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本編 幼少期
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しおりを挟むコンコンコン、ガチャリ
「おはようございます、殿下」
「おはようモニカ」
「セス様がお迎えに来て下さるので、朝食をお食べしてお待ちしましょう」
「わかった」
コンコンコン、
「リアム坊っちゃまがお越しになりました」
「どうぞ、お入りください」
ガチャリ
「おはようございます、殿下」
「おはよう! りあむ従兄さん!」
「エルシーの所に行ってから、まずは音楽部屋に行きましょうか」
「うん!」
ルーカス達はエルシーと合流し、音楽部屋へと向かった。廊下までは侍従が付いて、部屋の前で待機させる。
「殿下、こちらが音楽部屋です」
「わー、すごく広いね」
「ふふ、殿下は演技がお上手なんですね。とても可愛らしい赤子でしたよ」
「言わないでよ、少し恥ずかしいんだから」
「安心してください殿下。とてもお可愛らしかったですよ」
「もう、エルシー従姉さんまで」
僕は廊下では使用人達がいるから子供らしく、わ~、すごーい! とか、すごくきれいだね~! とか、恥ずかしかった。
「ここは、どんなときに使うの?」
「主に楽器や音の魔法の練習や、訪問者の心の治療をする時に使います」
「ふたりも、がっきをひくの?」
「はい、私はハープをお兄様は、ピアノとヴァイオリンを主に弾いております」
「よろしければ少しお弾きしましょうか?」
「いいの? ききたいなぁ」
「承知致しました」
リアム従兄さんは僕を椅子に座らせてから、ヴァイオリンを持った。エルシー従姉さんはハープの椅子に座った。二重奏をしてくれた。
•*¨*•.¸¸♬︎
•*¨*•.¸¸♬︎
🎵🎶🎵🎶🎵
🎵🎶🎵🎶
「わぁ! すごくきれいな演そうだったよ。ありがとう」
「「お褒め頂き光栄にございます」」
「お兄様と弾くのは久しぶりで少し緊張してしまいました」
「私も殿下に見られていると思うと、すごく緊張したよ」
「2人ともすごくじょうずだったよ。よかったら、また聞かせてね」
「「もちろんです」」
すごく綺麗な音で、2人の息もピッタリと合っていて、すごく良い演奏だったな。
それからも他の楽器や音楽部屋の事を教えて貰った。日本や中国等の楽器は見られらなかった。この世界では無いのかな?おじいちゃんに聞いてみようか。
昼食を食べた後は、庭園にも連れて行ってもらった。色鮮やかな冬の花が沢山咲いていて綺麗だった。
申の刻まで屋敷を案内してもらって、お部屋で休憩して、夕食の時間になった。
「殿下、リアム達の楽器をお聞きされたそうですね。殿下に褒めて頂けたと喜んでおりました」
「お祖父様、恥ずかしいので言わないでください!」
「ふふ、よろこんでもらえたのなら、良かったよ」
「殿下、明日から心の治療を始めますので昼食後、音楽部屋に来て下さいますか?」
「わかった」
「夕食前には2日に1度エルシーが歌を歌います」
ルーカスはエルシーの顔が少し暗くなったことに気づいた。
「エルシー従姉さん、どうしたの?」
「殿下は、シャーロット叔母様の歌がお好きなのですよね」
ああ、僕が母様の歌とエルシー従姉さんの歌を比べてしまうと思ったのか。
「うん、母様のお歌は大好きだよ。でも、リアム従兄さんのヴァイオリンも、エルシー従姉さんのハープもすごく好きだなぁ。君のうたも、はやく聞きたいな」
「っ、ありがとうございます。誠心誠意、歌わせて頂きます」
「うん! そうだ、ばしゃで、好きながっきがあるか、きかれたでしょ? おじいちゃん、おじさん。音楽部屋では見かけなかったからこの世界にあるか分からないんだけど」
「どのようなものでしょうか?」
「笛子っていう、竹でできている横笛で、指でおさえる穴が6個ある楽器。古琴っていう、大きめに加こうされた木に、7本のげんが張られている楽器だよ。あつみのある独特な音いろが好きなんだ」
日本の笛や琴よりも、僕は中国の笛子と古琴の音色が好きなんだよね。
「笛子に古琴、聞いたことがございませんね。しかし、東洋の方には木製の楽器が多くあると聞いたことがございます」
マイケルが言う。
「ああ、確かに東洋の楽器は独特な音色のものが多い。探してみたら、あるかもしれないな」
「グレイ、見つけることが出来たら、殿下にお贈りするのはどうかしら?」
「それはいいな!」
「まって、だめだよ、楽器は高価なものでしょ? ぼくなんかがうけとれないよ」
「殿下、僕なんかなどと仰らないでください」
「殿下、受け取って頂けましたら、是非、私達に殿下の演奏をお聞かせ願えませんか? 東洋の楽器はあまり聞いたことがございませんので、とても気になってしまうのですよ」
「……ずるいよ。そんないい方したら断れないって分かって言ってるでしょ。ありがとう」
「バレましたか。是非お受け取りください、ではそろそろお開きに致しましょう」
「うん、おやすみ」
「「おやすみなさいませ」」
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