67 / 410
本編 幼少期
60 side兄
しおりを挟む少しの間呆気に取られていた皆が、エドワードの魔力がほんの少し揺らぐのを感じて正気に戻る。
「おいエドワード、本気じゃないだろうな?」
「てか、お前普通に話せるじゃねーか!」
「エド、そんな事したらテオ殿下が悲しむんじゃないかな? 君の話を聞く限り、殿下はお優しい方なのだろう?」
「確かにそうだね、ルークを悲しませるのは良くなかったね。まぁでも、ルークと関係の無いところでならいいよね?」
「ああ。今日はやめておこう」
((この兄弟は怒らせたら駄目だな))
「皆様、もう少しでルナ皇女とテオ殿下が来る頃では?」
「そうね、陛下と皇后陛下もいらしたみたいだわ」
アーサーとジェシカが10段程の階段の上にある玉座に座っている。
全ての招待者が広間に入り終え、アーサーが挨拶の言葉を言う。
「今日は私の娘達の為によく集まってくれた。多くの人と関わる機会だ。皆で友好を深めていけ」
「第1皇女殿下並びに第3皇子殿下の登場です」
正面側にある大きな扉が開かれると、白と桃色を基調としたドレスを着たソフィアと白と青を基調とした正装を着たルーカスが立っている。
ルーカスがソフィアをエスコートして、玉座の正面まで歩く。正面に着くと、アーサーたちの方を向き礼をする。
「((ヒソッ…醜いんじゃなかったのか?」
「((ヒソッ…とても綺麗な方じゃない」
「((ヒソッ…美しすぎないか? 同じ人間とは思えないほどだな」
「((ヒソッ…角や翼もないじゃないか」
皆がルーカスの姿を称賛する。
ルーカスとソフィアは開会の挨拶をする。
「本日は私たちのお披露目会にお越し頂き、ありがとうございます。皆様にお会い出来、大変嬉しく思います。これからも良い関係を築いていきましょう」
「せっかく集まったんだ。一日、執務は忘れて楽しめ」
挨拶が終わると、男爵家から順に、ルーカス達へ挨拶が始まる。
「おい、お前の弟は本当に男か?」
「確かに、ズボンを履いていても女性にしか見えないわね」
「男だ」
「でもルークは、女神様みたいに美しいからね」
「ウィルはブラコンだな」
「噂も宛になんねーな。まぁ、愛想が悪いのは事実みたいだけど」
「一切笑わね~な。返事も、ああだけだし」
「でも礼儀がなってないって言うのは分からないわね。さっきのお辞儀すごく綺麗だったもの」
ティファニーがそう言うと、何処からか不機嫌そうな声が聞こえた。
「何がああだよ! 私がわざわざ化け物のパーティ参加してやったというのに、どうせ自分が1番だとでも思ってんだろ!」
「私もですよ! 化け物のくせに生意気だ!」
「ただの逆恨みみたいね」
「そうだな。殿下は皇族だ。何故男爵家如きに礼儀を尽くさねばならん」
「エディもあんな感じだったのにな」
「まあ、ソフィア皇女が礼儀正しいから、一緒にいると余計にそう見えるんだろうね」
「やっぱりソフィとルークを別々で開いた方がよかったのかな?」
ウィリアムが落ち込んだように言うと、ルーカスの美貌を妬む者や彼を嫌う者の話し声が聞こえてきた。
「((ヒソッ…はっ! 確かに人間じゃないだろあれは化け物なんだろ?」
「((ヒソッ…そうだ! きっと妖魔かなにかだ。だからあんな姿なんだろ」
「((ヒソッ…きっと角や翼も隠してるんだろ」
「((ヒソッ…ははっ、あの美貌なら妖魔と言うより、淫魔なんじゃないか?」
「((ヒソッ…それはいい例えだ! どうせ何人もの奴らのを咥えて快楽を貪ってるんだろ。快楽で美しくなると言うからな」
「((ヒソッ…なら俺のも咥えてくれねーかな。あの顔ならいけるだろ」
「((ヒソッ…あれはまだ4歳ださすがに私は無理だな」
「((ヒソッ…そうか? 私はあれに突っ込んで、泣き叫んでぐちゃぐちゃになる所をみたいな」
「((ヒソッ…ははっ! 確かにそれは楽しそうだ」
その話を聞いたエドワード達は、軽蔑と嫌悪の表情を浮かべていた。
貴族は礼儀作法の授業で閨の教育も早い段階から受ける。その為、まだ5歳になったばかりのナタリーもこの意味を理解し、恐怖と嫌悪で顔が青ざめている。
「なんて会話だ!」
「本当に最低ね!」
ここに来てから、殆ど話さず無表情だったリヴァイでさえ、不快そうな表情をする。
それに気付いた皆が驚き、目を見開く。
「お前感情あったんだな」
「顔怖いぞ」
「貴方がそんな顔をするとはね、リヴ」
「流石に、凄く不快です」
「そうよね。じゃあ楽しい話をしましょう。リヴはテオ殿下を見てどう思ったのかしら」
ティファニーがリヴァイに言うと、リヴァイの表情は元の無表情へと戻った。
31
お気に入りに追加
722
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる