66 / 410
本編 幼少期
59 side兄
しおりを挟むエドワードとウィリアムは、広間に入ると、友人達の所へ向かう。
「おはよう、皆」
「「おはようございますルカ殿下、リオ殿下」」
リヴァイ、ティファニー、キャサリン以外の9人が揃っていた。
「ウィル、何だか嬉しそうだね」
「今日は妹達の晴れ舞台だからな」
「確かにいつもより楽しそうですね」
「俺にはよく分からんな」
「貴方は無神経だもの。仕方がないわ」
「失礼だな」
「お兄ちゃんは間違いなく無神経だよ」
ウィリアムは自分の側近と同い年のグレース、オーランドの妹のナタリー達と話す。
「何故揃っているんだ?」
「お茶会のことについて話してたんだ」
「まじで開くのか? まっ、楽しそうだからいいけどな」
「来年の12の月だって言ったよな? 11の月はテオ殿下の誕生日だからか?」
「ああ。6歳になるからな」
「じゃああの噂はなんだ? 皇族と仲が悪いとか、礼儀がなっていないとか」
「それは私も気になる。教えてくださいませんか、ルカ殿下」
「ルーカスは可愛い」
「……え?」
アレイルが何を言っているのか分からないという顔をした。反対にいつもエドワードと一緒に居るアドルフ達は、またか、と言う顔をする。
「おいエディ、ちゃんと喋れよな。全然伝わんね~よ」
「ほんとだよ。アレイルが何言ってんだこいつって顔してんぞ!」
「そんな顔してない! ただ驚いただけだ」
「まぁいいだろ噂なんて。今日会えば分かる事だろ」
「うっ、そりゃそうだけど気になるだろ」
ガヤガヤ
段々と広間には人が集まってきた。
「あっルカ殿下、リヴ達が来ました。呼んできますね」
アレイルが呼びに行こうとすると、セドリックから呼び止められた。
「アレイル、私も一緒に行こう」
「分かりました」
そう言うと、2人はリヴァイ、ティファニー、キャサリンがいる方へ向かった。
少しすると、エドワード達のところに来た。
「おはよう、3人共」
「おはよう」
「おはようございます、ルカ殿下、リオ殿下」
「「おはようございます」」
3人がエドワードとウィリアムに挨拶をして、皆で話し出す。すると、広間にいる周りの人達が、エドワード達の方を見てザワザワと話し出す。
「((ヒソッ…あそこの集団、まだ子供だけど美形だらけね」
「((ヒソッ…ええ、確か皇子方の側近なのよね?」
「((ヒソッ…そうよ! あんなにかっこいい人達に守られるなんて、ルナ皇女が羨ましいわ!」
「((ヒソッ…ミア様とメイ様は本当に美しいな」
「((ヒソッ…ああでも、私はレイラ様だな」
「((ヒソッ…俺はアナ様だ」
「((ヒソッ…ルカ殿下とアレン様にノア様の3人は別格に美しいわ!」
「((ヒソッ…それを言うなら、リオ殿下とバート様のあの優しい笑顔も負けてないわよ!」
人が集まるに連れて、エドワード達の話はどんどん膨らんでいく。
「私達の話をしているな」
「エディとアードにノアちゃんはすごい人気だな~」
「メーリン、また変なあだ名を付けたな? 何がノアちゃんだ。私の事もアードではなくアドルフと呼べ」
「こいつはノアちゃんって顔じゃねえだろ」
リヴァイはノアちゃんと呼ばれても一切反応を示さなかった。
「セドリックとリオ殿下もすごい人気ですね」
「あらキャシー、私達だって人気だったじゃない」
「お嬢様方は皆様人気で。私だって噂されたいのにな~」
「兄様はチャラいのよ」
皆が楽しく談笑していると、先程よりも人が増え、エドワード達の話も色々な方向へと変わる。
「((ヒソッ…本当に綺麗よね」
「((ヒソッ…ああ。ルナ皇女があの中に入ったら完璧だろ」
「((ヒソッ…でも、あそこにはあれの側近もいるんでしょう?」
「((ヒソッ…確かに、化け物が輪の中に入ったら、全て台無しね」
「((ヒソッ…噂では、顔を見せられない程醜いらしいぞ」
「((ヒソッ…だからいつもローブを被っていたのね!」
「((ヒソッ…まぁあの輪には入りたくても入れねぇよ。だって皇族は化け物を心底嫌ってるって噂だ」
「((ヒソッ…ふふ、確かにそうね。私達のオアシスが汚されなくて良かったわ」
他にも、醜い化け物の分際で皇帝の座を狙っている、身の程知らずだ等の噂が広間中で話される。
その話はエドワード達の耳にも入っている。
「うわ~、えげつね~な」
「くだらん事ばかり話しおって」
「兄様変わって差しあげたら? 噂されたかったんでしょ?」
「無理だグレース。これは、私のメンタルでも持ち堪えれね~よ」
噂を耳にしたエドワードとウィリアムは少し黙った後、口を開く。
「エド兄様、この広間全てを人間ごと焼き払いませんか?」
「同感だ。あの者達を消し炭にすれば、ルーカスが悲しまなくて済むからな」
2人の怒りに満ちた表情と、エドワードの饒舌具合に、皆が呆気に取られる。
31
お気に入りに追加
727
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる