転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 幼少期

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 6の月の初旬になった。エドワードは5の月の6の日から長期休暇に入り、城に戻ってきていた。今日は魔法の授業を受けた後、剣術の授業に出ている。

 ルーカスは半年以上、筋力トレーニングをしている。だが、余り筋力が付かなかった為、体幹を鍛える事に重点を置いていた。



「半年続けても、全然筋肉がつかない」


「そうですね。しかし、体幹は凄くお強くなられています。これならば次回から対人戦闘にご参加されてもよろしいですね」


「本当? 良かった。やっと兄さんとの約束を守れるよ」


「……そうですね」


 アレクサンダーは少し困惑した顔をする。


「どうしたんだい?」


「殿下、私達で遊ばないで下さい」


「それはすまない。こちらにしておく」


「お願いします」


 近頃ルーカスは、アレクサンダー達に対し、人と声が聞こえない程の距離があると、真顔で険しい雰囲気のまま素の話し方をする。

 何故かと言うと、楽しいからだ。これをすると、アレクサンダー達は違和感を感じ、困惑した顔になる。その困惑した顔を見てルーカスは楽しんでいたのだ。


「本日は殿下の技量を測りたいので剣術と体術を見させて頂きます。では、殿下方の所に行きましょうか」


「ああ」


 2人は、他の団員達と少し離れたところにいた為、みんなの所へ歩いて行く。
 2人が近付くと、丁度団員達やエドワード達は、剣術の対人戦闘をしていた。

「迫力が凄いな」


「剣が当たり、大怪我を負う事もございます。しかし、すぐ隣に医務室が有りますので、そこで治療を致します」


「そうか」


 対人戦闘が一段落すると、アレクサンダーが声を上げる。


「次回からルーカス殿下も対人戦闘に参加する。先に殿下の技量を見たい。誰か殿下と組んで模擬戦をしろ」


 アレクサンダーがそう言うと、ヒソヒソと話し声が聞こえた。

「((ヒソッ…殿下って、筋力を鍛える為に半年そのトレーニングしかしてなかったんだよな? なのに急に模擬戦だなんて」

「((ヒソッ…ああ。それにあんなに細い。少し触れただけで折れてしまわれるんじゃないか?」

「((ヒソッ…そうだよな。もし怪我をさせてしまったら可哀想だ」

「((ヒソッ…だが、団長がお連れなさったという事は……」

「((ヒソッ…成程」

「((ヒソッ…確かにそうだな」


 そんな話し声が聞こえてくる中、分隊長の腕章を着けた男が手を挙げる。


「私が御相手致します!」


「((ヒソッ…おい、コンが手を挙げたぞ。誰か変わらないと」


「((ヒソッ…だが、後で何かされたら……」


 アレクサンダーは、団員達の様子がおかしいことに気づき、他に誰かいないか聞いた。だが、誰も手を上げる者はいなかった。


「……殿下、彼で宜しいでしょうか?」


「構わない」


 2人は空いた所で向かい合った。


「よろしくお願いします、殿下」


 男の仮名はコンと言うらしい。コンは笑顔でルーカスに話しかけるが、彼の表情は考えていることが見え見えだった。
 アレクサンダーもこの見え見えの考えに気づいた。


(皇族だからと言って勝たせる気は無いが、弓も引けないヒョロヒョロのガキが相手だ。少しは手加減してやる)


「殿下、相手に必要以上の怪我を負わせてはいけません。勝敗は私が判断致します」


「ああ」


 シュッ

 ルーカスは、しまっていた剣を取り出し、構えた。


「では、初め!」


 その合図とともに、コンが剣を振り下ろそうとした。

 ルーカスは、振り下ろされてきた剣を自分の剣で下から思い切り振り上げて外側に彈く。その流れのまま、今度はひじを内側へ入れて剣身をコンの喉元目掛けて振り、既のところで止めた。

 コンは、一体何が起きたのか分からずに呆然としている。


「そこまで! 勝者ルーカス殿下!」


 アレクサンダーがそう言うと、団員達が歓声を上げる。エドワード達も少し嬉しそうに微笑んでいる。


「すげー! 何だ今の!」


「早すぎて全然見えなかったぞ!」


 その歓声を聞き、コンが正気に戻る。


「待ってください団長! 今のは油断しただけです!」


「油断だと?」


「そうです! まさか殿下がここまでお強いとは思いもせず」


「私は次回から殿下は対人戦闘に参加するから殿下の技量を見ると言ったんだ。誰が手加減をしろなどと言った?」


「それは……」


「貴様は相手の力量を測れ無いくせに手を抜いた。それが事実だ。殿下のせいだと? 勘違いも甚だしい」


 アレクサンダーがコンに向かってそう言うと、こんの思惑や団員達の様子をみて、エドワードが団員達に言う。


「お前達も言いたい事が有るなら今のうちに言っておけ。私が承認になる」


 その言葉を聞き、決心した様に数名の団員達が口を開いた。


「コンは家柄を盾にし、子爵家や男爵家の同僚や部下に理不尽な要求を突きつけてきました」


 それを聞き、アレクサンダーと副団長や伯爵位以上の家柄の団員達は目を見張った。
 ルーカスは直ぐに音の魔法を発動した。








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