異常だよ」


「まあ確かに、パーシヴァルの体も異常ですね」


「でしょう?」


「はい。それに興奮して、6歳の方を相手に手加減を忘れて攻撃を打ち込むなど頭の方も異常でしょう」


「悪かったって団長!」


 パーシヴァルは申し訳なさそうに謝る。


「ウィル兄さんに魔法をかけてもらったから僕はもう大丈夫だよ。2人はエド兄さんと父様の所に行って、コンの事を報告しないと」


「そうだな。このまま行くぞ3人は先に帰っていろ」


 そう言うと、エドワード達はアーサーの執務室へと向かった。
 ルーカス達は、東棟へと向かって歩く。


「ルー、凄かったわ! 飛ばされた時も一回転して綺麗に着地していたわ!」


「ふふふ、ありがとう」




 エドワード達はアーサーの執務室に入り、コンのことを話す。


「その者は今何処にいる?」


「騎士棟の地下牢に拘束しております」


「その者は、5年の懲役と小金貨1枚の罰金、そして騎士団除名に課す。お前達2人はエドワードの指示通り行え」


「「承知致しました」」


「それから陛下。ルーカス殿下の事なのですが」


「何かあったのか?」


 アレクサンダーはルーカスとパーシヴァル対人戦等の事を話す。


「なっ! 6歳の子相手に手加減を忘れる奴があるか! お前は始末書をもう1枚書いて来い!」


「申し訳ございません!」


「その事もなのですが……」


 アレクサンダーが少し言いづらそうに言う。


「他にも何かあったのか?」


「殿下は、痛覚がとても鈍いのではないでしょうか? 骨が砕けているのに、痛がる様子が微塵も感じられませんでした」


「俺もそう思います。拳が殿下の腕に当たった時、骨の砕ける音がしました。その時の殿下の表情には苦痛は無く、少しの驚きしかありませんでした」


「それから、ルーカスがパーシヴァルに攻撃した後、右手首に違和感があったと言いました。その右手首の骨にはヒビが入っていましたが、ルーカスは痛みではなく違和感があったと言ったので少し疑問に思いました」


「痛覚が鈍いというより、無いに等しいと考えられるな」


「はい」


「分かった。ルーカスの方の始末書は明日の巳の刻までに出せ。ユンはもう下がって良い」


「承知致しました。失礼致します」


 ガチャリ


「エドワードはウィリアムとセバスを、アレクはフレディとディムを呼んでこい」


「分かりました」


「分かった」


 2人は執務室を出て、皆を呼びに行った。
 皆が来ると、アーサーは今日、ルーカスにあった事を話した。


「痛みを感じないか」


「ああ。もしルーカスが怪我をしている事に気付いたら、すぐに手当してやってくれ。そのままの状態にしておくと悪化するからな」


「分かった」


「分かりました」








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