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本編 幼少期
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しおりを挟むぱちっ
ルーカスは目を覚ました。
(ここは……ああ、生まれ変わったんだった。今は赤ちゃんか)
「赤子の額と背に小さな角と翼がある」
(また、嫌われてしまったのかな?)
ぐぅ~~~~~
大きな音が部屋に響いた。お腹すいたな。
バタン
「ルーク、ミルクですよ」
(この声は、、母様?)
「うぁ~~(どうして?)」
「さぁ、沢山飲んで強くなってね」
ルーカスはミルクを飲みながら、考えた。母は自分のことを嫌わないでくれたのか。それとも義務を果たすために仕方なく会いに来てくれたのか。人の感情に聡いルーカスは前者であると分かっていた。しかし、どちらでも構わなかった。ルーカスは自分に会いに来てくれる人がいることがとても嬉しかった。
「あら、もういいの? あまり飲まなかったわね? 次はもう少し頑張りもしょうね。昨日は暗くてよく見えなかったけれど、とても綺麗な色をしているわね」
(色? どういうことだろう?)
「母様もベビーブルーの髪にシアンの瞳で珍しい色って言われていたけれど、あなたのものは初めて見たわ。なんて表したらいいのかしら? 綺麗な白髪でたまにシルバーにも見えるけれど、影になると少し水色も入っているような不思議な髪色ね。それに瞳もよ。透明な色の中に薄らと水色があって、瞳孔部分はすごく鮮やかで優しい水色をしているわ! とても綺麗よ」
そう言って母様は僕の頭を撫でてくれた。母様の行う一つ一つの動作が僕にとってはとても嬉しいものだった。それから幾度となくシャーロットはルーカスに会いに来た。それに僕のお世話をしてくれる侍女もいるみたい。侍女の名前はモニカって言うそう。
ルーカスが生まれてから2ヶ月ほど経った1の月のある日、ルーカスのお部屋の扉が開いた。
(母様かな?)
「殿下、陛下がお見えになりました」
(えっ?)
「ルーカス、父様だ。元気だったか? 時間が空いてしまってすまないな」
(この人が僕の父様だったんだ)
翠はとても記憶力がよく1度見たものや聞いたものは生涯忘れない程のものだった。いや、前世の記憶もある位だからそれ以上のものかもしれない。それはルーカスになっても変わらないみたいだ。そのためルーカスは彼のことを知っていた。まさか生まれた瞬間の記憶まで残っているとは。
父様は金髪にブルーイッシュグリーンの瞳でとてもかっこいい人だった。
「ルーカス、ご飯の時間だ。ミルクを飲もう」
「あ~~ぅ」
そう言って父は僕にミルクを飲ました。
「シャルの言う通りだな。あまりミルクを飲まない」
「はい。しかし、お腹を空かせて泣くことも今までありませんでした」
「ならば、食事は足りていると考えてよさそうだな。しばらく様子を見てみよう。ウルを中に入れてくれ」
「かしこまりました」
ガチャリ
「失礼致します」
「ああ、ウル。ルーカスの体を見てくれ」
「はい」
ウルと呼ばれた人が部屋に入ってきた。白衣を着ているからお医者さんかな?
「体に問題はないようです。栄養も足りています。しかし、少し細いように見られるので出来れば食事量を増やすようにしてください」
「そうか。わかった」
「では失礼致します」
ガチャリ
「ひとまずは様子見ということだな。モニカ、ルーカスの様子をしっかり見ていてくれ」
「かしこまりました」
アーサーはモニカにそういうと部屋を出ていった。
(母様も父様もモニカも沢山話しかけてくれる。僕を嫌っていないみたい。ふふふ、嬉しいな)
「きゃあ、あぅ~~あ」
「ふふ、どうかなさいましたか?殿下」
モニカが笑顔で聞き返してくれた。
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