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高等部編

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 ルーカス達が執務室を出ると、カエルム達は真っ青な顔で立ち止まった。それに気付いたルーカスが彼らの方を振り返り促した。


「どうしたんだい?」


「……俺達、毒を飲むのか?」


 カエルムが酷く強ばった顔でルーカスに伝えた。


「皇族の方に手を出せば、平民はその場で切り殺されるのが常だ。殿下が取り計らって下さったお陰でお前達は生きていられることを忘れるな」


 リヴァイは不服があるのかと不機嫌を隠さずに言う。するとルーカスは困った顔でリヴァイを見て優しく微笑んだ。


「一先ず、客室へ向かおうか。まだ仕事をしている官僚達もいるからね」


 当たりを見渡すと、廊下には遅い時間まであくせく働いている文官達が歩いている。
 ルーカス達が客室の方へと足を進めると、文官達は廊下の端により道の真ん中を開けた。


 そしてしばらく歩いて行くと、向かい側からアレクサンダーとディムロットが歩いてくるのが見える。
 彼らはルーカスに気付くと軽く頭を下げ話しかけてきた。


「お帰りなさいませ、ルーカス殿下。何やら久しぶりの外出で問題児に会われたとか……」


「ふふ、そうなんだ。少し厄介そうだから、父様に投げてきたよ。お陰で君達も呼ばれてしまったみたいだね」


「ええ、屋敷に帰った途端に皇城へ逆戻りです」


「おや、それは悪い事をしたね」


 ディムロットが肩を落としてそう言うと、ルーカスは眉を下げて苦笑をする。


「いえいえ、ルーカス殿下に責はございません。ところで、こちらの子供達はいったい?」


「ああ、僕の大切な客人だよ。今日こちらへ連れてきたんだ。……丁重に扱うようにね?」


 ルーカスは聞き耳を立てていた文官達に圧をかけるように辺りを見渡しながらそう言った。すると文官達はルーカスの方へ体を向けて軽く会釈をする様に頭を下げた。

 そしてアレクサンダーとディムロットは笑みを浮かべる。


「ルーカス殿下のお客様ですので」


「勿論、丁重におもてなし致します」


「うん、よろしくね。僕達はそろそろ行くよ」


「足止めしてしまい申し訳ございません」


 アレクサンダーがそう言うと、ルーカス達はそれぞれ足を進めて行った。




 カエルム達が泊まる客室へ到着すると、セバスは他の業務へと戻って行った。


「今からは自由に話して構わない。それで、先程言った通り君達には毒の実験体となってもらう。これは確定事項だよ。その上で質問はあるかい?」


 ルーカスが淡々とそう言うと、シエロが口を開いた。


「俺だけじゃだめなの……? あんたに手を出したのは俺だ。罰を受けるのは俺だけで、、」


「それは出来ない。皇族に危害を加えた者はもれなく親族も処刑対象となる。その親族がその場にいたのならば尚更ね」


 その言葉を聞き3人はしばらく黙り込んでしまう。
 そして少し時間経つと今度はカエルムが質問する。


「……毒を飲むのは、あんたの諜報員にする為なんだろ? 俺達にはやっぱり選択肢なんてないってことなのか?」


「それは違う。毒を飲むのはあくまでも罰だ。ただ影になるという選択肢があるから、訓練も兼ねているというだけだよ」


「毒を飲んでスカイ達、死なない……?」


 スカイは酷く不安そうにルーカスに尋ねた。


「死なないよ。いきなり強い物ではなく弱い毒から徐々に体を慣らしていくんだ。勿論、死ねないように解毒剤も用意している」


「そっか! 良かった」


 ルーカスの言葉を聞きスカイは安堵したようにそう言い、カエルムとシエロも息を吐いた。


 僕の言いたいことは伝わっていないみたいだね。まあ、いずれ分かるか。


「これから3人には僕の客人として城に滞在しながら1年間、5日事に毒を服用させる。動く元気がある時は出歩いて構わない。ただ皇族の住む東棟と皇帝の妃が住まう後宮には一切近付かないこと」


「「「分かった」」」


「お兄さんに会いたい時はどうしたらいいの?」


「使用人に伝えれば取り次いでくれるよ。ただ平日は学園に行っていて城にはいないから、急ぎならば使用人に言って手紙を書いてもらいなさい。それから、僕の事はテオ殿下と呼ぶように」


 カエルム達はこくりと頷いた。


 一先ず今伝えることは伝えたかな。あとは……。


「先程教えた貴族に対しての接し方は覚えているかい?」


「すれ違ったら頭を下げて端による、だっけ?」


「そう。間違っても君達からは絶対に話しかけてはいけない。もし何か嫌味を言われたとしても言い返さないこと。黙って聞いて全て覚えておきなさい」


「うん、覚えとく!」


「けどさっき廊下ですれ違った人達は、テ、オ殿下に話しかけてたよね」


 シエロが不思議そうに思い出しながらそう言う。


「あれは僕が許可しているからだよ」


「なら許可を貰えば俺達も話しかけていいのか?」


 カエルムの言葉にルーカスは首を横に振り否定する。


「君達は今はまだしない方が良い。貴族の隠された悪意に慣れるまでは僕の言ったようにしなさい」


「テオ殿下の言う通りにしたら安全?」


「被害は最小限だよ」


 その言葉を聞くとカエルム達はルーカスの言う通りにすると決心したように、力強く頷いた。


「ではそろそろ僕達も部屋に戻るね。罰が終わった後のことは、ゆっくり考えておきなさい」


 そう言うとルーカスはリヴァイ達を連れて客室を後にした。




ーーーーーーーーーーー

 遅くなりました(இᾥஇ`。)
 いつも読んで下さりありがとうございます*.(๓´͈ ˘ `͈๓).*





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