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本編 幼少期
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しおりを挟むあれから6ヶ月後の2の月。
ルーカスは4歳になり、魔法の授業を再開して2ヶ月が経ち、基本魔法を習得した。来週からは結界と封印の魔法を学ぶ。
あの日からエブリンは何度もルーカスのところに訪れていた。
ドン!!
「本当に生意気ね! 何時になったら私に服従するようになるのかしら!」
ガッ!!
「ならば私も聞くが、そなたは何時になれば失せてくれるんだ?」
ドンッ!!
「ふふふ、あんた本当に生意気ね。レア様が折角機会を与えて下さっているというのに」
最近は侍女達も一緒になって、暴行するようになった。
父様に何も言われないから、僕の事なんか気にしていないと思っているんだろうね
この時間が終わると、ルーカスは何時も魔法で後処理をする。
初めて暴行された日、数時間すると、頬の腫れと赤みは一切消えた。数日後には、刺された傷が塞がり、何ヶ月も前の傷痕のようになっていた。
しかし、体の痣だけ治っていなかった。
2ヶ月前から、僕の噂が流れているみたい。
第3皇子は皇族に愛されていない。
口が悪く、傲慢で礼儀がなっていない。
本当は皇位を狙っている。
この3つが主な噂だ。
そして今日、おじいちゃんが、父様に訪問するみたい。
ルーカスは、セバスとモニカを呼んだ。
「おじいちゃんが父様に会いに来たみたい」
「はい。ルーカス殿下の計画の事をお話されに来たのでしょう」
「しかし、なぜ急にあんな噂が流れ始めたのでしょうか?」
「この間、買い物に行ったからかな?」
ルーカスは4か月前に、街に買い物をしに行った。破れた服の買い足しと、リリアンのおもちゃを買うためだ。
だが、ルーカスは1度もリリアンに会いに行くことは無かった。
「張り切りすぎてしまったのかな? まぁ、流れて欲しい噂ばかりだし良かったんじゃない?」
「そう、ですね」
「2人共、準備は出来ているかな」
「「はい」」
「じゃあ怒られに行こうか」
ルーカス達は客間へと向かった。
客間にはアーサーとグレイの他に4つの気配があった。
(一つだけ知らない気配があるな)
「セバス、気配が6つあって、シリルともう1人知らない気配も有るんだけど、どっちでいった方がいいかな?」
「残りのお2人はどなたか分かりますか?」
「フレデリックとディムロットだよ」
「でしたら知らない気配はジル様ですね。陛下とハル様達のご友人で、騎士団長をしておられる方です」
「騎士団長って事は僕の剣術等の指導者だよね? だったら前世のこと知っているはずだね」
「はい。陛下がお話されたと仰っておりました」
「なら、素の方で良いね。ふふふ、シリル驚くかな?」
ルーカスが悪戯っぽく笑う。
「大変驚かれると思います」
「私もそう思います」
「ふふふ。……じゃあ、行こうか」
コンコンコン
「陛下、セバスでございます。レナとルーカス殿下もおられます」
「……入れ」
ガチャリ
「「失礼致します」」
「ごめんね、急に来てしまって」
アルフィーとアレクサンダーが驚いた顔をする。
「どうしたんだ? ルーカス」
「おじいちゃんが父様に話があるみたいだから。父様がおじいちゃん達のことを怒らないように見に来たんだよ」
「リク達はなにか怒られるようなことをしたのか?」
「うん。僕がさせたんだよ」
「……」
「あの、陛下。よろしいでしょうか」
アルフィーが言う。
「なんだ?」
「殿下は、何時も、この様な雰囲気のお方なのですか?」
アルフィーと目が合うと、ルーカスはにっこりと笑った。
「どういう意味だ?」
フレデリック達も訳が分からないという顔をしている。
「それをおじいちゃんが話に来たんだよ」
「ルーカス、取り敢えずこちらに座れ」
ルーカスは、空いていた、アーサーとアレクサンダーの隣に座った。
「よろしくね、ジル」
アレクサンダーが立ち上がり、ルーカスに挨拶した。
「お初にお目にかかります。アレクサンダー・ジル・ルイーズが第3皇子殿下にご挨拶申し上げます」
「うん、ありがとう。ルーカスって呼んでね」
「光栄にございます。私の事はアレクサンダーとお呼びください」
「分かった」
アレクサンダーが座る。
「君は本当に真面目だな」
「礼儀は尽くすものですので」
「ふふふ、不真面目より全然いいよね」
「……本当に殿下なのですか?」
「陛下、シリル様、その事について私からお話しても宜しいでしょうか?」
「私は構わない。シリル、構わないな?」
「勿論でございます」
グレイが話し始める。
「ルーカス殿下は、我がオスカー領にお越ししていらした時に、陛下、ルカ殿下、リオ殿下、皇女様、皇后陛下に、お揃いのブレスレット乃至アンクレットをお買いになられました」
「やはり自分の物は買っていなかったのだな」
グレイが頷く。
その後、グレイはルーカスの計画を全て話した。
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