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本編 幼少期
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しおりを挟む「それにしてもそんな一瞬のことも記憶することが出来るなんて凄いですね」
「ああ。そして彼らのほんの一部の方には他にも共通することがあった」
彼等の中にもルーカスほどでは無いが他の方よりも確実に記憶力が高い方が7人いたようだ。その7人には共通していることがある。それは、"覚え子"だということだ。
「覚え子、聞いたことの無い言葉ですね」
「この言葉を知っているのは、余程の博識か変わった研究者か、皇城の書庫でたまたま見つけた者くらいだろうな。覚え子というのは前世の記憶を持って生まれた者のことだ。覚え子達は幼少期は泣くことも少なく常に大人しく、年齢を重ねるにつれ年相応になる者もいたという」
「ということは、ルーカスも前世の記憶を持っている可能性があるということでしょうか?」
「可能性は十分にあるだろう。だが前世を知っているということはその最後も知っているだろう。それはトラウマとなる確率の方が高いはずだ」
「無理に聞きだして傷つけることはしたくありませんね」
「ああ。私達にできることはやはり様子を見ることだけなのだろう。しかし、気を張りすぎず、他の子達と同じように接しなければならない」
「ええ。もちろんです。エドとウィルにもこのことを話すのですか? シャルはこのことは?」
「あの子達には、聞かれたら話そうと思う。シャルには伝えた。彼女はどちらでも構わないと言った。どんな子でもあの子は可愛い私達の天使だと」
「ふふふっ。天使。翼と角を持つあの子にぴったりな言葉ですね!」
『ルークの翼と角はとても綺麗です。まるで天使が私達の所へ生まれてきてくれたみたいですね』
シャーロットがそう言っていたことを思い出し、アーサーはジェシカとシャーロットの価値観は似ていて、とても好きな考え方だと思ったのだった。
「そろそろお昼の時間ね。皆で一緒に食べましょう?」
ジェシカがエドワード達に言う。
「それはいいですね。行こう」
「はい、兄様」
父様達はサンドウィッチとスープなどを食べ、僕と姉さんは離乳食を食べた。前世を合わせても家族でご飯を食べるのは初めてで僕はとても嬉しかった。
その後僕は早起きしたこともあり、すごく眠くなってしまってお昼寝の時間より少し前に寝ることになった。今日は皆帰るけどまた遊びに来てくれるみたい。
エドワードとウィリアムは自室に戻る途中、アーサーとジェシカの会話がどのようなものだったのかが気になっていた。
「ウィリアム、今度父様に先程のことを尋ねに行こうと思う。それからルーカスのところにも授業がない時に遊びに行こうと思っている。父様の方は随分と先になるかもしれないが君も来るか?」
「はい、兄様。その時は私もご一緒させてください」
「わかった」
「……ルークは可愛いですね」
「ああ、そうだな」
エドワードもウィリアムもルーカスに会った後すぐに暗い顔をして話をしていたアーサーとジェシカを不思議に思っていたようだ。そしてそれはきっとルーカスに関係する話だろうと思っていた。それをお互いに気づいていたみたいだ。
◇◇◇
コンコンコン、ガチャリ
「シャル、今日ジェシー達をルーカスに合わせた。すごく楽しそうに遊んでいた。エドワード達も可愛がってくれていたよ」
「そうなんですね。それは良かったです。 ……私も早くルークに会いたいですね」
「ああ、だが、もう少し体調が良くなってからでないといけないな」
「……はい」
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