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高等部編
13
しおりを挟むルーカスは部屋を出ると、リヴァイ達とモニカを連れて自室へ向かった。そして部屋の前に着くと皆の方へ振り返って言う。
「リヴに話があるから、2人は先に帰っておいて。今日は来てくれてありがとう」
「いえ、またご予定が入った際は、必ずお呼びください」
「すぐさま駆けつけますので」
「ふふふ、そうするよ」
そう言って2人が去っていくと、モニカにも言う。
「モニカ、セバスの手伝いに行くのでしょう? お茶出しはいいから、行っておいで」
「畏まりました。失礼致します」
ルーカスはモニカを見送るとリヴァイを部屋へ招き入れた。そしてソファに座るように告げ、ルーカスも向かいに座った。
リヴァイが座ると、ルーカスはとても真剣な表情で、口を開く。
「※ベンジャミン・ジェル・コールマンを、どう思ったか聞かせてくれるかい?」
※コールマン伯爵の名前
「堅実で誠実だと、、」
「リヴ。側近としてではなく、君個人の意見を聞いている」
リヴァイがルーカスのコールマン伯爵への評価を賛同するように同じ言葉を選んで答える。しかしそれをルーカスは注意し本心を言うよう促した。
「……祖父や、父の様な部類の人間だと、感じました」
「アルフィーやフレデリックと……?」
「はい。祖父と父は宰相として、あるいは公爵として、何よりも国を第一に考えます。個々の思いではなく、国全体の意見を尊重するのです。ですが、お優しい方々なので、家族や個人の事情を無視は出来ても、無かったことにする事は出来ない人達で……」
「そこが、2人と似ていると」
ルーカスの問いかけに、リヴァイはこくりと頷く。
「君からの評価としては?」
「殿下と同じかと」
「それは良かった。ではもう1つ、君の意見を聞かせてくれるかい」
「はい」
ルーカスはさらに真剣な表情をして言う。
「彼を、レイアの教師にするのはどうだい?」
その言葉を聞き、リヴァイは少し目を見開いた。
「殿下はそれ程あの者を信頼している、ということでしょうか? 彼はコールマン嬢を育てた者です」
「君の言いたいことは分かる。子育てに失敗した者をレイアに付けるのは忍びないと。けれど、彼は成功もしている」
コールマン伯爵の嫡子であるエイダンを育てたのもまた、コールマン伯爵夫妻だ。
「性格的にも能力的にも、僕は申し分ないと考えている。でも、君が嫌ならば辞めようか。まだまだ時間はあるし、急ぐ必要は無いからね」
「……では、彼の今後の行動を見てから判断しても良いでしょうか?」
「もちろん構わないよ。彼に執着する必要も無い。他の候補も探しながら考えようか」
「はい」
そう言い終えると、ルーカスは硬い表情を崩し、柔らかな雰囲気を纏った。
「レイアに会えないのは寂しいな。僕も早く会いたいよ」
リヴァイは長期休暇に何度か領地へ戻りレイアと会っていた。その為ルーカスは羨ましそうにリヴァイを見つめる。
「1人で立っておりましたので、今はもう歩いている頃でしょうか」
「むぅ、僕もレイアが初めて歩く所を見たかった。アルフィーにお願いして映像保存の魔道具で撮ってもらおうかな」
「それは良い考えです。お祖父様も喜んで撮ってくださると思います」
ルーカスのその言葉にリヴァイも乗り気で同意する。
「そうだよね。リヴ、明日のお昼以降は空いているかい?」
「明日は酉の刻まで父上の手伝いがありますが、その後ならば空いております。城下に買いに行きますか?」
「君が良いのならば行こう。ついでに夕食もどうだい?」
「ぜひ。エイルとキャシーも念の為連れていきましょう」
リヴァイがそう答えると、ルーカスは嬉しそうに口角を上げる。
「ふふふ、久しぶりの皆とのお出かけだ。嬉しいなあ」
ルーカスは学園が始まるまでの半年間、城から出ることが出来なかったため、酷く嬉しそうにそう言った。
するとその様子を見たリヴァイが、ルーカスの瞳を真っ直ぐに見て言う。
「殿下、調査がもう少し進み、陛下からの許可をいただけた際には、どうか私と2人だけでも、出かけてくださいますか?」
「っ、うん! 絶対に行くよ。ふふふ、リヴからデートの約束をしてくれた。……ねえ、リヴ。僕達が結婚したら、レイアも連れて旅行に行こうよ」
「ええ、レイアが少し大きくなったら、国内だけでなく、外に行くのも良いですね」
「楽しみが沢山増えたよ」
そう言い2人は嬉しそうに笑いあった。
ーーーーーーーーーーーー
いつも読んで下さりありがとうございます*.(๓´͈ ˘ `͈๓).*
次回からひと月程、不定期で投稿します。9月9日からは週3日の投稿に戻します。
なかなか話が進まず申し訳ないです(>_<)
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