転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 幼少期

46 sideアーサー

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 1週間後。9の月の11の日


「レア様! もう少しです。頑張りましょう!」


「痛い! うぅ! 早く、しなさい…」


 数分後


「っ! ……お生まれ致しました! ((ボソッ…陛下を呼んできてちょうだい」


 助産師の1人が、アーサーを部屋に入れる。アーサーは部屋に入ると、エブリンの所へ向かう。


「レア、よく頑張った。疲れただろう今日はもう休め」


「はい……! レオ様」


 アーサーはエブリンの侍女を中に入れ、産婆達と部屋を出た。


「その子はソフィアの部屋の隣へ連れて行く。着いてこい」


「畏まりました」


 アーサーと産婆は、東棟の4階へ向かった。





「あの子も可哀想ね。産まれてすぐ母親に嫌われて」


「ええ。その上、兄はあんな化け物なんだもの」


「ほんとよ。はははっ」





 アーサーと産婆は、部屋に着き、赤子をベットに寝かせる。


「お名前は決まっておられるのですか?」


「ああ。この子の名は、リリアンだ。純粋で威厳も持ち合わせた子になって欲しい」


「ぴったりなお名前ですね」


「……そうだな」


 コンコンコン

「コリンでございます」

「入れ」

 ガチャリ


「失礼致します」


「コリンこの子の専属侍女になってくれ」


「っ! 畏まりました。誠心誠意お仕えさせて頂きます」


「頼んだぞ」


 アーサーは執務室へ戻り、城に残っていた友人達を集めた。


「産まれたのか?」


「ああ」


「……お生まれになられたのは、女児だったのか?」


「……そうだ」


 3人は、驚くと同時にこれからの事を不安に思う。


「レア様はどんな反応だったんだい?」


「まだ性別を知らない。疲弊して今は休んでいる。だが、体力が回復すれば……」


「皇女様はどうしているんだ?」


「コリンを専属侍女に任命し、ソフィの隣の部屋で過ごしている」


「テナ殿なら安心だね。大事なことを忘れている。第2皇女様の名前は何?」


 ※テナはコリンの仮名


「リリアンだ。愛称はリリー」


「ユリか。ぴったりだな」


「リリーにも強く育ってもらいたい」


 皆が頷く。


「アース。第3皇子殿下は最近どうなさっているんだ?」


「今の社会情勢と貴族家のそれぞれの成り立ち、この国の地理は全て覚えたそうだ。来週から歴史の授業に入るらしい」


「えぇ! 地理まで!?」


「凄いな」


「1度言った事は、何を質問しても正解する。おまけに、問題を作っても全て満点する程頭の回転も早い。父上は楽しくて仕方が無いみたいだ」


「記憶力に加えて、頭の回転まで早いのか。早くお会いしてみたいな」


「……殿下方は仲が良いんだよな?」


「心配するな。ウィリアムとソフィは私以上にルーカスを可愛がっている。ルーカスも兄達を凄く大切にしている。
 エドワードは、少し笑顔が増えたな。2人共授業がない時はいつも一緒に遊んでいる。

 私達があの子を、可愛いと称賛しあって止まらなくなる時があるんだが」


「どんな時だよ」


「あー、何となく目に浮かぶ気がする」


 ディムロットがそう言うと、フレデリックはアーサーの親ばか具合を思い出し、呆れた表情をした。


「その時にエドワードは参加こそしないが、いつも共感する顔をしながらその光景を眺めている。
 ルーカスがエドワードに止めてくれるか頼むと、私達にルーカスが困っているからと言って止めるんだ。

 あれは、ルーカスがお願いしなければ、その場を離れずにずっと聞いているんだろうな」


「へー、あのエドワード殿下が」


「まぁ最近は私たちを置いて2人で散歩に出かけることが多いがな」


「はぁ。まぁ、仲が良いんだったら問題ないだろうな」


「そうだね」


「フレディ、シリルにルーカスの事を気遣っておいて欲しいと伝えてくれ。今1番多く一緒にいるのはシリルだからな。私はリリーの方に通うようにする」


「分かった。父上には殿下のこと伝えたのか?」


「シリルから報告があった。ルーカスから『前世の記憶がある。ということは、教えたと伝えてくれ。 その方が私も指示を出しやすいと思うから』と言われたそうだ」


「前世の記憶があることはお伝えされたのか」


「その他は伝えていないという意味だね」


「わざと後付けした文章だな。父上なら気付きそうだ」


「ああ。必要で有れば伝えようと思う」


「それがいい。気分の良い話では無いから」


「シリル殿はすごく気になっておられるだろうな」


「ルーカスが本当に覚え子なのかをしつこく探ったら仕返しされたと言っていた」


「自業自得だね」


「ははは、そうだな」







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