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高等部編
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しおりを挟む宝石店を出ると、ルーカス達は食事を取る為に予約していたレストランへ向かった。
店員に案内され席に着くと、リヴァイが神妙な面持ちで口を開く。
「オークションへ、行かれるのですか?」
「今日来るのかは分からないけれどね。付き合ってくれるかい?」
「「「無論でございます」」」
3人は真剣な表情で返答する。
「ではキャシー、父様には事の顛末の、プレストン伯爵にはひと月以内に他国の商団と、それの入国審査を行った門兵らの調査を行うよう伝言を頼めるかい」
「かしこまりました」
キャサリンが魔力を動かすとルーカスは集中し彼らの気配をだどった。そして彼らを見つけるとキャサリンが伝言を行った。
そして食事が届くと楽しくディナーを取った。
食事が終わり店を出ると、ルーカス達はオークション会場へと歩き出す。
「ルーカス殿下、念の為髪と瞳のお色を変えた方が良いのではないでしょうか?」
「他国の者なのでお顔は知らないでしょうが、ルーカス殿下のお色は国内の者に知れ渡っておりますから、警戒されるといけません」
「それもそうだね」
ルーカスは髪色と瞳の色を黒く染める。そして髪紐を解くと、服の下に隠れた首に巻いている黒のリボンを外して肩あたりで髪を結い直した。
「待たせたね、行こうか」
オークション会場に着くと、疎らだが客足がある様で商人や貴族達が会場内に入っていく。
ルーカス達が会場前に着くと、受付けらしき者が話しかけてくる。
「本日は御参加か観賞、どちらになさいますか?」
「今日は観賞にしようかな」
そう言いルーカスがにこりと微笑むと、受付人は声を潜めて言う。
「((ヒソッ…本日は良い商品が3つも入っております。貴殿と其方のお方には是非とも……」
受付人はルーカスとリヴァイに視線を向けてにやりと微笑む。
「おや、それは惜しいことをする所だった。しかし彼は少々頭が固くてね。今日の参加は私だけにしよう」
「いえいえ、貴殿にご参加いただけるだけでも十分でございます。参加の方々は前の方へお座り下さい」
受付人は番号の書かれた札をひとつ手に取るとにこりと笑ってルーカスに差し出した。
それをルーカスもまた微笑み受け取るとリヴァイ達を連れ会場内へと足を進めた。
「どうやら黒髪が合図のようだね」
「ええ。しかし、他のムハンマドの方がいらした場合、どうするつもりなのでしょうか」
「オークションに足を運ばなくても、ムハンマドは直系やそれに近い親族には、良い物が入れば贔屓にしている商会側から声をかけてくる。それは皇家も侯爵家だって同じでしょう?」
「そういえば、親族からオークションの話など殆ど聞きませんね」
「加えて信頼関係のない他国の商団ならば尚のことだよ。あそこにしようか」
ルーカス達は真ん中辺りの端の席に着いた。
しばらくすると参加者が集まってきて、時間になるとオークションが始まった。ルーカスが当たりを見渡すと薄暗くてよく見えないが、黒髪の者も何名かいるようだ。
「まず初めは、こちらの商品です! ──……」
オークションが始まり随分と時間が経ったが、アクセサリー等ばかりで特に変わった様子はなかった。
「続いてはこちら! 東の国から持ち帰った、珍しい本です。何が書いているかは手に取ってからのお楽しみ!! 小金貨2枚からです!」
司会がそう言うと参加者が値段を上げていく。
「へぇ、読んでみたいね」
「では、買い落とされては?」
ルーカスが興味津々にそう言うと、アレイルが提案する。しかしルーカスは作ったような困り顔をして言った。
「ふふ、これから支払う相手が居なくなってしまうのにかい?」
「おや、それもそうですね」
それにアレイルも驚きの表情をして返した。
その後オークションが終盤に差し迫った頃、司会者が休憩を挟むと言い出した。
「第1幕はこれにて終了でございます! 第2幕は、ちょっぴり危険な品物の取引。法を犯す事を躊躇わない勇士達は是非ともご参加を!」
そう言い終えると司会者は天幕の裏へ姿を消した。
それを見ると、座席に座っていた殆どの者達が立ち上がり会場を後にする。
残ったのは、数名居た黒髪の者とその付き添い人や知り合い、そして度胸試しや興味本位の者達だけだった。
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