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本編 幼少期
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しおりを挟むあれからふた月程が過ぎもうすぐ、1の月になる頃。1歳を過ぎたルーカスはスラスラと話すことができるようになった。しかし、ハイハイは上手く出来ないままだった。
「おじいちゃん、明日買い物をしたいから、街に行きたいけど、だめかな?」
ルーカスは夕食後にグレイに言った。
「街にですか?構いませんが、すぐに第3皇子殿下がおられると、ばれてしまいますね」
「そっか、どうしよう」
僕はまだ翼と角を隠せないから、すぐに皇族だと知られてしまう。
「殿下、ローブを着るのはどうでしょうか? シエルさんとエルシーと一緒に考えて仕立て屋に頼んで作ってもらっていたんです」
オリヴィアが外にいた使用人に持ってくるよう言うと、すぐに使用人が箱を3つ持って来て、テーブルの上に置くと外に戻った。
オリヴィア、シエル、エルシーの3人が箱を開くと、黒地の布に白の水しぶきのような波模様のローブ。
白地の布に水色の流れる水のような流水文様のローブ。
氷晶模様が上から濃い水色、薄い水色、白色でグラデーションになったローブの3つがあった。
「すごく綺麗だね」
「ありがとうございます。黒地のものはお義母様、白地のものは私、薄い水色のものはエルシーがデザインさせて頂きました」
「気に入って頂けると嬉しいです」
「すごく嬉しいよ、ありがとう」
ルーカスはすごく嬉しそうに言ったあと、サイズが大人のものと同じことに気付いた。
それに気付いたマイケルはシエルに言った。
「これは魔道具かい?」
「ええ。このままですと殿下には大きすぎてしまいますが、魔力を流して羽織ると羽織った人の体の大きさに合わせることが出来ます」
「えっ、そんなにすごいもの貰えないよ。絶対に一般的なものではないよね」
「一般的なものではございませんが、殿下に贈りたいと思って作ってしまったのです。お誕生日の贈り物として貰っていただけませんか?」
「殿下、宜しければ貰ってください」
「……わかった。ありがとう」
それから、1枚ずつ羽織、僕の体の大きさを合うように、おばあちゃんが魔力を流してくれた。買い物にはおじいちゃんも着いてきてくれるみたい。
次の日の朝僕は、ご飯を食べてから、モニカと音楽部屋に向かった。
「おはようございます、殿下」
「おはよう、朝からありがとう」
お昼頃に買い物に行くため、いつもは昼食後の未の刻に行う治療を巳の刻にしてから、買い物に行くことになった。
「いえ。 今日は、魔力封じを外したまま治療を行いましょう」
「わかった」
最近は少しなら外していてもシュオールが出なくなってきたため、今日は治療は外すみたい。
•*¨*•.¸¸♬︎
「外していても問題ないようですね。今日から治療中のみ外していきましょうか」
「わかった。ありがとう」
「では、出かける用意をしに行きましょう。午の刻に門に馬車が来ますのでそれまでは、お食事をしてお部屋でゆっくりとお過ごしください」
「わかった、またね」
「はい」
僕は部屋に戻って食費を済ませると、昨日貰ったローブを選んでいた。
「モニカ、ローブどれにしようかな?」
「そうですね。お出かけですので、水色のものを羽織るのはいかがですか?」
黒と白のローブは厳粛な雰囲気があって、買い物とかのお忍びには向かない気がした。
「そうだね。これにするよ、ありがとう」
「いえ。すごくお似合いです、殿下」
「本当? 良かった。モニカ、父様から貰ったお金は持ってる?」
「はい、お持ちしております」
「ありがとう。じゃあまだ時間はあるから、エルシー従姉さんの所にローブを見せに行こうか。朝は部屋にいるから着た姿を見せに来て欲しいって言われたから」
「かしこまりました。では参りましょう」
ルーカスはモニカに抱えられてエルシーの元へ向かった。
コンコンコン
「お嬢様ルーカス殿下が参りました」
ガチャリ
「おはよう」
「おはようございます、殿下。すごくお似合いですわ! やはり、殿下の髪と瞳の色にすごく合っております!」
「ふふふ、ありがとう。すごく綺麗なものだから見劣りしないか不安だったんだ。これからずっと着ていくものだから、似合っていて欲しかったからね」
「殿下が見劣りするなどありえません。見劣りするとすればローブの方ですよ」
「本当かな? ふふ、嬉しいよ。じゃあそろそろ行くね」
(やはり殿下はすごくお綺麗ね、天使様かもしれないわ。あの笑顔は反則だわ)
「はい、行ってらっしゃいませ」
ルーカスとモニカは馬車が待つ門へと向かった。
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