転生皇子の新生活 高等部編

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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高等部編

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 会場の外には馬車が用意されていて、騎士達が帰る支度を終えて待っていた。
 そしてルーカス達が外に出て直ぐにアレイルとキャサリンも会場から出てきた。


「第3皇子殿下、公子とマカイラ子息、スージン嬢の皆様で馬車にお乗り下さい。この者達は我々の方で陛下に引き渡しておきます」


 責任者である騎士が、カエルム達を警戒した様子でルーカスにそう言った。
 その光景にアレイルとキャサリンは少し戸惑った様子だ。


「ルーカス殿下、何かあったのですか?」


「……2番目が牙を剥いた」


 それを聞くとアレイルとキャサリンは驚いた後シエロをきつく睨み付けた。


「彼らには利用価値がある。父様には僕から報告するから構わなくて良い。彼らに話があるんだ。一緒に馬車に乗ってもらう」


「っ、しかし……皇族に手を出したのですよ……?」


「まだ未遂でしょう? 騎士の道理に反するのは分かっている。けれどこのまま罪人にしておくには惜しい人材なんだ。勿論罰は受けさせる。分かってくれるかい?」


 騎士は法に則り行動する。問題を起こした者には相応の罰が課せられる。その罰の内容は法によって定められている。


 皇族に手を出した者は死罪が適応される。しかしルーカスの言葉はその法律も騎士道にも反してしまう。


「……我々騎士は皇帝陛下にお仕えする身。そして皇帝陛下は唯一立法権を持つお方。陛下が例外を認められるのであれば、我々はそれに従うのみでございます。しかし今はまだこの者達は罪人でございます。拘束具を付けることはお許し下さい」


「分かった。ありがとう」


 ルーカスが了承すると、騎士達はカエルム達に拘束具をつける。
 そして漸くルーカス達は馬車に乗り込んだ。


 広い馬車とはいえ、7人も乗るにはあまり余裕が無い。


「ルーカス殿下、私は御者の隣に乗って参ります」


「いや、エイルも疲れているでしょう? 中で少しでも休みなさい。スカイ、悪いけれど僕の膝の上に座ってくれるかい?」


「っ、殿下、それならば我々が!」


「ふふ、リヴやエイルの足は筋肉質で硬いからスカイのおしりが痛くなってしまう」


 リヴァイがルーカスに任せる訳にはいかないとそう言うが、ルーカスは可笑しそうに笑い言った。


「でしたら私が……」


「こんなに綺麗な女性の膝ではスカイも緊張してしまうよね?」


 その言葉を聞きスカイはルーカスとキャサリンの顔に交互に目をやりこくこくと頷いた。


「ふふ、スカイ、こちらにおいで」


 ルーカスがそう言い腕を伸ばすと、スカイも拘束具で束ねられている腕を伸ばし、ルーカスの上に座った。


「君、僕が女性ではないと知っていてあの時お姉さんと呼んだね?」


「あっ、、」


「僕が怒るかどうかを試したんでしょう?」


「ご、ごめんなさい……」


 スカイはしゅんとした様子で謝罪を口にした。するとカエルムとシエロが酷く驚いた顔をする。そしてシエロは座っている台から降りると、頭を擦り付けるように平伏し謝罪を口にした。


「……スカイのことを分かっていないのは俺の方だったみたい。ごめんなさい」


「……僕には君があれ程怒った理由がわからないのだけど、君達のことも知らなければならないし、今までどう言った生活を送っていたのか、話してくれるかい?」


 シエロは頷くと、カエルムと2人でこれまでの生活について話してくれた。


 3人は元々ナサニエルではない獣人の集まる国を点々とし、両親や祖父母と共に狩りをしながら生活していた。

 そんなある日、狩りの最中に両親とはぐれ、両親を探しに行った祖父母も帰ってこなかったそうだ。しかしそんな時に限って、3人は興奮した状態の魔物に出会ってしまった。

 3人が何とか逃げきった後、獣道を歩いていた商人達に出会い保護された。3人はひとまず安堵し、両親達が見つかるまで共に居てくれるという商人達の拠点に向かった。


 しかし、拠点に到着した3人は目の前にひろがる光景に立ち竦んでしまった。はぐれていた両親と祖父母が大量の血を流して無造作に倒れていたのだ。そんな困惑の中、3人は後ろから薬品を嗅がされ意識を失ってしまったのだった。


 そして次に目が覚めた時は、どこかも分からない檻の中だった。
 その後は奴隷として何度も売られ、雑用や荷運びをさせられ、暴力も振るわれていたようだ。


「……その商人達は人族かい?」


 ルーカスの問いかけにカエルムとシエロは頷いた。


「だから、親切にしてくる人族にはいつも警戒していた。きっと何か企んでいるのだと」


「君達の行動は自衛のものだったんだね。今、いくつだい?」


「俺が11でシエロが7、スカイが5だ」


 その返答を聞き、ルーカス達は驚き固まった。


「……え? カエルムはてっきり15、6だと……」


 カエルムは体格がよく15歳、シエロは細身だが12歳、スカイは幼いが7歳位には見えるのだ。


「種族にもよるけど獣人は大抵身体の成長が人族より早いんだ」


「成程……。もう1つ、君達は学校や私塾に行き教育を受けたことはあるかい?」


「ない。俺達はずっと狩りして生きてきたから」


「そう、それなら問題はないかな」


 ルーカスの言葉にカエルム達は不思議そうな顔をする。





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