転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 幼少期

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 4の月の初め、最近はウィリアムの5歳のお披露目会が近づき、アーサー達は準備で専ら忙しくしていた。


「むー! 全然ウィルお兄様に会えないわ」


 ソフィアが頬を膨らませて言う。


「うん、寂しいね。けど、エド兄さんは授業終わりや授業がない時には来てくれる。それにお披露目会が終わったら、ウィル兄さんも会いに来てくれるよ」


「分かっていないわ、ルー。お兄様達はお勉強が好きで私達に会いに来るのが面倒なのよ」


「そうかな。ほら、もうすぐエド兄さんが来る時間だよ」


 兄達に会えないことでソフィアは少し拗ねていた。


「何を拗ねているんだ? ソフィ」


 エドワードがやってきた。


「拗ねてなんていませんわ」


「エド兄さんに会いたかったんだって」


「そうか、待たせて悪かった」


 ソフィアの機嫌は余り直らない。


「そうだ、兄さん。庭園に連れて行って欲しいな」


「ルーカスの庭園か? 分かった。ソフィ、行こう」


「はーい」


 ソフィアは、ルーカスが貰った庭園を見るのがすごく好きなため、機嫌を直したみたいだ。

 ルーカスはエドワードに抱えられて、ソフィアは手を繋いで歩いた。


「この間とお花が変わっているわ」


「もう夏だからね」


「2人はここの庭園が本当に好きだな」


「うん、父様と母様に貰った、父様達の色の庭園だからね」


「そうだな」


 ルーカスがエドワードに耳打ちをするとエドワードも小声で答えた。


「すごく綺麗だもの」


「だね。僕達が6歳になったら父様や兄さん達皆で、お茶会をしようね」


「ああ。すごく楽しそうだ」


「兄さんの友人とのお茶会でも使っていいからね?」


「ありがとう」



 少しガゼボで休憩してから、3人は部屋に戻って遊んだ。






 4の月の18の日。今日はウィル兄さんの誕生日。

 この間ウィル兄さんに、手紙を書いて欲しいと言われた。エド兄さんとソフィ姉さんだけ手紙を貰って、私には書いてくれないの? と言われてしまった。
 僕はモニカに代筆を頼んで書いてもらった。

 贈り物は父様と買い物に行った。

 持ち手の金属部分がプラチナと焦げ茶色の木のアンティークの付けペン。
 黒のインクと優しい紫のインクの2種類を買った。


「ウィル兄さん、誕生日おめでとう」


「ありがとう、ルーク。手紙は部屋でゆっくりと読ませてもらうね」


 お披露目会の準備のため、忙しいはずだけど、少しの合間を縫って会いに来てくれた。

 少し話をした後、ウィリアムはすぐに準備に戻った。






 4の月の下旬。ウィリアムのお披露目会の日。


 父様と母上、エド兄さんは髪をセットして、正装を着ている。


「皆、凄く綺麗でかっこいいよ」


「「ありがとう」」


「お母様凄くお綺麗です」


「ありがとう。ウィルも凄くかっこよかったから、楽しみに待っていてね、ソフィ、ルーカス」


「「うん」」




 前髪を上げて、肩下まである後ろ髪を低い位置で結って左側に流して、正装を着たウィリアムがやってきた。


「ウィル兄さん、凄くかっこいいよ。さすが父様と母上の子だね」


「ふふ、ありがとう。手紙も読んだよ。心のこもったものをありがとう」


「かっこいいです、お兄様。前髪を上げると、お父様に似ていますね」


「本当? ありがとう」


 ルーカスとソフィアは5歳になっていない為、今日は部屋で留守番だった。
 皆が会場へ行くと、2人はルーカスの部屋で遊んで待った。





『大好きなウィル兄さんへ

 5歳のお誕生日おめでとう!

 最近は姉さんと一緒に庭園に行くことが多いよ。僕も姉さんも父様達に貰ったあの庭園が大好きで、いつもそこで遊んでいるんだ。

 僕達が6歳になったら、父様や母上達と一緒にあの庭園でお茶会をしたいな。

 アッサムだけじゃなくて、他の紅茶もすごく美味しいから、僕のおすすめのものを今度紹介するね。

 僕の前世の国のものは、東洋の国に似たものがあるみたいだから、調べてみて沢山おすすめするよ。


 最近は兄さんと会える事が少なかったから、姉さんが少し拗ねていたよ。僕も早く遊んでくれないと、拗ねてしまうかもしれないね。
 だから、お披露目会が終わったらまた沢山遊んでね。
 

       ルーカスより』


「ふふふ、拗ねたルークも見てみたいな」





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