転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 幼少期

60 side兄

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 少しの間呆気に取られていた皆が、エドワードの魔力がほんの少し揺らぐのを感じて正気に戻る。


「おいエドワード、本気じゃないだろうな?」


「てか、お前普通に話せるじゃねーか!」


「エド、そんな事したらテオ殿下が悲しむんじゃないかな? 君の話を聞く限り、殿下はお優しい方なのだろう?」


 「確かにそうだね、ルークを悲しませるのは良くなかったね。まぁでも、ルークと関係の無いところでならいいよね?」


「ああ。今日はやめておこう」


((この兄弟は怒らせたら駄目だな))


「皆様、もう少しでルナ皇女とテオ殿下が来る頃では?」


「そうね、陛下と皇后陛下もいらしたみたいだわ」


 アーサーとジェシカが10段程の階段の上にある玉座に座っている。

 全ての招待者が広間に入り終え、アーサーが挨拶の言葉を言う。


「今日は私の娘達の為によく集まってくれた。多くの人と関わる機会だ。皆で友好を深めていけ」


「第1皇女殿下並びに第3皇子殿下の登場です」


 正面側にある大きな扉が開かれると、白と桃色を基調としたドレスを着たソフィアと白と青を基調とした正装を着たルーカスが立っている。

 ルーカスがソフィアをエスコートして、玉座の正面まで歩く。正面に着くと、アーサーたちの方を向き礼をする。


「((ヒソッ…醜いんじゃなかったのか?」

「((ヒソッ…とても綺麗な方じゃない」

「((ヒソッ…美しすぎないか? 同じ人間とは思えないほどだな」

「((ヒソッ…角や翼もないじゃないか」


 皆がルーカスの姿を称賛する。

 ルーカスとソフィアは開会の挨拶をする。


「本日は私たちのお披露目会にお越し頂き、ありがとうございます。皆様にお会い出来、大変嬉しく思います。これからも良い関係を築いていきましょう」


「せっかく集まったんだ。一日、執務は忘れて楽しめ」


 挨拶が終わると、男爵家から順に、ルーカス達へ挨拶が始まる。




「おい、お前の弟は本当に男か?」


「確かに、ズボンを履いていても女性にしか見えないわね」


「男だ」


「でもルークは、女神様みたいに美しいからね」


「ウィルはブラコンだな」


「噂も宛になんねーな。まぁ、愛想が悪いのは事実みたいだけど」


「一切笑わね~な。返事も、ああだけだし」


「でも礼儀がなってないって言うのは分からないわね。さっきのお辞儀すごく綺麗だったもの」


 ティファニーがそう言うと、何処からか不機嫌そうな声が聞こえた。


「何がああだよ! 私がわざわざ化け物のパーティ参加してやったというのに、どうせ自分が1番だとでも思ってんだろ!」


「私もですよ! 化け物のくせに生意気だ!」





「ただの逆恨みみたいね」


「そうだな。殿下は皇族だ。何故男爵家如きに礼儀を尽くさねばならん」


「エディもあんな感じだったのにな」


「まあ、ソフィア皇女が礼儀正しいから、一緒にいると余計にそう見えるんだろうね」


「やっぱりソフィとルークを別々で開いた方がよかったのかな?」


 ウィリアムが落ち込んだように言うと、ルーカスの美貌を妬む者や彼を嫌う者の話し声が聞こえてきた。


「((ヒソッ…はっ! 確かに人間じゃないだろあれは化け物なんだろ?」

「((ヒソッ…そうだ! きっと妖魔かなにかだ。だからあんな姿なんだろ」

「((ヒソッ…きっと角や翼も隠してるんだろ」

「((ヒソッ…ははっ、あの美貌なら妖魔と言うより、淫魔なんじゃないか?」

「((ヒソッ…それはいい例えだ! どうせ何人もの奴らのを咥えて快楽を貪ってるんだろ。快楽で美しくなると言うからな」

「((ヒソッ…なら俺のも咥えてくれねーかな。あの顔ならいけるだろ」

「((ヒソッ…あれはまだ4歳ださすがに私は無理だな」

「((ヒソッ…そうか? 私はあれに突っ込んで、泣き叫んでぐちゃぐちゃになる所をみたいな」

「((ヒソッ…ははっ! 確かにそれは楽しそうだ」



 その話を聞いたエドワード達は、軽蔑と嫌悪の表情を浮かべていた。

 貴族は礼儀作法の授業で閨の教育も早い段階から受ける。その為、まだ5歳になったばかりのナタリーもこの意味を理解し、恐怖と嫌悪で顔が青ざめている。


「なんて会話だ!」


「本当に最低ね!」


 ここに来てから、殆ど話さず無表情だったリヴァイでさえ、不快そうな表情をする。
 それに気付いた皆が驚き、目を見開く。


「お前感情あったんだな」


「顔怖いぞ」


「貴方がそんな顔をするとはね、リヴ」


「流石に、凄く不快です」


「そうよね。じゃあ楽しい話をしましょう。リヴはテオ殿下を見てどう思ったのかしら」


 ティファニーがリヴァイに言うと、リヴァイの表情は元の無表情へと戻った。








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