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本編 幼少期
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しおりを挟む「ジェシー、少しいいか? 話したいことがある」
「……ここで話しても良いのですか?」
ジェシーはアーサーの顔が暗いことに気づき場所を変えるか聞いたが、アーサーはここで良いと言った。
「エドワードとウィリアムは気づいているだろうが2人にはまた今度、話しをしようと思う。ルーカスは気づかないだろう家族に遊んでもらえるのが凄く嬉しいみたいでそちらに夢中だからな」
ジェシカは、1歳になり言葉を理解し出したソフィではなく、まだ1歳に満たないルーカスが、こちらに気づかないようにと気をつかっているアーサーを、不思議に思った。
ルーカスは確かに言葉を発したが彼の母はシャーロット。オスカー家の血を引いている彼は音の魔法が使えるのだろう。音の魔法が使えるものは赤子の時に言葉を発するのが他の子よりも早い傾向にある。だからジェシカはあまり不思議には感じなかった。
「ルーカスは、シャルの子ですので音の魔法を使えるのではありませんか? 周りの子よりも成長が早いようですが、私達の話を理解するのはまだ難しいのではないでしょうか?」
「ああ、確かにルーカスは音の魔法を受け継いでいるだろう。だが、それだけでは言い表すことが出来ないほど、あの子は成長が早い。いや、賢いのだ」
「賢い、ですか?」
「そうだ。わずか生後5ヶ月の子が人の体調を気遣い心配するだろうか? 庭園を作った理由を、贈った理由をあの子に話せば、すごく嬉しそうにして、ありがとうと感謝の言葉を言った。生後5ヶ月の子がだ」
「まさか!? 生後5ヶ月と言えば、寝返りをうったり、喃語を話す程度。言葉の意味など理解しているはずがございません」
「だから、不思議に思い今までの生活を振り返ってみた。ルーカスはあまり泣かなかったそうだ。他にも食事量が異様に少なかった。シャルもモニカも確かに話す言葉を理解しているように思うことがあったと言っていた」
周りの子と比べ理解能力が高く、他人の感情に聡い。感情の操作も上手。加えて翼や角、珍しい色を持っている。まぁ、色はシャルに似ているし気にすることでは無いのかも。
「それは翼や角と関係が?」
「いや、分からないただ関係している可能性もある。過去の記録を求め書庫で調べてみたんだ。そしたら気になるものがあった」
書庫に行って、沢山の本を読み漁った。その中で過去、様々な偉業をなした方々について書かれている本を読んだ。過去に偉業をなした方々は何千、何万といる。その中でも多くの方に共通しているものがあった。それは多才もしくは一つのことに異様に優れていることと記憶力が非常に良いと言うことだ。
「多才というのは分かりますが、記憶力、ですか?」
「記憶力が良い事で過去の事例などをより多く頭に詰め込むことが出来る。情報があることは何かを成す上でとても重要な事だからな」
「ルーカスも記憶力が良いのですか?」
「いいだろうね。この間セバスと合わせたんだ。それも大人でも顔と名前が一致するはずがない程一瞬だけ。しかし、数日してからセバスの名前を出さずに少しの間一緒に待っておくよう伝えたら、セバスの名前を呼び遊ぼうと誘っていた。セバスも驚いていたよ」
「そうなのですね。 セバスの事ですから作法を教えるのを楽しみにしているんじゃないかしら? ふふふ」
「ああ、楽しみだと笑っていたよ」
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【セバスは皇城の侍従長をしてるお爺さんで皇子達の礼儀作法の教育をしている人です。】
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