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中等部4年編
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しおりを挟む「それで、君達も僕の願い通りに相手をしてくれるのかな?」
「いいや、あんたの相手は俺とこいつの二人で十分だ。あいつには、そこに隠れてる奴らを、、ぐっ!」
侵入者達の中でも1番の実力を持つだろう男が、残りの男をソフィア達の元へ送ろうとする。それをルーカスは最後まで喋らせず3人同時に殺さんと思い切り斬りかかった。
それを男達は、紙一重のタイミングで受け止めた。
「ああ、殺せると思ったのだけど」
「ちっ……おい、残れ」
男は苦渋の決断をし指示を出した。
……正直、魔力のコントロールが不安定で皆を守りながら、邪魔をしないようにこの3人を相手にするのは辛いだろう。
ルーカスは過去のトラウマによる男達への恐怖心から、魔力コントロールが鈍っていた。それを悟らせないように平然を装っているが、長期戦になれば否が応でも気付かれるだろう。
「フランク、マルセル、取り逃しても構わないから、大きな怪我はしないで」
「……命をかけてもお前を守る、なんて言う玉でもねえけどよ。やれるだけやってみるからあんま心配すんな」
「それに、危なくなったらちゃんと逃げてやるよ。まあ、そんながっかりさせることはしたくねえけどな。だから、私達のことは気にすんな」
「……分かった。ありがとう」
そんな切言はいらない。ガッカリなんて絶対にしない。だから、本当に逃げてよ。冗談になんて、しなくていいから。
「おい、よそ見なんて余裕だな?」
男は剣を振りかざしながら、ルーカスに話しかけてくる。
「あんたの様な高貴なお方は、俺達底辺の人間が虫けらに見えるらしいな? なら望み通り、虫けらみたいに這いつくばってやるよ」
君の事ではなかったけど、随分と身分にコンプレックスのある言い方だね。
「では聞くけれど、穢らわしい虫けら以外の何なんだい? まさか、少し小綺麗にしただけで、高貴な血筋の仲間入りでもしたつもりなのかな。ふふ、とんだ思い違いも甚だしい」
ルーカスはわざと煽るような言葉選びをして、嘲るように笑みを浮かべた。すると男達は額に青筋を浮かび上がらせ憤怒する。そして短剣使いの男が怒りルーカスの間合いに入ってこようとする。
「どいつもこいつも平民だからと見下しやがって!!」
「おい!」
その怒りで単調になった攻撃をルーカスは簡単に往なすと、そのままその男の首へ剣を振るい首をはね飛ばした。
しかし1人の息の根を止めたあとも、ルーカスは彼らを煽り続ける。
「ああ、これだけ怒り狂うだなんて、やはり図星のようだね」
「貴様っ……!」
死んだ男を卑しめるルーカスに、男達はより一層の怒りを向けた。
「ふははっ、どうやら虫けらにも、仲間意識というものは存在するらしい。その取るに足らない感情が、何の役に立つのかとても疑問だけれどね」
そのルーカスの煽りに対し、もう1人の男が殺気立った。しかしそれも先程から彼らに指示を出していた男が落ち着かせるように制止しそしてなにかの指示を出した。
「あんたは随分焦ってるみたいだな。確かに俺達を貶してるが、あんたの言葉には俺達平民を蔑む感情が一切見えねえんだよ」
「へえ、凄い観察眼だね。いや、単に言われ慣れているだけかな。けど、君達への嫌悪は本物だよ」
「だろうな。あんたの殺気は今まで殺してきた誰よりも濃厚で生きた心地がしない。なのに、なんでこんなに手こずってんだろうな?」
……気付かれたか。
男の顔に少し余裕が垣間見れた。恐らくルーカスが魔法を使おうとしない理由を理解したのだろう。
「1番厄介なのが皇族の結界だが、魔法が使えねぇんなら気にする必要もないな。おい、やれ」
男が指示を出すと、ルーカスと戦っていたもう一人の男がルーカス達に向けて手を振りかざした。
それを見てルーカスは急いで結界を発動する。しかしその不安定な結界は男の魔法とぶつかり合い相殺してしまう。
「使えねぇ訳じゃなかったのか。まあ、聞いてたより大分弱くて脆いな。それに、余計な魔力が溢れてるぞ」
平民だと言っていたけど、クロエと同等かそれ以上の魔力量だ。これまで誰にも気付かれずにここまでの魔法を習得したのならば、余程魔力コントロールが得意なんだろう……。早く片付けないと。
ルーカスは魔法と剣術のどちらもが疎かになるのを防ぐ為、結界を使わずに男の間合いに入り魔法を使う隙を与えないよう剣を振るう。
「くそっ、魔法が使えねぇ! おい、そっちで引き付けてくれよ!」
「この化け物みたいな剣術は俺でも1人で相手するのは無理だ!」
男達はルーカスの剣術に圧されて気持ちが焦る。その隙のできた指示を出していた男の腕を、ルーカスは剣を振り上げ切り落とした。
「ゔぅっ!」
そして腕の痛みにより出来た隙を狙いもう一度、今度男の首元に剣を振るった。
しかしその瞬間、ルーカスは後ろから殺気とナイフが飛んで来る気配を感じ、攻撃をやめて後ろを振り向きそれを剣で叩き落とした。
どうやらアレイルと戦っていた手練の男がルーカスの隙を狙いナイフを飛ばしたらしい。それを阻止しようとアレイルが男を剣で貫いたが、1歩遅かったようだ。
ルーカスが振り向いた方向から男の力の入らない呆れた声が聞こえる。
「化けもん、、かよ……」
そうして手練の男は息を引き取る。しかし、その男によって出来たルーカスの隙を狙い、魔力持ちの男が魔法を発動させた。
ルーカスだけでなく、アレイルやフランク達の視界までもが、真っ暗闇に支配される。
っ、闇の魔法……。
「ぐあっ!」
「マルセル! ゔっ!!」
その瞬間、マルセルとフランクの呻き声が聞こえてきた。ルーカスは頭から酷く血の気が引いた。
「これでどこから攻撃が来るかわかんねぇだろうなぁ!」
そう言い侵入者達は一斉にそれぞれに攻撃を仕向けた。
しかしルーカスは、飛んできた攻撃を全ていなすと、即座に戦っていた2人の男の首をはねた。
魔法が発動されたことで、彼らの警戒心が緩んでいたのだろう。
魔力持ちの男が死ぬと、魔法の効果消えルーカス達の視界に光がさした。
しかし、ルーカスの視界に移るのは闇の中のような光景だった。
マルセルとフランクが腹から血を流し倒れている。そして彼らと戦っていた一人の男が見当たらずソフィア達の隠れている教室の扉が開かれていた。
「エイル、ギャレット。頼むよ」
ルーカスが2人の名前を呼ぶと、視界が戻って直ぐに無精髭の男を殺したアレイルと、コロン達を守っていたギャレットは、フランク達が戦っていた男達に攻撃を始めた。
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