転生皇子の新生活 高等部編

𝐍 𝐢 𝐚🐾

文字の大きさ
上 下
73 / 105
高等部編

13

しおりを挟む


 ルーカスは部屋を出ると、リヴァイ達とモニカを連れて自室へ向かった。そして部屋の前に着くと皆の方へ振り返って言う。


「リヴに話があるから、2人は先に帰っておいて。今日は来てくれてありがとう」


「いえ、またご予定が入った際は、必ずお呼びください」


「すぐさま駆けつけますので」


「ふふふ、そうするよ」


 そう言って2人が去っていくと、モニカにも言う。


「モニカ、セバスの手伝いに行くのでしょう? お茶出しはいいから、行っておいで」


「畏まりました。失礼致します」


 ルーカスはモニカを見送るとリヴァイを部屋へ招き入れた。そしてソファに座るように告げ、ルーカスも向かいに座った。
 リヴァイが座ると、ルーカスはとても真剣な表情で、口を開く。


「※ベンジャミン・ジェル・コールマンを、どう思ったか聞かせてくれるかい?」

※コールマン伯爵の名前


「堅実で誠実だと、、」


「リヴ。側近としてではなく、君個人の意見を聞いている」


 リヴァイがルーカスのコールマン伯爵への評価を賛同するように同じ言葉を選んで答える。しかしそれをルーカスは注意し本心を言うよう促した。


「……祖父や、父の様な部類の人間だと、感じました」


「アルフィーやフレデリックと……?」


「はい。祖父と父は宰相として、あるいは公爵として、何よりも国を第一に考えます。個々の思いではなく、国全体の意見を尊重するのです。ですが、お優しい方々なので、家族や個人の事情を無視は出来ても、無かったことにする事は出来ない人達で……」


「そこが、2人と似ていると」


 ルーカスの問いかけに、リヴァイはこくりと頷く。


「君からの評価としては?」


「殿下と同じかと」


「それは良かった。ではもう1つ、君の意見を聞かせてくれるかい」


「はい」


 ルーカスはさらに真剣な表情をして言う。


「彼を、レイアの教師にするのはどうだい?」


 その言葉を聞き、リヴァイは少し目を見開いた。


「殿下はそれ程あの者を信頼している、ということでしょうか? 彼はコールマン嬢を育てた者です」


「君の言いたいことは分かる。子育てに失敗した者をレイアに付けるのは忍びないと。けれど、彼は成功もしている」


 コールマン伯爵の嫡子であるエイダンを育てたのもまた、コールマン伯爵夫妻だ。


「性格的にも能力的にも、僕は申し分ないと考えている。でも、君が嫌ならば辞めようか。まだまだ時間はあるし、急ぐ必要は無いからね」


「……では、彼の今後の行動を見てから判断しても良いでしょうか?」


「もちろん構わないよ。彼に執着する必要も無い。他の候補も探しながら考えようか」


「はい」


 そう言い終えると、ルーカスは硬い表情を崩し、柔らかな雰囲気を纏った。


「レイアに会えないのは寂しいな。僕も早く会いたいよ」


 リヴァイは長期休暇に何度か領地へ戻りレイアと会っていた。その為ルーカスは羨ましそうにリヴァイを見つめる。


「1人で立っておりましたので、今はもう歩いている頃でしょうか」


「むぅ、僕もレイアが初めて歩く所を見たかった。アルフィーにお願いして映像保存の魔道具で撮ってもらおうかな」


「それは良い考えです。お祖父様も喜んで撮ってくださると思います」


 ルーカスのその言葉にリヴァイも乗り気で同意する。


「そうだよね。リヴ、明日のお昼以降は空いているかい?」


「明日は酉の刻まで父上の手伝いがありますが、その後ならば空いております。城下に買いに行きますか?」


「君が良いのならば行こう。ついでに夕食もどうだい?」


「ぜひ。エイルとキャシーも念の為連れていきましょう」


 リヴァイがそう答えると、ルーカスは嬉しそうに口角を上げる。


「ふふふ、久しぶりの皆とのお出かけだ。嬉しいなあ」


 ルーカスは学園が始まるまでの半年間、城から出ることが出来なかったため、酷く嬉しそうにそう言った。

 するとその様子を見たリヴァイが、ルーカスの瞳を真っ直ぐに見て言う。


「殿下、調査がもう少し進み、陛下からの許可をいただけた際には、どうか私と2人だけでも、出かけてくださいますか?」


「っ、うん! 絶対に行くよ。ふふふ、リヴからデートの約束をしてくれた。……ねえ、リヴ。僕達が結婚したら、レイアも連れて旅行に行こうよ」


「ええ、レイアが少し大きくなったら、国内だけでなく、外に行くのも良いですね」


「楽しみが沢山増えたよ」


 そう言い2人は嬉しそうに笑いあった。





ーーーーーーーーーーーー

 いつも読んで下さりありがとうございます*.(๓´͈ ˘ `͈๓).*

 次回からひと月程、不定期で投稿します。9月9日からは週3日の投稿に戻します。
 なかなか話が進まず申し訳ないです(>_<)



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ざまぁされたチョロ可愛い王子様は、俺が貰ってあげますね

ヒラヲ
BL
「オーレリア・キャクストン侯爵令嬢! この時をもって、そなたとの婚約を破棄する!」 オーレリアに嫌がらせを受けたというエイミーの言葉を真に受けた僕は、王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付ける。 しかし、突如現れた隣国の第一王子がオーレリアに婚約を申し込み、嫌がらせはエイミーの自作自演であることが発覚する。 その結果、僕は冤罪による断罪劇の責任を取らされることになってしまった。 「どうして僕がこんな目に遭わなければならないんだ!?」 卒業パーティーから一ヶ月後、王位継承権を剥奪された僕は王都を追放され、オールディス辺境伯領へと送られる。 見習い騎士として一からやり直すことになった僕に、指導係の辺境伯子息アイザックがやたら絡んでくるようになって……? 追放先の辺境伯子息×ざまぁされたナルシスト王子様 悪役令嬢を断罪しようとしてざまぁされた王子の、その後を書いたBL作品です。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

王道学園なのに、王道じゃない!!

主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。 レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ‪‪.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...