転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 幼少期

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 数日後。


 パリンッ!

「何ですって!? 私の子が女児だったの!?」


「お伝えするのが遅くなり申し訳ございません!」


「侯爵家ごときの娘が男児を産んでおいて、この私が女児を産むなんて!! 我慢ならないわ!」


 エブリンが扉の方へ向かう。


「レア様! どちらに行かれるのですか!?」


「決まっているでしょ!! あの化け物のところよ!」


「お待ちください! レア様!」






 ルーカスは礼儀作法の授業も歴史の授業も、今日の為書斎で読書をしている。


(ここの書斎、本が増えてきて嬉しいな)


 ルーカスが新しい本を取ろうと、扉の近くの本棚に近付く。すると、誰かが部屋に近付いてくる気配を感じた。


 バン!!!


「この化け物め! あんたもあの娘と一緒に死ねばいいのよ!」

 バチンッ!!

 エブリンは部屋に入るなり、ルーカスの頬を思い切り叩いた。


(誰だろう? この人。見た事ないな)


「何者だ」


「なっ! なんて生意気な!! 私はレオ様の側妃のエブリン・レア・カーソンよ!」


 確か妊娠していたはずだけど。赤子が産まれたのかな?


「何故勝手に入ってきた」


「決まっているでしょう! あんたに忠告するためよ! 自分が男児に生まれたからって調子に乗らないでよ! あんたは所詮侯爵家ごときの娘が産んだ化け物なんだから!」


 あぁ、さっきの一緒に死ねばよかったというのは母様の事か。
 ふぅ、こんなのに怒る価値なんてないでしょ? それよりも、僕が男だから怒っているということは、生まれた子は女の子かな。


「私が男児だったら、そなたは何か困ることでもあるのか?」


「当たり前よ! 私はお腹を痛めてあれを産んだのよ! それなのに女ですって? あんたは男なのに私の子が女だなんて許せるわけが無いでしょ! レオ様はあれが何処にいるのか教えてくれないし!」


 あれ、か。きっと父様が隠したんだろうね。その必要があると判断したってことでしょ? 本当に腹が立つ。ちょうど良かった。彼女達に噂を広めてもらおうかな。


「はっ、だから何だ。そなたの子が男ならどうなっていたんだ?」


 ルーカスは馬鹿にする様に言う。


 ドガッ!


「私の子が男なら、あんたみたいな化け物は直ぐにレオ様に捨てられていたわ!」


 エブリンはルーカスのお腹を思い切り蹴る。しかし、ルーカスは立ったまま、エブリンを煽り続ける。


「そういえば、そなたは何故父上の事をレオ様と呼ぶんだ? あぁ、名前で呼ぶ事すら許されていないのか。母様はアース様と呼び、シャルと呼ばれていたのにな」


「黙れっ!!!」


 ガッ!! ドガッ!


「調子に乗らないでよ! あんたは所詮侯爵家の娘の子で化け物のなのよ!」


「その化け物に負けているのは誰だろうな? さすがの私もルカ兄上には負けるが、そなたには勝てそうだ」


 ルーカスは、袖を捲り、左腕に巻いてある鷹と葵の花の刺繍がされてあるリボンを、エブリンに見せびらかす。


 パリンッ!!

 エブリンは、扉のそばに置かれていた花瓶を割り、破片をルーカス目掛けて振り下ろした。


 ザッ! 破片はルーカスのお腹に刺さり、血が大量に出ている。


「っ!? レア様! やり過ぎです! 陛下にバレたら」


「バレたら何よ! どうせこんな化け物死んだ方がレオ様も喜ぶに決まっているわ!」


「しかし、先程のリボンは……」


「どうせ自分で買ったんでしょ? 自分は愛されていると虚勢を張ってるだけよ!」


「そう、ですよね! こんな化け物にあの様な贈り物などするはずがないですよね!」


「当たり前よ! もういいわ。このまま死なないのなら、また殺しに来ればいいのよ」


 エブリンと侍女達は笑いながら、書斎を後にした。




 はぁ、流石にこれは少し痛いね。刺されるのなんて久しぶりだな。

 酉の刻にモニカが呼びに来るから、服着替えておかないとね。


 ルーカスは叩かれた頬と蹴られて痣の出来たお腹を手に魔力を集めて、氷の魔法で掌に氷を出し、冷やした。

 刺されて血の出ている腹部を凍らせて、止血した。


 そして床に垂れて溜まっている血を凍らして、火の魔法を使って氷を蒸発させた。


 この服どうしようかな。破れているし、血だけ洗って捨てたら大丈夫かな?


 水の魔法を出して服を洗い、風の魔法で乾かした。


 まだ基礎を習っただけだけど、魔法って便利だね。


(うーん、あれだけ煽ったんだから次も僕の方来てくれるよね)







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