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本編 幼少期
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しおりを挟む「なるほど、人の体はそのような作りになっていたのですね」
この世界は、体内の器官や体の作りなどが知られていないみたいだった。
「この世界の病気や怪我の治療ってどうしてるの? それに、動物を食べるから、臓器があるのは分かりそうなんだけど」
「治療は薬を使うか、魔法で行うからね」
「知る必要が無かったから動物の臓器なんて気にも止めなかったんだろう」
「なるほど」
「殿下の前世の時はどのようにして治療なさっていたのですか? 魔法がなかったのですよね?」
「そうだよ。薬を使ったり、体を切り開いて、病気を取り除いたりしていたよ」
「体を切り開くの? その人は無事だったの?」
「うん。亡くならないように、何度も研究や実験が重ねられているからね」
「そうなのね」
「姉さんの魔力の話だったのに、凄く脱線してしまったね。とにかく、胸から腕を通って手まで流していく感じだよ」
「そうでしたね」
「私達はもう一度、対人戦闘をしてくるね」
エドワード達が離れていく。
「分かったわ。流す感じね」
ソフィアが集中すると、少しずつ掌に魔力が流れて行く。少しすると、掌に魔力が溜まった。
「皇女様、その魔力を水を想像しながら外へ放出してください」
「分かりましたわ」
ドバッ
「! 出来ましたわ!」
「出来たね」
「ふふふ、出来ましたね」
ディムロットが少し笑う。
「あれ、どうしたの?」
「すみません。皇女様の喜ぶお姿を見たら、皇子殿下方の魔法を使えた時の、淡々とした反応を思い出してしまいまして」
「あぁ、そういうこと。僕の反応もそうだし、兄さん達もあんな感じなんだろうね」
「特に、エドお兄様はすごく淡々としていそうですね」
「はい。出たぞ、と言われました」
「ふふ、兄さんらしいね」
「ふふふっ、本当ね」
その後、僕達は魔力循環と、水と火の魔法を教えて貰った。
「今日はここまでです。次回は皇女様は結界を。ルーカス殿下は氷の魔法の練習を致しましょう」
「分かりましたわ。ありがとうございました」
「分かった。ありがとう。これからもよろしくね」
「はい。よろしくお願い致します。こちらは先程移した、魔力量と属性です。お持ち帰りください」
「ありがとう」
その後少し待つと、エドワードと、ウィリアムの授業も終わった。
「お疲れ様」
「お疲れ様。ルークローブ取っておいで」
「うん」
僕はローブを取りに柱の方へ向かい、髪を解いて、半分だけに結い直した。そして、ローブを着て、みんなの所へ戻った。
「それ、魔力量と属性が書かれている紙?」
「はい、そうです」
ルーカスとソフィアは2人に紙を見せた。
「ルーカスは私の最初の魔力と同じくらいだな。これから増えていくだろう。ソフィも練習すれば段々増えてくる」
「そうなのですね。頑張ります」
「2人とも珍しい属性を持っているね。草と霧は初めて聞くし、氷はムハンマドの人以外、発現した人は殆どいないよ」
「そうなんだ。魔法って少しワクワクするね」
「ルーは少ししか、ワクワクしないの? 私は凄くワクワクしているわ!」
「私も今でも凄くワクワクしているよ。兄様はどうですか?」
「どうだろうな」
「まぁ、ルーもエドお兄様も、冷めていらっしゃるのね」
「ふふふ、そうだね。2人は、どこか似ているからね」
エドワードとルーカスが顔を見合わせる。
「ふっ、私達は冷めているのか。君たち2人もそっくりだぞ」
「うん、そっくりだよ」
4人は、楽しく東棟まで帰って行った。
◇ ◇ ◇
数週間後。
アーサーは、フレデリック、デイムロット、アレクサンダーを執務室に集めていた。
「ルーカスの勉学の指導者を探しているんだが、なかなか良い者がいない。誰かいないか?」
「授業まであと半年近くはあるだろう? そこまで焦る必要は無いだろ?」
「レアが懐妊だ。もし、女児だった場合、ルーカスに何をするか分からない。だから早く派閥や貴族間の関係などを教えてやりたいんだ」
「いつが予定日なんだい?」
「9月だ。遅くとも5の月からは始めたい。4ヶ月もあれば、あの子は全て覚えられるはずだ」
「だが、礼儀作法の授業に加えて、魔法の授業も始めたんだろう? いくらなんでも詰め込みすぎなんじゃないか?」
「礼儀作法は、1の月には完璧で、今はマークとオノマを覚えるだけだから、本を読んで月に何度か試験をするだけだ。
ダンス等はまだ先だから今は殆ど、魔法の授業だけだ」
「魔力操作はほぼ完璧だよ。氷の魔法もあと2ヶ月もすれば完全に制御できると思う。他の魔法や対人戦闘は、4歳になってからでもいいんじゃない?」
「……フレディのお父上はどうだ? あのお方なら情勢に詳しく、知識も多い。何より、確実に殿下を害するようなお方ではない」
「なるほど。どうだ? フレディ」
「……そうだな最近は暇にしていると聞いている。近い内に父上に尋ねてみよう」
「そうか、ありがとう。頼んだぞ」
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